第2話 異世界で初めての食事
ある程度の挨拶が済んだ後、カリンが私をリビングに案内してくれた。
リビングには床に大きな獣の毛皮が敷いてあり、その上に大きなクッションが幾つか置いてあった。
その上に座らせてもらいながらカリンが私の体の様子を見ていたようで少し眉をひそめながら言ってきた。
「レティシア様に聞いているよ、桃子は魔力のない世界から来たんだろう?………魔力のない人間にはこの世界は少し厳しいからねぇ、今日はこのままそこでゆっくり眠ると良いよ。
少しずつ身体が魔力に馴染んで魔力が満ちてくるから。そうすれば魔法も使えるようになるしね」
言いながら私の上に毛布をかけてくれた。
少し頭が痛かったのも確かだったので、カリンの言う通り眠ることにする。
「お昼ご飯には起こしてあげるから、それからもう一度身体の調子を見てあげるよ」
「ありがとでしゅ」(しかしさっきから舌が回らん、さすが3歳児だよ)礼を言いながら眠ってしまったようだ。
美味しそうな匂いがしてきたので、無意識に目は閉じたまま鼻をクンクンさせていたようだ。
カリンが笑いながら「お昼ご飯ができたよ〜」と起こしてくれた。
目をグリグリこすりながら、大きなあくびをして、「は〜い」と返事をしながらダイニングテーブルに向かうと、ドラク爺がドヤ顔しながら大きな大人用のゴツい椅子ではなく、小さな可愛い子ども用の椅子を見せて、「儂が作ったんじゃ、さあさあ座ってみろ!」と椅子に座らせてくれた。
「ドラク爺ちゃん、ありがとうでしゅ」
ドラクはニコニコしながら隣の椅子に座って「なんの、儂は天才じゃから椅子を作ることなど朝飯前じゃ」
と笑いながら言っていた。
カリン婆が近づいてきて私の額に手を当てて熱があるか確認していた。
「もう大丈夫だね、もっと酷く熱を出すかと思っていたけど、大した事がなくて良かったよ。これならしっかり昼食が取れるよ」
その言葉を聞いた途端、私のお腹が〈早く食べさせろ〉と言うように、ググゥゥゥゥ〜と響き渡った。(恥かしいよぅ)
お腹の音を聞いて笑いながらも、カリン婆はすぐに昼食のシチューを持ってきてくれた。
「お腹がびっくりしてはいけないからゆっくり食べなさいな」
「はいでしゅ…………いただきましゅ」挨拶を済まして、すぐにスプーンを取り一口食べるとお肉の旨みがジュワーと溢れ出て野菜の甘みと相まってとっても美味しいシチューだった。
「とっても美味しいでしゅ、カリン婆ちゃん」
「ありがとう。ゆっくり食べるんだよ喉に詰まらせないようにね」
「はい」
ハフハフ言いながらゆっくりと食べ進めていく。
ドラク爺はガツガツとお代わりしながら食べていたし、カリン婆は上品にニコニコしながら食べていた。
お腹がいっぱいになったので、ごちそうさまをするとお代わりを勧められた。
お腹を触りながら「もうパンパン」と言うと笑われてしまったが、楽しい食事だった。
これならこれからもやっていけそうだと初めての食事を終えた。
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