老婆神
この老婆は神だ。
その名も老婆神。
新雪を操る神。
だが、そんな神にも悲しい過去があったのだ……
これはまだ老婆が修行をしてた頃の話である
まだ魔法は未熟だった。
そんな修行中の老婆にセワと名乗る女性が現れた
彼女は回復魔法が得意だった。セワは一緒に修行させてくれと頼み、老婆もやれやれと思いながら一緒に修行することにした。
それから老婆は毎日、修行をした。その修行と云うのも苛酷であり、時には心臓が止まった事もあったし、
腕を失ったこともあった。そんな老婆をセワは覚えた
ての魔法で治していった。
次の日にはまた老婆は死にかけて帰ってくる。それをまた治す。そんな日々が続いた。
ある日、老婆は疑問に思った。なぜ覚えたての魔法で
心臓が動いたり、腕が再生されたりするのかと。
気になった老婆は修行に行くふりをしてセワの行動を確かめた。
セワは山を降りて街へ向かって行った。老婆はいつの間にか気配どころか姿を消すことさえ、出来るようになっていた。
「街に出て一体何を?」老婆は思った。
するとセワが居た。子供に囲まれているみたいだ。
「ねぇセワ姉ちゃん?」子供がセワに尋ねた。
「どうしてセワ姉ちゃんは山に行っちゃうの?遊んでくれないの?僕の事が嫌いなの?」
セワが答える。 「私はね、雪が好きなの。だから山に行くのよ。」子供が更に答えた「そうか…なら仕方ないね。」何処か悲しげな表情をした。
と、その時怒号が響いた。
「おらああ!奴隷が何話してんだぁ??働け働け!!!!くたばるまで働け!!」
そして子供たちに鞭が向けられ、振り下ろされそうなその時
セラは鞭を受けた!更に鞭が振り下ろされる!
だがセラは子供達から離れない。それに呆れたのか鞭を振っていた男は何処かへ去っていった。
老婆はセワを抱きかかえて山へ帰った。子供達は暫く眺めていたがやがて帰った。
その夜、老婆はセワを何とか助けようとした。しかし、老婆は回復魔法が使えなかった……
結局、鞭の跡は消せなかった。
翌朝セワは早く起きて外を眺めていた。「雪って綺麗ね……」セワは言った。
すると老婆が起きてきて「だけど綺麗な雪は人を困らせる。私みたいに。」と言った。
「お願いがあるの。」セワが老婆に言った。
「言ってみなよ。」老婆は知っていた。回復魔法を持たない者が回復魔法を手に入れる為には回復魔法を持つ者を倒すしかない事を。
「貴方は火の魔法も使えるでしょう、その火で私を燃やして。そしたら街の子供達を守る事ができるでしょう……」
満足した様に笑った。
「二つ聞きたい事がある。一つ目はなぜその魔法で子供たちを助けなかったのか、そして二つ目はなぜ私の所へ嘘を付いて来たんだ?」
セワは答える。 「私の魔法ってね……欠点ばかりなの。だから子供と自分は治せないの。だから修行に来たって事は本当だったんだよ。でも、あなたの修行してる姿を見て思ったの。彼女ならこの世界を破壊して一から創り直せるんじゃないかってね。」
「つまりだ……私がその魔法を覚えられれば自分も子供たちも治せるって理由か」老婆は複雑な表情で言った。「当たりよ。貴方なら私よりずっと凄い魔法が使える。だからね……」
「分かった……」老婆は手に火を灯した。
「さようなら、そして、ありがとう。」セワはそう言うと灯した火に手を容れた。火はみるみる内に体に引火しやがて顔に点いた。そして老婆の手には美しい灰が溜まっていた。
老婆は柱に頭を打ち付けた。そしてその傷口に手を付ける。傷はみるみる内に治っていった。
その夜、老婆は泣いた。シワが増えるまで泣いた。
泣き止んだ時には朝だった。
そして老婆は山から街に降りた。理由なんて決まっている。子供達を救い出す為だ。その頃子供達は大人から酷い暴力を受けていた。ろうばは耳を澄ませる。聞こえた。子供達の声が
「破壊する!」そう老婆が叫ぶと周りの人間が驚いた。その途端、老婆は姿を消した。そして子供達の所へ急ぐ。「セナ、見ててね……」流した涙がやがて雪になり、地面に落ちた。
「死んだか。役たたずが……」
冷たくなった未来の希望を蹴り飛ばし、男は歩いた。
しかし、そこに声が響く。
「死んでないわよ。だってね、私が生き返らせてみせるからよ!」
なんだと!と男が振り向いた瞬間に巨大な氷の塊が腕に突き刺さった!
「その子供達には未来があるの。だから役に立つとか立たないとか関係ないでしょ!」
そして、子供達は救われた。地獄で仏に会ったような出来事だった。だが、なぜ老婆は男を殺さなかったのから?それにはこんな理由があったからである。
「殺しちゃったらこの魔法が意味無いじゃない。」
だから老婆は男を殺さなかったのだ。
そして、老婆は山に帰ってそれから二度と街に降りることは無かった。だが毎年初雪を降らせた。
まぁ過度過ぎて世界中に降るのだが……
(終)
────
「おい!何書いてんだよ!」ある中学生の一人は言った。「み、見ないでよ!!」焦った顔をしながらもう一人の中学生がノートを手で隠した。
「なんだよ辞書なんか借りて。」
「いや、その……あの…」
「変な物語を書くのもいい加減にしろよ。」そう言ってノートを取り上げた。「……おい!」
「わ!な、なな何??」
「お前、まさか老婆心の心を神に間違えてるんじゃ……」 「違うの?新雪を操る神って意味じゃないの?」
「老婆心って言うのはだな度を越した親切心のことだぜ。あと、世話を焼くってのはなぁ…」説明するのも馬鹿らしくなったのかどこかへ行ってしまった。
その後、この物語を書いていた中学生は老婆心の意味を知って顔を赤くしたのは言うまでもない……
物凄く馬鹿馬鹿しい物語が書きたくて、書きました。心を神に間違える人なんてたとえ厨二病でもいませんよね……
一応、老婆心の正しい意味と間違った意味を
正
度を越した親切心のこと、必要以上に心配したり世話をやいたりすること。おもに人に忠告はするようなときに自分の親切をへりくだっていうことば
誤
度を越した初雪神の事。セワという人物を焼いて回復魔法を手にした。必要以上なのでその初雪は
世界中に降るという。