表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BOY'S AUTOBIOGRAPHY  作者: 岳元らいと
PR
12/25

12 紀井 智明①

 とも編スタート。

 とも編はあくまでやす編の話のとも視点です。

 同じ内容がほとんどです。

 ずっと一緒にいるために。

 おれは、あの子の傍に、ずっといたいから。

 そのために考えて、考えて、考えて……。




・・・・・・・・・・




 金曜日。

 うちのクラス、五年一組の帰りの会が長引いてる。

 二組と三組はとっくに終わってんのに。

 原因は、五時間目に起こったケンカ騒ぎのせい。

 あーっ、おれ、先生に訊きたいことあるのにぃ……。

 もぉーっ、はやくしてよぉ……。


 あっ。

 おれ、紀井(きい)智明(ともあき)

 五年三組の、十一歳。

 ええっと、ちびだけど、そこは気にしないでっ。

 席は前のほうで、勉強はちょっと苦手だけど今は頑張ってる、……と思う。

 運動するのとか、遊ぶのはすっげー好き!

 って、これ言うとみんな呆れるんだけど、何でだろ?

 まいっか。


「いい加減にしろよぉ」

「そうよ、はやく帰らせなさいよっ」

「そーだそーだっ」


 さっきからこの繰り返し。

 みんなが文句を言って、でもケンカ騒ぎを起こした二人は一向に謝ろうとしない。

 てか、さっきから喋ってるのって周りのみんなじゃん。

 あ、ちなみにケンカ騒ぎを起こしたのは和久と順人。

 めっちゃ揉めてたし、止めるのも大変なくらいえっらいケンカだったんだぁ。


 えっとぉ……五時間目は理科だったんだけど、今日は実験の日だったんだ。

 今日は特に危険な薬品とかは使わない実験だったんだけど、役割分担をしないといけないやつだった。

 おれは別の班で、同じ班の杏奈が上手く役割を分けてくれたからさっさと終わったんだ。

 けど、和久と順人がいた班では、この二人がある役割をやりたいと揉めだした。

 初めはみんなそれぞれの班でわいわいやってたから気にしてなかったけど、段々二人の言い争いが激しくなってきて、みんな何となく異常な事態に気づき始めた。

 気づき始めた時にはもう遅くて、二人はもう取っ組み合いのケンカになってた。

 そこからはもう大変だった。

 先生がいたとはいっても、理科室の中は意外とごちゃごちゃしていて止めに入るのに少し手間取ってしまった。

 男子数人で止めたのはいいんだけど、二人とも興奮状態で、先生が話を聞きだそうとしても口を利かなくて、そんで五時間目はそのまま終えて、六時間目の社会の時間になったんだけど……。

 明らかに二人の空気が悪くて、教室内のみんなも何となく気まずい雰囲気になっちゃったんだ。

 それがずっと続いて、六時間目の終わり頃に先生も見兼ねて、そのまま帰りの会も使ってずーっとこのままってわけ。


 いい加減お互いに謝って、帰りの会終わらせてほしい。

 みんなの顔見てみたら、うんざりしてるような感じだった。

 ツカサなんか先生の死角に入って、音楽プレーヤーにイヤフォン刺して何か聴き始めたし。


 んー……ん? 廊下に誰かいるのかな?

 二組か三組の奴が誰か待ってんのかな。


「はーい。もうラチが明かん。二人はあとで先生のとこに来い。んじゃ挨拶するぞー」


 やっっっっっと終わったぁっ。


 てことで、起立っ。

 礼っ。

 さよーならっ。




・・・・・・・・・・




 みんながバラバラと帰りだしたから、前の専用の机に座っている先生のとこに向かおう。


「オイとも、帰んねーのか?」


 ツカサに声をかけられた。


 日高(ひだか)(つかさ)

 ツカサは、よく一緒に遊ぶ友達だ。

 時々拳骨を落としてきて苦手だなぁって思うこともあるけど、おれが悪いことがほとんどだし。

 てか、悪いことしない限りはそんなことしない奴なのも分かってるから、結構いい奴だし友達としてかなり好きだ。

 たまに勉強見てもらうんだー。


「うん。ちょっと先生に訊きたいとこあるから」

「そっか。んじゃ俺は帰るわ。じゃーなー」

「うん。ばいばーい」


 さてっと、先生のとこに……あっ、和久と順人が先生の前に立ってる。

 そっか、あとで来いって言われてたんだっけ。

 どうしよう……今先生に質問しに行くのはマズいかな……。


「ん? 紀井さん、どうした? 何か用があるのか?」

「あっ。はい」


 ちらっと和久と順人のほうを見て言うと、吉田先生は手招きしてくれた。

 先に話を聞いてくれるみたい。

 よかった。


「あの、ここ分かんなくって」

「ああ、ここか。確かにここは少し分かりづらかったか。うん。えっとだな……」


 おれは手に持っていたノートのあるページの一部分を指差しながら先生に見せた。

 さっきの授業で分からなかった場所を訊きたくて待ってたんだ。

 まさか帰りの会があんなに長引くなんて思わなかったし。


「……ってところかな。分かったか?」

「はいっ。ありがとうございますっ」

「うん。紀井さんは最近特に真面目に勉強をしているから、先生も嬉しいよ」


 へへへ……褒められちゃった。


 頭を下げてもう一回お礼を言って、自分の席に戻った。

 今聞いたことをちゃんとノートに書いとかないと。


 ええっと……ここは確か……。


「やすー、じゃーなー」

「うん。また月曜日に」


 それで、ここは……っと。


「やすくん、バイバイ」

「またね」


 んっとぉ……。


 ……。


 …………。


「……ん? って、や、やすっ?! 何でいんのっ?!」


 び、ビックリしたぁ……。

 何か、誰かの気配はしてたけど、やすだったなんて……。


「ずっといたよ。二組は割とはやく帰りの会終わったから」

「あ、ああ、そうか。……ごめん、忘れてた」


 勉強のことで頭の中いっぱいだった……。

 帰りの会の時に廊下にいたのって、やすだったのか。


「いいよ。ツカサくんから話は聞いてたし」

「そっか。……じゃ、帰ろっか」

「うん」


 こいつは、丸内(まるうち)泰邦(やすくに)

 みんなもおれも「やす」って呼んでる。

 やすは、おれん家の正面の家に住んでる、幼稚園の時から一緒の幼馴染みで親友!

 おれと同じで背が小っちゃいんだけど、勉強も運動もめっちゃ頑張るすごい奴なんだ!

 やすとはケンカもするけど、お互いのこと分かってて、助け合うことも多いんだ。……おれが助けてもらってることのほうが多いけど。

 あっ、でも、やすだっておれに頼ってくれる時あるんだぞっ。……最近は少ないけど。


 ま、まあそんなことは置いといて、そろそろやすと帰ることにする!


 勉強、教えてくれるって約束してくれたし。




・・・・・・・・・・




 靴箱のとこで靴を履き替えながら、ちょっと考え事……ってか、ちょっと悩んでいたことを思い出した。


「そういえば、先生のところに二人いたけど、あれ何だったの?」

「ぇっ、あっ、ああっ、あの二人今日ケンカしたんだ」

「? ふーん、そうなんだ」


 考え込んでてちょっと反応が遅くなっちゃった。

 うわぁ、今絶対何かおかしいって思われた……。

 いや、でもなぁ……どうしよう……。


「やす・とも」


 ん?


「ああ、みずきくん。今から帰るの?」

「うん」


 みずきだっ。

 ちょっと申し訳ないけど、今やすに変に思われてただろうからいいタイミングで声かけてくれてありがと!


 この、おれとやすよりも背が平均くらいある子は、松戸(まつど)瑞樹(みずき)

 ちょっと無口だけど、すんごくいい奴!

 今は三組だけど、去年は同じクラスだったんだ。

 よく遊ぶよ。

 昨日だってやすと一緒に昼休みと放課後遊んだし。


「やす。この前言ってた」

「ああ、うん。ありがとうっ」


 そう言ってみずきがやすに手渡したのは、本?

 ああ、小説か。

 この前何かそんな話してたなぁ。

 おれ、漫画しか読まないもん。

 字ばっかりの本って、ちょっと苦手ぇ……。


「じゃ」

「うん。また月曜日ね」

「ばいばい、みずきぃっ」


 やすと一緒にみずきが帰るのを見送ろうとしたら、みずきがおれたちの頭を撫でてきた。

 えへへ、くすぐったい。

 毎日ってわけじゃないけど、みずきはおれたち二人の頭を撫でてきたり抱っこしてきたりするんだ。

 イヤじゃないよ。

 そりゃ、他の奴にやられたらイヤだけど、みずきだと何となくいいやって思うんだ。

 何でだろ?

 撫で方が上手いのかな?


「とも、帰ろう」

「あっ、うん」


 みずきが帰ったのを見送って、おれたちも帰ることに。


 ……どうしよう、まだ全然考え事が解決してないよぉ。




 もうやす編でこの先の展開分かってんじゃん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ