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第四十四話「魔法学校・入学」

 〈魔法都市・ザラス〉


 幻獣のレッドドラゴンの討伐を終えた俺達は魔法都市ザラスに戻り、冒険者ギルドに報告へ向かった。

 体の大きいベヒモス、レッドドラゴンは正門前で待機している。


 冒険者ギルドの入り口には大きな馬車が停まっていた。

 荷台が大きい幌馬車で、毛の黒い二頭の馬が退屈そうに待機している。

 御者台では見覚えのある金髪の美女が手を振っていた。


「ノーラ! 随分立派な馬車を手に入れたんだね!」

「ええ! レオンのおかげよ。行商を引退する商人から安く譲って貰ったんだ!」

「これなら魔物の素材も大量に運べそうだね!」

「うん! 早速今日から第二パーティーに合流するわね」

「ああ。任せたよ。ノーラ!」


 俺はノーラの護衛としてフーガを御者台に乗せた。


「フーガ。ノーラを任せたよ」

「バウッ!」

「ノーラ、第二パーティーはザラスの町の近くで待機しているよ。アルバーン姉妹を見つけて合流してくれ」

「わかったわ!」


 俺達はノーラを見送った後、すぐに冒険者ギルドに入った。 

 ギルドの受付の職員にレッドドラゴンの素材を渡し、討伐の報告をすると、ベルネットさんが奥の部屋から出てきた。


「レオン。幻獣のレッドドラゴンの討伐に成功したようだな」

「はい、ベルネットさん! 少々手こずりましたが、仲間達の力を借りて無事に討伐出来ました!」

「勿論、素材から新たにレッドドラゴンを召喚したのだろう?」

「はい! 既に召喚済みです。レッドドラゴンはザラスの町の正門でベヒモスと共に待機しているところです」

「ベヒモスとレッドドラゴンが暮らす町か……まったく、レオンがザラスに来てから毎日退屈しないよ。それで、これからも高難易度の討伐クエストを受けてくれるのだろう?」

「はい、そのつもりです。魔法学校に入学するまでの間、なるべく多くのクエストを受けてお金を稼ぐつもりです」

「そうか! それはいい考えだ」

「ところで、ベルネットさん。相談があるのですが」

「何だ? レオンの相談にならいつもで乗ろう」


 俺はゲイザーの料理を提供出来る場所を作れないか考えている事をベルネットさんに相談した。


「それなら……俺の親父の店で働くのはどうだ? ゲイザーの料理か……面白い。親父も歓迎してくれるはずだ。俺の方から今日中に話をつけておこう」

「本当ですか! お願いします!」


 俺の肩の上に乗っていたゲイザーは、嬉しそうに目を瞑った。

 ゲイザーがベルネットさんのお父さんが営む高級の宿で食事を提供するのか……。

 面白い事になりそうだ。

 本拠地を構えるまでの間、ベルネットさんのお父さんから料理を学び、腕を上げたら本拠地で魔物の仲間に料理を振る舞って貰うのも良いかもしれない。

 料理に使う食材を集めるための人員ならいくらでも居る。

 スケルトンやレイス達だけでも、大量の食材を手に入れられる訳だし。

 しっかり考えていけば、更に効率よくお金を稼ぐ方法は有るはずだ……。



 レッドドラゴンの討伐を終えた日から、本格的に本拠地作りのための資金集めを始めた。

 第一パーティーは、CランクやBランクの討伐クエストを中心に受け、第二パーティーは討伐難易度が低い魔物を大量に狩り、ノーラが魔物の素材を集め、ザラスの町で売り捌いた。

 ゲイザーはベルネットさんのお父さんの宿で、約一ヶ月間料理の技術を磨いた。

 人間よりも使える手、というか触手が多いゲイザーは、野菜や肉等を超高速で切り刻み、無数の触手を使い、複数の料理を同時に使う術を身に付けた。


 そんな生活が一ヶ月程続くと、俺達はついにザラスの近くに土地を購入した。

 土地はザラスを出て北に一時間程の馬車を走らせた位置に在る。

 レッドドラゴンに乗って移動すれば、ザラスから十分も掛からない。


 木々が鬱蒼と生い茂っている森林地帯で、まだ人が住める様な場所ではない。 

 まずは不必要な木を切り、仲間達が暮らせる小さな家を建てなければならない。

 本拠地作りを始めた頃、ついに魔法学校の入学日を迎えた……。



 〈三月一日〉


 今日は俺とリーシア、シルヴィアが魔法学校に入学する日だ。

 魔法学校に向かう前に、ルルとカイと合流し、ノーラの馬車で魔法学校の正門まで送って貰った。


 魔法学校の正門には、既に他の新入生達が集まっており、先生の指示を受けて校内に進んでいる。 

 生徒達は皆大きなトランクを学校に運び入れているが、俺達三人は荷物が少ない。

 入学初日は忙しくなりそうだったので、リリーはゲイザーに預けておいた。 

 ゲイザーはリリーを連れて本拠地に向かった様だ。


「新入生ですか? もしかして、Bランクの冒険者のレオン・シュタイン?」

「そうです。冒険者ギルドのレオン・シュタインと精霊のリーシア。召喚獣のシルヴィアです」

「確かに確認しました。進んで下さい」


 俺は先生と思われる人物のチェックを受けて大広間に入った。

 大広間には大量の荷物を抱えている新入生が待機していた。

 今年度の新入生は全部で五十人だ。

 そのうち十人が特待生。

 まだ会った事が無い特待生が五人。


「皆さん集まりましたね。私は皆さんの担任のハンナ・フリーゼです! 担当科目は召喚魔法。Aランクの召喚師です! 皆さんが入学試験で戦ったゴーストを召喚した先生と言えば分かるでしょうか。皆さんとお会い出来てとても嬉しいです! 入学おめでとうございます」


 二十代後半程の美しい先生で、金髪でポニテール。

 ローブの上からでも分かる豊かな胸に男子生徒は釘付けになっている。

 召喚魔法の先生が俺達一年の担任なのか……。

 大量のゴーストを一人で操り、受験生を翻弄した凄腕の召喚師だ。


「まずは寮に荷物を入れましょうか。男子は三階、女子は四階。特待生の皆さんは五階です。部屋の鍵をお渡ししますね」


 俺はフリーゼ先生から鍵を受け取ると、大広間の横にある階段から五階に上がった。

 大半の荷物を入学前に本拠地に置いておいた俺達は、特に部屋に運び入れる荷物はない。

 少量の服と魔導書を部屋に置くと、すぐに大広間に戻った。


「明日の一時間目はオリエンテーションを行います。今日の内に学校内を見て回って下さいね。大広間や教室を使って魔法の練習をして頂いても構いません。談話室でゆっくり休んで頂くのも結構です。ここを新しいお家だと思って過ごして下さいね。食事は一日三回、食堂で頂く事が出来ます。食事の時間は七時、十二時、十九時です。食事の時間は五十分間です。授業は一日の間に四回行われます。八時から五十分間の授業が四回なので、十二時には授業が終わります」


 フリーゼ先生は皆の顔を見ながらゆっくりと話しを続けた。


「放課後は学校内で過ごして頂いても構いませんし、ギルドに登録している方はクエストに挑戦して頂いても構いません。自由にお過ごし下さい。不明な点があれば明日の一時間目に聞いて下さいね。それでは、これからブライトクロイツ魔法学校での生活を楽しんで下さいね。今日の説明は以上です。解散!」


 随分シンプルな説明だったが、明日の八時に教室に居れば良いという事だ。

 明日からの魔法の練習が楽しみで仕方ないな。

 今日はこれからどうしようか……。

 かなり時間が余ってしまった。

 レッドドラゴンに乗って本拠地まで飛ぼうか。

 仲間達に指示を与えて本拠地作りを進めなければならないからな。

 俺はルルとリーシア、シルヴィアを連れて本拠地に向かった……。

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