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ポッチらしさ?

 応接間にお姉ちゃん以外の全員が揃いました。お姉ちゃんはお仕事中だから後から来るそうです。


「えっと…どちら様?」


 詳細は知らされてないらしいルーお兄ちゃんが首をかしげた。そうなるよね。苦笑しながら返事をしようとした。





「何を言ってるんだ?ポッチはポッチだろうが」




 僕が返事をする前に、ジェンドのお父さんが返事をした。


「え?」

「ほう」

「まあ」

「はあ?」

「にゃ?」

「は?」

「………(こくり)」

「ああ」


 なんか、人間のルーお兄ちゃんとお父さんとお母さん、アークさんがびっくりしてる。逆にマリー達獣人は驚いてない。


「くんくんくんくんくん」


 マリーにすごーくクンクンされてる。くすぐったいしネックスが睨むからやめてほしい。


「ポッチの匂いだよ!」


「うん、本人だからね」


 むしろ匂いまで変わってたらびっくりだよ。


「ポッチおっきくなったにゃ~」


 片手で僕の腕にぶら下がるマリー。まあ、マリーぐらい重たくないからいいけど…ネックスの眼光と殺気がとても気になる。


「そうだね~」


 僕、マリーは好みじゃないし対象外だって言ってるのに。僕の好みはぽちゃっとした癒し系の女の子なんだよ。僕にとってマリーは妹みたいなものなんだけどなぁ。


「君はポッチじゃない!」


 ジェンドが叫んだ。え?酷くない??


「ポッチは、ポッチは……」


 ジェンドが真っ直ぐに僕を見た。え?ちょっと目が潤んでない?






「僕より小さい!!」





 ああ、ジェンド身長を気にしてたもんね…皆が残念なものを見る目になった。

 ちなみに現在僕はジェンドのお父さんと同じぐらい大きい。次にゲータ、ネックス、オルドとルーお兄ちゃんは大体同じぐらい、ジェンドの順だ。ジェンドはマリーやロザリンドお姉ちゃんよりは高いし、いいんじゃない?


身長(そこ)はどうでもよくない?」


「よくない!」


 ジェンド的にはよくないらしい。


「ポッチなら、絵が得意だろう?絵には本人の癖が出る」


「なるほど」


 流石はお父さん。僕の絵は僕にしか描けない。僕は丁度ロザリンドお姉ちゃんへのプレゼントを考えていたからスラスラと絵を描いた。笑うお姉ちゃんを中心に、笑顔の皆を描いていく。もちろんお姉ちゃんの隣はディルクさん。ちょっとだけ迷ったけど、僕の姿は茶色い犬の…以前の僕の姿を描いた。


「…いい絵だな」


 お父さんが優しい瞳で誉めてくれた。


「ありがとう、お父さん!僕、この絵をロザリンドお姉ちゃんの結婚式のお祝いにしたいんだ!それでこの絵を入れるおっきな彫刻の額を皆で作りたいの!ちょっとずつ皆で額に彫刻するんだ!」


「あらあら、素敵ねぇ」


「そうでしょ!?」


 お母さんも賛成してくれて、嬉しさで尻尾がパタパタしてしまう。


「きっとロザリンドは喜ぶね。素敵なプレゼントだ」


 ルーお兄ちゃんも笑ってくれた。えへへ。へにゃりと笑う。双子達も張り切ってお手伝いすると言ってくれた。


「うん!額には下絵を描くんだ。そしたらルーお兄ちゃんも彫ってね」


「……ポッチはでかくてもポッチだな」


「??うん。僕は僕だよ」


「ああ、ポッチはうちの子だ」


 お父さんにナデナデされた。えへへ。僕もうお兄さんだからちょっと恥ずかしいけど嬉しいな。


「ぴゅい」


 きっとよかったねって言ってくれてるんだね。クリスタルラビット君を撫でてあげた。


「その子、どうしたの?」


「あ、実は…」


 今日のちょっとした冒険についてお話しした。あ、

ルーお兄ちゃんがまずい気がする。


「ポッチ、正座」


「………きゅうん…」


「ポッチ、いいですか?お兄ちゃん達はポッチが大好きです。ポッチが大切です。危ないことを独断でしない!報告・連絡・相談は必須!!」


「きゅうぅん!ごめんなさい!でもクリスタルラビット君のお父さんとお母さんが売られちゃったらって思ったらほっとけなかったの!自由な風さんも居たし、騎士団に連絡もしたから大丈夫だと思ってやりました!」


「はぁ…まぁロザリンドに比べたらちゃんと考えて動いたみたいだしいいか…無茶はしたら駄目だよ」


「はぁい」


 外見が完全に別人になっちゃった僕だけど、皆が変わらなくて安心した。


 だから、ジェンドのお父さんが呟いた言葉は聞こえなかった。

 聞こえていたとしても、その時の僕にはどうしようもなかっただろうけどね。



 僕はその後工房ですてんどぐらすを試作していた。望んだ色合いを出すのは難しかったけど、上手くできるとグラデーションがとても美しい。ツヨシで魔力を流すと染色できることがわかった。それをさらに混ぜ合わせ、複雑な色を作り続ける。さらに魔力を流すと素敵な効果があることがわかった。

 クリスタルラビット君は炎に適正があったらしく、何回も溶かしてくれた。


 枠はすでにいろいろ試したけど、ミスリル合金が相性がよかった。


「………うん」


 出来上がったすてんどぐらす。満足な出来だ。そっとひとなでして、窓を見た。


「………………あれ?」




 夜が明けてた。


 ちょっとのつもりが徹夜しちゃってた。クリスタルラビット君も寝てる。


「あちゃ~」


 とりあえずクリスタルラビット君も一緒にお布団にもぐりこんだ。

 おやすみなさ~い。


 僕はアトリエの外で騒動が起きていたなどまったく気がつかずに寝てしまった。

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