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第四十八話「本拠地に地属性を」

 本拠地に戻ると、ノーラがベヒモスにブラッシングをしていた。

 既に今日の討伐クエストを終えているようだ。

 ただ広いだけの土地で、魔物の仲間達がゆっくりと休憩している。


 俺がレッドドラゴンの上から飛び降りると、仲間達が駆け寄ってきた。

 スケルトンのツルツルした頭を撫で、レイスの体を抱きしめる。

 四体のオークは嬉しそうの俺の体をペタペタと触り、ノールは自慢のクレイモアを磨いている。

 ドラゴニュート達は何やら昼食を作っているらしく、野生動物の解体をしている最中だった。

 ウサギだろうか、皮を剥いで肉の状態になった物を俺に手渡し、美味しいから食べてみろと言わんばかりの表情を浮かべた。

 流石に生のままでは食べられないと言うと、肩を落としてしょんぼりした。

 ボリスはのんびりと昼寝をしているようだ。


 ゲイザーは相変わらずフーガの背中に乗って、本拠地を駆け回っている。

 俺はフーガとゲイザーにコリント村までの手紙の配達を頼んだ。 

 ゲイザーは俺から手紙を受け取ると、すぐに出発した。

 きっとこの二体ならすぐに手紙の配達を完了して戻ってくるだろう。


 俺のいつもの仲間とのスキンシップを目の当たりにしたレベッカが固まっている。


「レオン……? この魔物達って?」

「ああ。俺の召喚獣だよ! パーティーのメンバーだ!」

「こんなに沢山! 幻獣のベヒモスまで居る! 幻獣を従えるなんてレオンは本当に凄いんだね……」

「まぁ、従えている訳ではないよ。力を貸して貰っているんだ。俺みたいなちっぽけな人間では、こんなに強い奴らを従わせる事は不可能だよ」

「魔物の力を借りるか……魔物は殺すか召喚して人間のために働かせる存在だと思ってたのに……レオンの考える事は普通じゃないわね……」


 しばらく本拠地を見て回っていたカイが俺のところに戻ってきた。


「レオン。石畳を敷く前に、まずは城壁を建てようと思う」

「城壁か……城塞都市みたいになったら格好いいだろうな」

「ああ。俺もそう思っているよ。背の高い城壁を本拠地を守るように建てる。それから石畳を敷けば、かなり豪華な雰囲気になるだろう」

「そうだね。カイ、よろしく頼むよ。必要な物があればいつでも言ってくれ」

「わかったよ。早速作業を始めるとしよう」


 こうしてカイの地属性の魔法による本拠地作りが始まった。

 広い土地の上に、石の壁を作り出して本拠地を囲う様に建てる。

 マナポーションを大量に飲んで魔力を回復させながら、四時間程掛けて立派な城壁を完成させた。

 ただの広い土地だった場所に、突如現れた城壁は、そこに新たな都市でもあるかの様な雰囲気を醸し出した。


 それからカイは本拠地に石畳を敷くと休憩に入った。

 一日でここまで作業が進むとは……。

 カイに相談して良かった。


 体の大きな魔物でも入れるように作られた正門をくぐると、レイス達は城壁の上に飛んで、まるで周辺を警戒するように見張りを始めた。

 魔物が本拠地に近づいたら、レイス達の弓によって駆逐される。

 これで本拠地の安全性が高まった。


「レオン、次は建物を建てようと思うんだけど」

「そうだね……まずは仲間達が暮らす家を建てて貰おうかな」


 俺はカイと相談して、正門の近くに守衛が暮らす家を建てた。

 大きな石造りの建物で、ここにはドラゴニュートとオーク、ノールが暮らす事になった。


 次に作ったのはボリスのための牧場だ。

 ここにはボリスとスケルトン、レイスに住んでもらおう。


 それから、俺達が暮らす屋敷を建てて貰った。

 魔法学校に通っている間は、屋敷を使う事は少ないだろうが、念のため建てて貰った。

 次に、本拠地を訪れた旅行者をもてなすための宿も作った。


「とりあえずこんな所かな? また必要な建物があれば言ってくれよ。いつでも協力する!」

「ありがとう! 本当に助かったよ」

「気にしなくていいよ。その代わり、俺も本拠地で家を建てたい!」

「ああ。好きに建ててくれよ」

「本当かい!?」

「うん。土地は余ってるし、まだ住人も居ないしね」


 俺がそう言うと、カイは目を輝かせて新しい家を作り始めた。 

 小さな二階建ての家で、一階は工房になっている。

 ここで鍛冶屋を始めるつもりなのだとか。

 こうして今日の本拠地作りを終えた俺は、レベッカの話を伺う事にした。


「随分待たせたけど、俺に話があるって言ってたよね」

「うん……実は一緒に倒して欲しい魔物が居るの」

「え? 魔物?」

「そう。闇属性、幻獣クラスの魔物。名前はアークデーモン」

「デーモン? 幻獣の討伐か……討伐クエストなら冒険者ギルドに依頼すれば良いんじゃないかな?」

「私もそう思って、冒険者ギルドのマスターにクエストを依頼したのだけれど、レオンに直接頼めって言われたよ。結局、高難易度の討伐クエストをこなすのはレオン達しか居ないからだって」

「そういう事か……どうしてその魔物を倒さなければならないんだい?」

「強力な闇の魔法を使い、人を殺めるアークデーモンが現れたという情報を、悪魔祓いの仲間から聞いたの。そのアークデーモンは一人の召喚師と共に行動していたらしいの」

「召喚師……? 魔物を使って人を殺すなんて許せない奴だ」

「そう……その召喚師はレオンと同じ精霊王の加護を受けた召喚師なの。その者は自分の事を魔王と名乗っている……」

「なんだって!? 魔王?」


 レベッカは俺の目をしっかり見つめて話を続けた。


「この世界には、レオン以外にも精霊王の加護を受けた者が居る。魔王は精霊族の少女を監禁し、不当に精霊王の力を手に入れた。強力な幻獣を次々と召喚し、大陸を支配しようとしているらしいの」

「とんでもない話だな……リーシア、他にも精霊王の加護を持つ者が居るって本当かな?」

「うん……その可能性もあると思うよ。私以外にも精霊王の指環を持つ精霊か……」

「そうだとしたら見過ごせないな。精霊王様の力を使って人を殺すなんて……レベッカ。その不届き者は俺が成敗しよう」

「本当!? ありがとう! レオン!」

「気にしなくて良いんだよ。俺もいつか精霊王様に恩返しをしたいと思っていたし。その召喚師を葬れば少しは恩を返せると思うんだ」

「そうだよ。ガウス様もきっと喜ばれるはず。レオン、精霊王の力で魔王を倒して」

「任せておけ!」


 こうしてレベッカは俺のパーティーに加わり、幻獣を操る魔王の討伐作戦が始まった……。

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