月と昼間と思いと沢ガニ
闇の空に浮かんで
見つめている右目
猫の眼のウインク
きっと眠たいのだろう
わたしはといえば
溶接された思いたちを
ずるずると引きずって
眠りの浅さに困っている
逃げ水の夢
緑光り煌めく水しぶき
蜃気楼の街並
灼ける土の白っぽさ
真夏の昼間の空気は
迫力ある沈黙
空洞の強さって本当ですか
水の清らかさって信じていいですか
割れたガラスが刺さったままです
血の赤さに嘘は溶けていますか
小さな視野は幸せですか
あの日の大きな滝は玲瓏と
今も枯れていないから
沢ガニたちだって生きていて
涼しい岩陰から脚を覗かせている
いつかまた見つけたら
フライパンで炒って食べてしまおう
お読み頂いてありがとうございます。