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とある鈴の回想

 風鈴視点になります。

 かつて、造物主(マスター)は言いました。


「どうか、この世界を守って」


 ただの道具ではありますが、我は長年神事に使われておりましたのでほぼ付喪神となっておりました。あの頃から自我が芽生え、我は造物主(マスター)のために働こうと思ったのです。

 我は造物主(マスター)の願いを叶えるために霊力の高い乙女を選定し、舞を教えて鬼を祓っておりました。



 しかし、永き時が経てばヒトは忘れてしまうのです。



 我がなんのために存在しているのか。神楽と祓いの法の意味すらも。霊力のない乙女をあてがわれても意味がない。清らかな、穢れなき霊力の高い乙女でなければ、我の力は発揮できません。




 さらに月日が経ち、我が妥協し続けたせいか我の元に来るヒトの身にまで穢れがたまるようになりました。このままでは、この国は緩やかに滅亡する。我は焦りました。



 そんな中、マリーアント姫…今の我が主が現れたのです。強い霊力と、一切の穢れなき純粋な魂。彼女ならばこの国を救えると歓喜したのですが……


 マリーアント姫は国を出奔。必死で説得する我をうるさいと袋詰めにして谷底に投げ捨てたのです。


 しかし、既に付喪神となった我は何度も姫の元に戻り、最後には路銀の足しに売り払われて戻るを繰り返しておりました。

 その後姫は過酷な労働を強いられ、辛い思いをするのですが…祖国に帰ろうとすることはありませんでした。


 一度だけ、姫に聞きました。こんなにも過酷な環境より、城の方がずっとよいのではありませんかと。望むなら、姫を城に送ることもできますと伝えました。


「マリーはマリーとして生きる。だから、もどらにゃい。マリーですらいられない場所になんて戻りたくない」


 そこで初めて、姫にとっては過酷な現在の環境よりも城での生活の方が辛かったのだと知りました。


 そして、時間は流れ…我はただの鈴として姫を見守ることにしました。姫はあの当時は知りませんでしたが、待ち人様に救われて幸せな毎日を過ごしておりました。


 そんなある日、若造が姫に大切にされておりました。そのような奇天烈な棒(※正確にはトンファー)よりも我は役に立ちます!我は嫉妬して奇天烈な棒を取り込みました。

 そして同化し、さらなる力を得たのです。奇天烈な棒は姫の役に立つならと我を受け入れ溶けました。正直自分の心の狭さを痛感しました。姫に責められるのも仕方ありません。




 そして、今日。




 これはきっと、運命の出会いに違いありません。


「シャイニング☆イリュージョン!!世界を繋ぎ、世界を救う!魔法巫女☆リリカルリンカー!!」


 あの衣装。そして、武器と主が一体となりさらに魔力が増幅されている…!


 つーさん殿に我は訴えかけました。どうすれば、我は貴殿のようになれますかと。

 つーさん殿は言いました。かつて、彼も独りよがりなことをしていたのだそうです。つーさん殿はただただ忠実に職務をこなしていただけだったそうですが、周囲に甚大な被害を出してしまい呪いの杖などという不名誉なレッテルを貼られたあげく封印されてしまったと語りました。


 それゆえ、つーさん殿は封印中に何がいけなかったのか考えたそうです。そして、主の意思をきちんと汲み取る事の大切さに気がつき、リンカ殿という最良の主を得られたのだとのこと。


 我も、まだ間に合うだろうか。ずっと自分の物差しで世界を見ていた。そうだ、姫の望みをきちんと考えていなかった。


「さて、風鈴。仕事だよ」


 我に手を伸ばす姫。

 今はただ、姫の望むままに力を振るおう。




『我が同胞よ、よくぞ己のあやまちに気がついた。我が力を貸してやろう』




 つーさん殿から光が溢れ、光が我を変えてゆく……







 そして、姫と我は光に包まれた。

 この話を書いている途中で、作者が正気になりました。なぜ私は『鈴』目線で話を書いたのだろうかと。


 しかし、これまでさまざまなモノ目線で書いておりました。今さらです。しいて言うなら、ロザリンドのせいに違いない!ということにしておきます。作者の頭がおかしいからでは多分、きっと、恐らくないのです!!

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