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魔を祓おう!

 ポッチ視点になります。

 お姉ちゃん効果はすごかった。シャムキャッツの王様から、僕までご無礼をお許しくださいと土下座された。お姉ちゃんが白目をむいていたのがとても気になったけど、これならきっとシヴェリハスとの和平も夢じゃない。


「待ち人様、お願いがございます」


「はい?」


「私はどうなってもかまいません。此度の罪の責任を取り、処刑されようとかまいません。我が子を救ってはくださいませんか?」


「お姉ちゃん…パパ上とママ上も死にそうになってるみたい……助けて欲しいのにゃ…」


 お姉ちゃんはマリーにすごく甘い、助けてあげるだろうなと思ったら、返事は意外なものだった。


「いや、ポッチとマリー、ネックスにも魔が祓えるから3人でやりなさい。ツヨシ達がやり方は教えてくれる。お姉ちゃんは弱った患者さんの体を癒すために雑炊を作るから」


「僕らで?」


 できるかなぁとツヨシを見た。ツヨシはめっちゃ光っていた。


『元気があれば~、なんでもできる!できますよ!』


 いや、元気があっても不可能なことはあるからね?マリーとネックスを見ると、頷いた。元から僕より武器の扱いに慣れている二人は大丈夫なのだろう。


 魔に侵された人達は隔離されているのだという。案内された場所は、酷いものだった。一見ただの屋敷に見えるけど…


「うにゃ~、キモチワルイにゃ~」


「…だね」


「うん…」


 周辺の空気が重い。シヴェリハスのかか様よりも酷いのではないだろうか。酷い匂いがする。かなり劣悪な環境にいるようだ。ドアを開けると、さらに酷い匂いがして吐きそうになる。頭が痛い。


「くさいにゃ~。リンカ呼ぶにゃ~」


 何故リンカさん?と聞きたかったが特に鼻がいい種族である僕は動けない。


「シャイニング…くっさああああ!なんスか!!くさいッスなんか発酵してるッス!ファブるッスよ!!」


 呼ばれて来るなりリンカさんが何かしてくれたらしく、すっかり悪臭が消えてくれた。


「た、助かった…ありがとう、リンカさん…」


「どちら様ッスか?とりあえずお役にたててよかったッス」


 そういや僕、姿が変わってたんだった。それにしてもさっきは辛かった…くさすぎて涙が出たよ。


「ポッチだよ~。リンカはくさいもの係りだからにゃ~。さすがはリンカなのにゃ~」


「ポッ!?いや、それよりくさいもの係りってなんスか!変な係作ったらダメッス!イジメかっこ悪いッス!人権の侵害ッス!訴えて勝つッスよ!!」


 確かに、くさいもの係りとか不名誉だよなぁ。でも紫水晶の護りはみんな獣人だし、エルンストはたまにしか来ないから消去法でリンカさんなのかも。

 そういやネックスは…とチラ見したら、気絶していた。くさすぎたらしい。


「あの、ごめんにゃさい…」

「ぶたにゃいで!」

「ごめんにゃさい!」


 黒猫の子供達が弱々しくみーみー鳴く。子供達は毛並みもボサボサで、生傷だらけ。傷は膿み、ハエがたかっている。


 これはまずすぎる!早急に対処しないとモフモフ好きのお姉ちゃんが…破壊神と化すに違いない!


「ええと…ぶたないよ!ほーらお菓子だよ~!リンカさん、マリー、ネックスはいつまで寝てるの!?早くなんとかしないと、シャムキャッツが滅亡するよ!!」


「こんな虐待する国、滅亡した方がよくねッスか?」


「別に滅んでもかまわにゃいよ」


「………(こくり)」




 味方がいない…どんだけ人望がないんだシャムキャッツ!案内してくれた騎士さん泣きそうだよ!


「…私達はどうなってもよい……子供達だけでも……」


 痩せ細った猫獣人が懇願してきた。


「パパさま……?」


「お前は…マリーアント……?お前、国を出たのでは……ぐうう…さいごに…あえて………よか…………」


 痩せ細った猫獣人の毛並みは白と黒のまだら模様。怪我こそないけど、痩せ細って今にも倒れそう。


「マリー、あんと………ふふふ、あはははははは!」


「ママさま!?」


 同じく痩せ細った猫獣人の女性は正気を無くしているらしく、狂ったように笑い続ける。


「別にこの国はどーでもいいッスが、マリーちゃんのパパンとママンは助けなきゃッスね!つーさん!変身!!」


「シャイニング☆イリュージョン!!世界を繋ぎ、世界を救う!魔法巫女☆リリカルリンカー!!」


 リンカさんはいつもの騎士風じゃなく、赤いふわっとしたズボンと白い上着を着ていた。すごく綺麗。後でモデルになってくれないかなぁ……


 そして、マリーのお父さんはともかくお母さんは正気を取り戻してくれないと一生このままの危険かある、とツヨシが判断した。


「ならば、自分の新必殺技を食らうッスよ!」


 リンカさんは姿勢を正し、マリーのお母さんに言った。


「今すぐ出ていかないと、嫌いになるッス!くさいッス!醜いッス!嫌いッス!!」





「は?」

「にゃ?」

「………(きょとん)」





 いや、リンカさんに嫌われても魔は痛くも痒くもな……すごい早さで魔が抜け落ちた。マリーのお母さんも正気に戻ったらしくキョロキョロしている。え?どうゆうこと??


「説明するッス!魔はクラリンであり、昔のラヴィータ君ッス!クラリンは自分のソウルフレンド、ラヴィータ君はこ、恋人ッス!」


 え?クラリンいつの間に魔になったの??神様になったとか聞いていたような??

※ポッチは当時非戦闘員だったので、詳細を把握してません。


「……つまり?」


「魔は自分に嫌われたら泣いちゃうッス!悲しくて切なくなるから言うこと聞くッスよ!最近の実験で明らかになったッス!」


 流石はお姉ちゃんの血縁者。リンカさんも色々おかしかったことが発覚した瞬間だった。

 実は魔に対して最強だったリンカさん。当然次点はロザリンドになります。

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