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ほうれんそう、大事

 ディルクのイチャイチャをフルチャージした私は、登校してすぐにメンタルをゴリゴリ削られた。神様、シヴァ様、クラリン様…私に何か恨みでもあるんでしょうか。よく考えたらシヴァには恨まれてもしかたない気がしなくもない気がするかもしれない。


 それにしても校門で土下座するのが最近のトレンドなんでしょうか?あと、私は土下座しろと言ったことは多分ないがやたら土下座をされている気がする。なんで皆普通に謝るとか場所を考えるとかしないんだろう。意識が斜め上に飛んでいたが、仕方なく状況を認識することにした。


 学校につきました。凛花さんに土下座されてます。後ろでオロオロしているディッツ君。おい、君まで土下座しようとするでない。ラヴィータは苦笑している。止めてくれよ。


「とりあえず、土下座をやめろ。そして何があったか説明!」


「喜んでッス!」


 今日は遅刻ギリギリだったので1限はサボることにしました。眠いし、マナーの講義だから受けても意味ないんで問題ない。

 適当な空き教室に結界をはって遮音も施しておいた。隠蔽も使っているから、賢者と同じかそれ以上の術者じゃないかぎり気がつくことも出来ないだろう。


「これで大丈夫かな?で、何があったの?」


 私は凛花から昨日の珍プレーに関して聞かされた。カーライル公爵子息はどうやって帰宅したのだろうか。大変気になる。現代日本ならば、間違いなく職務質問案件である。ナマ足ヘソ出しスネ毛ありという三重苦…見たかった!いや、見たくない!しかし、指さして爆笑してやりたかった!


「そんな面白いことするなら誘ってよ!」


「いや、わざとじゃないッス。ノリで…」


「ノリって…」


 ディッツ君が驚愕するが、凛花のこれまでの珍プレーを知る身としてはまだ抑えめな方だ。恐らくディッツ君への配慮だろう。


「まあ、やらかしたことは仕方ない。相手の出方を見ようか」


「はいッス!」





 そして、昼食でも報告しました。兄は手を叩いて爆笑した。


「ぶふっ…あのカッコつけによくやった!というか、そんな面白いことするなら誘ってよ!」


「ロザリンドちゃん」


「なんッスか?」


「自分の真似をしないでほしいッス!むっちゃデジャ・ビュを感じたッスよ」


「ついに予知能力に「目覚めてないッス!ルー様はやっぱりロザリンドちゃんのお兄様なんスね」


「「どういう意味かな?」」


 兄と私でにっこり笑いかけた。アルディン様が小さくヒッて言った。失礼な。


「息がピッタリで超仲良しってことッス!生意気言ってすんませんでしたぁぁ!!」


 凛花は即土下座をした。もう少し粘りをみせていただきたかった。アルフィージ様が実に楽しげに話しかけてきた。


「で、ロザリンド嬢はどうするつもりだ?」


「そうですね、向こうの出方次第です。ただ、凛花の魔法は強力ですから何らかの打診は来ると思われます」


 また何かあれば報告すると約束して、昼は解散となりました。




「あら、失礼…っきゃあ!?」


 わざわざぶつかってきたのはレティシア嬢。侯爵令嬢で、ものすごーく悪役令嬢っぽい。しかし、相手が悪すぎる。私は鍛えているのでぶつかられても筋肉が弾き返す…嘘です普通に攻撃反射の魔法がかかってました。つまり、私にぶつかったら逆に自分が弾き飛ばされちゃった可哀想なレティシア嬢。


「あら、ごめんなさい」


 レティシア嬢をなんとか受け止める。


「………!は、はなしなさい!」


「はい」


 転んだりしないようにそっとはなした。今日も可愛いなぁ。


「お、おぼえてらっしゃい!!」


 レティシア嬢は顔を真っ赤にして走り去った。うんうん、可愛いなぁ。つっかかっては自爆するので面白いし、飽きないし、レティシア嬢は近頃私がお気に入りな令嬢なのである。


「………ああ…黒歴史が…」


 ミルフィが頭を抱えている。ラビーシャちゃんがよしよししている。アルディン様は痛ましげな表情だ。


 ミルフィはレティシア嬢に会うと大体こうなる。昔、私に対して素直になれず暴言吐きまくりだったのを思い出してはいたたまれなくなるそうだ。私は気にしてないよ?なんだかんだでミルフィは私に優しかったよ?私は今のミルフィも昔のミルフィも大好きなんだよ?


「はあ……」


 ミルフィの発作が落ち着いたようです。


「ミルフィ、私はミルフィが大好きです」


「私もロザリィが大好きですわ。それにしても、レティシア嬢は…ロザリィにわざとぶつかるなんて!」


「いや、弾き飛ばしたし、気にしてない」


 むしろ向こうが大ダメージですから。


「…何故レティシア嬢はああもロザリンドにつっかかるんだろうな」


「それは…」

「ねえ…」

「まあ…」


「?」


 言葉を濁す私達。レティシア嬢はアルディン様が好きらしい。直情的なのは減点だが、一途で素直だし頭も悪くはない。私以外への態度は平民でもきちんと礼儀正しく、レティシア嬢はなかなかのオススメ物件である。爵位も侯爵令嬢で、問題ない。ただ、アルディン様は鈍いのでまったく気がついてない。アルディン様と仲がいいから私に絡んでるのもわかってない。



 レティシア嬢、頑張れ。先は長いぞ。



 私はレティシア嬢へ密かにエールを送った。私はニヤニヤしながら見守るとしよう。




 そんな事を考えていたから、バチが当たったのかもしれない。乙女の純粋な恋心をニヤニヤしながら見守るとか、よくないよね!反省するから許してくれないかな!?




 ロザリンド=バートン15歳。学校帰りに見覚えがあるおじ様に土下座をされています。今日は土下座祭りなんですかね?現実逃避した私は悪くないと思います。

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