狂った王子の快進撃
ポッチ視点になります
ようやくシャムキャッツの王都に到着した。いつも通りドラゴンさんとダンジョンマスターさんに町を守る壁を結界ごと破壊してもらう。
「行くよ、皆!!」
「おう」
「「はーい」」
「ロッザリンドォォ!!」
「承知!」
「ドラゴンさん達とダンジョンマスターさんはなるべく兵を引きつけて!」
「任せろ!」
ドラゴンさん達とダンジョンマスターさん達は散開し、兵士の詰め所なんかで兵士達をひきつけた。
「道を作って!」
「任せろ!わはははははは!」
偽ジェンドのお父さんが兵士達をなぎはらう。冗談みたいに吹っ飛ぶ兵士達。
「お兄ちゃんの邪魔はさせないよ!」
「邪魔する奴はやっつけちゃうよ!」
双子は右に氷の壁、左に炎の壁を作り、誰も入れないようにした。
「ロッザリンドォォ!!」
偽リンドは壁の中にいる人たちを壁の外に転移させている。主に一般人の対応をしているようだ。
「さあ、出番だよ!可愛い子達!!」
僕の作ったゴーレム達が一斉に召喚された。
「うふふ…ふふふふふふ!!」
「アハハハハハ!!」
シャカ君、シャカさん白猫バージョン達が一斉に突撃した。下半身がないのに超速い。よく見ると手のひらで移動する子と肘で移動する子がいる。
「ひいいいいい!?」
「ぎゃあああああ!!」
シャカ君・シャカさん達は次々にディープなキッスをかまし、兵士を気絶させていく。
さらにハンド君達が援護して逃げる兵士を拘束してディープなキッスの行列を強制的に作っている。
思うところがないわけじゃないけど…大怪我するよりはマシだよね!とわりきった。
「キキキキキ!!」
「キャハハハハハ!!」
リッパーちゃん達は積極的に武器を切り刻む。ついでに服も切り刻んでいるのはご愛嬌だ。
切り裂き方が地味にマニアックで隠すべき所を切っている気がするが、気のせいだと思いたい。とても楽しんでいるようだ。興奮しすぎて白目をむいているし、わざとではないに違いない。おっさんがいやぁんとクネクネしているが、気のせい…じゃないけど気にしない!!
そして、ゆったりとぞんびー君達が歩き…僕はその後ろを『普通に』のんびりと歩いた。
僕は数百のぞんびー君達に守られながら大通りを抜け、ついに城門前にたどり着いた。
「門を閉めろ!化け物達を入れるな!」
「見捨てるのか!?入れてくれ!」
「イヤダアアアアア!お母さああああん!!」
「邪魔をするな!どけ!!」
「助けてくれええええ!!」
うわあ。前に見た、ほらーエイガみたいだ。怯えて逃げ惑い、パニックになる人々。うんうん、予想通り。こうなれば捕まえるのも容易い。
逆に陣を組まれて冷静に対処されると困る。籠城されたら面倒だ。
パニックになった兵士達は城の門を閉じ、お堀にかかっていた跳ね橋をあげてしまった。
予想通りの展開だ。さあ、出番だよ!
「ロッザリンドォォ!!」
今回の新兵器である、ヴァルキリープロトタイプ。大きさはナイトヴァルキリーの二倍。エルンストとこだわり抜いて作った自信作。白を基調にしたフォルムはお姉ちゃんのヴァルキリーをとことん忠実に再現。さらに、変形も可能。
見た目の美しさはもちろん、強さも兼ね備えた素晴らしいゴーレムなんだよ!
「ロッザリンドォォ!!」
騎士モードで城門の跳ね橋をむしりとり、橋になるようソッと置いた。そこから群がるホラーゴーレム達。
「た、助けてくれぇ!」
「嫌だ、俺のファーストチッスが!ハジメテは可愛い女の子…がふっ…」
「逃げろ!この国はもうおしまいだあああ!!」
「ロッザリンド」
偽ヴァルキリーは几帳面なのか大雑把なのか…城壁を崩して、お堀を埋めている。丁寧にならしている。周囲は阿鼻叫喚だけど、なんか和む。
「ロッザリンドォォ!!」
そしてある程度城壁を壊したら、ぞんびー君達のお手伝いをはじめた。兵士達を捕まえて、ホラーゴーレム達にポイしている。
あっという間に城門周辺は静かになった。
「さて、と。おやすみなさ~い」
ツヨシでサラサラと魔法陣を描く。エルンストが考えた眠り魔法だ。さらに増援が来ないように城を封印した。
「…見事な手腕です、我が君。私の出る幕はありませんでしたな」
将軍さんことジョルジさんが苦笑した。彼が出ると怪我人が出そうなので、僕の護衛をお願いしていた。
「では、案内をよろしくお願いいたします。ここからは頼りにしていますよ」
「我が君の御心のままに」
そして、僕らはゆったりとお城に入っていった。




