表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/192

うん、びっくりだよ

 とりあえず必要な量を採取できたので帰ろうと思ったら、クリス君が待ったをかけた。


「ぴゅい、ぴゅ」

「子供しかいなイ、おかしイ」


「…それは僕も思ってた。クリスタルラビットは外に狩りに行くの?」


「ぴゅぴゅうう」

「この洞窟には餌がたくさんあるから必要なイ」


 入り口側の方が急に騒がしくなり、クリスタルラビットの子供達は一斉に隠れた。


「ぴゅ?」

「ぴゅ、びゅういぃ…」


「親、さらわれタ…」


 そうかそうか。つまり、ロザリンドお姉ちゃんが一網打尽にした馬鹿の残党だね?


「僕に作戦があります」


 こんな可愛い生き物を密猟する馬鹿は倒さなきゃ!







「あ?ガキが一匹?」


「おい、ガキ!仕事の邪魔だ!」


 よかった、人間の男だ。これならひ弱な僕でも大丈夫。


「変身!ウルファネアボーイ6号!!」


「は!?」

「やべぇ!ウルファネアボーイだと!?」


 ウルファネアボーイも有名になったもんだね。しかし、囮になるはずがすっかり怯えられてしまった。


「俺らを忘れてもらっちゃ困るな!」


 自由な風さん達があっという間に5人のおっさん達を捕縛した。


「さて、吐いてもらおうか」


「ふん、仲間を売ることなんざしねぇよ!」


「では、あなた達をうちのお姉ちゃんに引き渡すけどいいですか?お姉ちゃん、クリス君の仲間を密猟するような輩は大嫌いだから、きっと殺してと泣き叫ぶような目にあわせてくれますよ。僕のお姉ちゃんはロザリンド=バートンと言います」


「ろ…ロザリンド!?姫勇者ロザリンド!?見た目は美しいが残忍で、逆らう奴と悪人はある意味死ぬより酷い目にあわすという……犯罪者キラーのロザリンド!?」


「………多分そのロザリンドです」


 お姉ちゃんはどうなっているんだろうか。確かに敵はある意味酷い目にあわせるけど。


「すいませんでしたぁぁ!!しゃべります!なんでもしゃべりますから、黒歴史暴露だけは…!騎士につきだしてください!ロザリンドは、ロザリンドはイヤダァァ!!」


「……………」


 この人、うちのお姉ちゃんにナニかされたんだろうか…いや、好都合だ。ありがとう、お姉ちゃん。とりあえずお姉ちゃんがいると思われる方向を拝んでおいた。






 さて、犯罪者のアジトに踏みこむことにしました。


「いや、騎士に任せないのか!?」


「こういうのはスピード勝負です。フィズさんには通報しましたが、騎士の動きを察知されてクリスタルラビットが連れ去られたら意味がないです。それに、僕も正義(ロザリン)味方(ジャー)ですからね」


「ぴゅい?」


「ロザリンジャーは正義の味方だから、君達の両親を助けてあげる。大丈夫、一網打尽にするから」


「しゃーねーな。俺らの仕事は『ポッチの護衛』だ。これも仕事のうちだな」


「ありがとうございます!」




 悪いおじさん達の仲間は全部で30人。このメンツの敵ではないだろう。先ず、ミヅキさんに糸で出口を塞いでもらう。隠し通路や転移魔法の可能性も否めないから、とりあえず潜入することにした。


 すぐにクリスタルラビットは見つかったが、数が多い。30匹以上いる。どうするかなぁ。


 僕は少し考えて、建物の屋根に封印陣を描いた。丁度屋根が平らだから描きやすい。


「彼の者らを封じよ!封印(シール)!!」


 陣が発動した。これで隠し通路も転移も発動不可。入るのは自由だから問題なし!


「ナニしたんだ?」


友達(エルンスト)に教わった特殊結界です。入れるけど出られません。どうせだから、アレも使おうかな」


 ロザリンドお姉ちゃんから聞いた『ほらーはうす』の仕掛け。試してみちゃおうっと。




「ぎゃああああああ!!」


 ひたり、ひたりと寄ってくる内臓がお腹からはみ出て顔の半分が腐り落ちたモノ。


「く、来るな!来るな来るな来るな来るな来るなぁぁぁ!!」


 じわりじわりと迫る、髪の長い血走った目をした青白い女。



「なんで開かねえんだよぉぉ!!」


『ケケケケケケ』


 突如白目をむいてナイフで襲いかかる陶器人形(ビスクドール)たち。


「助けてくれ!誰か誰か!誰かぁぁぁ!!」




「ふふ、大成功」


 そんな阿鼻叫喚な様を遠隔記録魔具でのんびり眺める僕。


「ポッチ…」

「ポッチ君…」

「やっぱりロザリンドちゃんの『弟』だ…」

「あれはなんだ……(ガクブル)」


「あれは魔法院の天才ことエルンストと作ったほらーゴーレムのプロトタイプです。名前はぞんびー君とサダコちゃん、リッパーちゃんです。異世界にはほらーという人を怯えさせるモノを使って度胸試しをしたり、楽しむ風習があるんですよ。だから作ってみました!」


『あんなもん楽しめるかぁぁぁ!!』


「えー?」


 何か間違ったかなぁ?後でお姉ちゃんに聞いてみよう。さて、大半は無力化したみたいだしクリス君の仲間達を助けてあげなくちゃね。

 ポッチはよいこですが、やはり『ロザリンドの弟』として成長していたようです。

 エルンスト…いや、魔法院の人間と組むと、ちょいちょいやらかします。


 以前は怖かったホラーゴーレムもジェラルディンさんとの衝撃スプラッタ冒険のおかげで怖くなくなったみたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ