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9話

すいません、執筆が捗らなかったための息抜きにはまってしまっ(殴

あと、リアルな話受験がヤバいので停止していました。


これからも、多分更新遅れます。それでも、辛抱強く付き合ってくださると嬉しいです。

『グオッ』



突然倒れ込んだ裕樹に、亜竜は困惑と喜びの声をあげながら近づいていく。


ここで起きたとしても、相手は格下。

そう考えていたのか、スッと立ち上がった裕樹を見ても、ゆったりとした歩みを止めなかった。


しかし、



『ッ!』



見開かれた金色の瞳に射抜かれると同時に、亜竜のすべての筋肉が停止した。


立ち上がった裕樹の姿は、まるで別人のようだった。

日本人の証だった黒髪は白髪混じりになり、体表は闇夜に溶け込むような漆黒に変わっている。

しかし、何より変わったのは、その迫力。


亜竜は、己の3分の1も無い存在に、まるで山を相手どっているような、圧倒的な威圧感を感じていた。



──一方的。



その後起きたのは、戦いというには余りにも一方的な蹂躙だった。



「…………」

『グォォッ!』



漆を塗ったように黒い裕樹の腕が亜竜の爪を砕き、続く右回し蹴りが亜竜の牙を折る。

それでは終わらず、鳥のような亜竜の体を片手で地面に叩きつけると、頭を全力で殴る。殴る。殴る。


止めとばかりに、既に原型を留めていない頭を踏み抜くと、ビクッ、と亜竜は痙攣し、動かなくなった。



「…………」



その姿を見た裕樹は一息つき、草むらへと目を向けた。

そこでは、白髪を持つ少女が信じられないものを見たような顔で裕樹を見つめていた。










「ちっ……」



後ろに迫ってくる三人の追っ手を目にし、少年は小さく舌打ちした。



「狙いすましたようにあいつが居ない時かよ。面倒くさいな」



相方である白い少女は居ない。

相手を撒くにも、一人ではなかなか難しい為、少年は面倒くさがっているのだ。



「仕方ない、落とすか」



そう呟き、少年は歩みを止めた。

それに従い、追っ手も距離を保ちながら立ち止まる。



「やっと諦めたか?」

「いや、逃げようと思えば逃げられんだけどさ。めんどくてめんどくて」

「なに意味のわからないことを」

「意味がわからないといえば、なんであんたらは俺を襲うのよ。俺悪いことしてませーん」

「簡単なこと。お前らが魔物の一種である『鬼人族』だからだ」



まるで、常識だという様子の男を見て少年は一瞬表情を曇らせるが、またヘラッとした顔に戻す。



「…………あらら、バレてたのね。なんなら、魔物じゃなくて亜人登録してくれたら良いのに」

「ふん」



気に入らないという感情を顔で表現しながら、顎で少年を捕縛するよう指示を出す。

指示を受けた二人の男は、腰から魔力の篭った鎖を取りだして襲いかかってきた。


少年は、瞬時にあれが捕縛用の魔道具だということを見抜き、捕まえられると痛いんだよなぁと呟いた。


しかし。



「も少し鍛えようよ」



少年の右腕と左足が消えたかと思えば、走り出そうとした二人の男が、腹を押さえて倒れ込む。

間髪入れず動き出し、少年はリーダーと思わしき男の前へ。



「なっ……!」

「ちょいと、記憶消させてもらうから」



恐怖からか驚愕からか。全く動けない男に少年は手のひらを向ける。

そして人差し指と親指で輪っかを作り、力をこめ……


……デコピンを放った。



「ふげっ!」



男は数メートル吹き飛んだ後、2回転してようやく止まった。気を失っているようだった。


それを一瞥し、少年は踵を返して歩き出す。



「……やっぱ、そうなんだよな」



疲れた顔で一人ごちた後、少年は白い軌跡を僅かに残して、月夜の闇に消えた。

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