『戦争』
その夜。
店の後片付けを終え、入浴 食事を済ませた後。 現在19歳のマンジュリナ。そして明日は記念すべき誕生日。
他のものは誕生日を自らが生まれためでたい日。贈り物を期待し、豪華な食事を目の前にする。
だがマンジュリナは違った。
もちろん自らが生まれためでたい日だ。
だが、その日があるのは産んでくれた人がいたから。育ててくれたから。 それを感謝する日だとマンジュリナは思う。
豪華なものを期待するなんざ滅相もない。
マンジュリナはこの夜ベッドに入り、今まで世話になった雑貨店の店主アンネに礼をしようと考えた。
『うーん。やっぱりカードかなぁ?』
嬉しそうに微笑む。
ふっと眺めた窓の外にはきれいな月。
『明日は...満月かな』
照らされるマンジュリナの部屋は薄光によって美しくなる。
くすっと笑うマンジュリナ。
『明日...楽しみだな』
そういって 溶けたろうそくの火を 小さな息でフッと 消した。
次の日の朝。
年中 前線の影響で天気が乱れないエルメス。
マンジュリナは窓にさす太陽の光で目が覚めるのだが......。
今日は珍しく太陽が隠れ黒い雲に覆われていた。
午前10時 住人が賑わう時間帯。
だがそれは
太陽の優しい光で目を覚ますマンジュリナ。
今日の光は優しいものではなく
熱く 熱く 熱い光を放つ炎だった。
熱気を感じ『んっ...』と声を出す。
紅い炎は掛け布団に移り 燃える。
激しい痛みによって飛び起きたマンジュリナ。 原因不明な部屋の炎に 腕を火傷してしまった。
ヒリヒリする痛みに耐え、店を出た。
すると目の前には焦り、騒ぐ住人の渦。
そして黒い空には倍に近い家々の燃えかす。
さらに焦る住人の間から見てしまった
大勢の軍隊