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DOOR  作者: 一真 シン
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第五章 「光と闇」

 ――瞼が重い。

 部屋のランプは消えてしまい、窓の外、城内の明かりが微かに室内に入ってきて、ボンヤリと辺りの様子を浮かび上がらていた。

 ササルの話を聞き終わった後、一人部屋に閉じこもった。頭の中が真っ白になっていたためか、ここで一人、何をしていたのかわからない。ただ、これだけ瞼が重いということは……。

 ベッドの上、力無く座り込んだまま、ランプに明かりを灯そうともせず、どこを見つめるわけでもなく視線を落とした。

 ……とにかく苦しい。何かを考えようとすると、顔が熱くなって、目に涙が浮かぶ。

『……グレン様の時はまだみんなが許せたんです。彼は王族の一員ではありましたが、御使命を持っておられるわけではありませんでしたから。……けれど王子は違います。……わかってますね? 光の継承者として、王子はこれからも生きていかなければならないんです。門番を封印なさった後も、これから王子はその監視者としての役目があります。これは、封印を成し得た王子でなければできないことなんです。……リィナさんのことは忘れなくちゃいけませんよ。そうでなければ辛いだけなんですから』

 ……そんなに簡単なものじゃないだろ? 運命で巡り会えた、そこまで聞かされたのに。……こんなことなら、聞かなけりゃよかった……。






「まだ当分の間はブラックゾーンに包まれそうね……。本当なら今の時間、太陽が登る時間なのに」

 虚ろな目で地面を見つめるリィナの横に並んでいるカーチスが、目を細めて空を見上げた。

 城の外、国王や后、各国の王族や兵士達、みんながリィナとエンジェルを見送ろうと集まってきている。エンジェルは馬車を取りにササルと一緒に馬小屋へと向い、その間、リィナの側にはカーチスが付き添った。

「……感謝してるよ」

 スエーカーが近寄ってきて、素直な言葉を告げた。

「二人の協力がなかったら、今頃あたし達ゃこの世にゃいないだろう。……ありがとう」

 リィナはか細い笑みを浮かべ、小さく首を横に振っただけ。

 カーチスはそっと、城の最上階の方へと視線を向けた。見上げるその視線の先、部屋に明かりは灯っていないが――。

 馬車の音が遠くから聞こえだし、振り返ると、エンジェルが馬の手綱を引きながらゆっくりと歩み寄って来た。その隣で、ササルは歩き保って「よしよし」と黒い馬を労うように背中を撫でている。

 国王は、リィナとエンジェルが二人並んだの側にゆっくりと近寄った。

「そなた達には、なんと礼を言ったらいいのか……」

「やるべきことをやった。それまでのこと」

 エンジェルは相変わらずの無愛想さで軽く首を横に振った。

「当初告げたとおり、これで我々の関係は切れることになる」

「……うむ」

「漆黒の森には金輪際近寄らぬよう。我らとて、毎度あなた方を受け入れるとは限らない」

 そう厳しい表情で告げると、誰からの言葉も待たぬまま、馬車のドアを開けてリィナを促した。

 リィナは、寂しそうな戸惑いを見せるみんなを見回し、視線を落とすと、ぺこりと会釈した。

「……さようなら……」

 微かな声で別れを告げ、ゆっくりと馬車の中に入る。彼女がイスに座ったのを見届けると、エンジェルはドアを閉め、そしてためらいなく御者席に乗って手綱を掴んだ。

 ササルは側に寄ってエンジェルを見上げた。

「……それじゃ、エンジェルさん。……本当にありがとうございました」

「……あとは頼むぞ」

「はい……」

 エンジェルは、みんなに別れを告げることなく手綱を引いた。――馬が足を踏み出して車輪が動き出すと、ゆっくりと城から馬車が離れていく。みんなは、暗闇の中に溶ける彼らのことを、ただじっと見つめ、その姿が消えるまでそこに立ち尽くした。

 ――窓ガラスに手を付いて、じっと下の様子を見つめた。闇の中に消えた馬車を目で追いながら、歯を食いしばって、必死に何かを耐えて。

 ……グレン。……あんたの時もこうだったのか? ……。いや、違う。あんたはあんたで、オレはオレだ。……そう。……オレはあんたと同じ道は辿らない。

「……」

 ……オレは光の継承者だ。……全てを投げ出すわけにはいかないんだ。……あんたのように、簡単に死んじゃ……。

 頭の中で自分に言い聞かせるように話していたジークハイドは、不意に顔を上げた。

 ……オレは……グレンと同じじゃない――。……そう、……同じじゃ……ないんだ……。






 ――誰ともすれ違わないように、影に隠れながら馬小屋へと足早に向かう。ブラックゾーンが幸いしたのか、暗くなっている城内では誰一人として彼の姿を見つける者はいなかった。

「……よし、オーリン」

 真っ白な馬の側に近寄ると、その顔を優しく撫でた。

「……怖いか? ……怖くないよな? ……オレは怖くないぞ」

 オーリンは「ブルルン……」と鼻を鳴らし、ジークハイドの頬に顔を擦り寄せた。「怖くないよ」、そう伝えるように――。

 ジークハイドはオーリンの首に腕を回した。

「……オーリン、お前なら見えるだろ? ……オレを漆黒の森まで案内してくれ……」

 言いながら、オーリンの手綱を引っ張って馬小屋から出す。人がいないことを確かめると、足音を忍ばせて、そ……とオーリンを連れて歩く、が……

「馬泥棒みたいね」

 その声にジークハイドは驚くこともなく、ゆっくりと振り返った。

 カーチスは腕を組んで馬小屋の壁にもたれ、呆れるようなため息を吐いた。

「まったく。……で? 行くの?」

「……行く」

「そう。何をしに?」

「……」

 カーチスは、目を逸らして黙ってしまったジークハイドに再度ため息を吐いた。そして、彼の後ろの方に目を向けると、顎をしゃくって見せた。

「お付きも一緒?」

 その言葉にジークハイドは背後を振り返ったが、その時にはもう遅い。ササルはニッコリと笑っていたが、ガシッとジークハイドの腕をいきなり掴み上げた。

「おいっ!!」

「王子っ、行かせませんからねっ!」

「くそぉ!! 離せぇ!!」

 ササルは暴れるジークハイドを後ろからしっかりと抱きしめた。

「忘れなきゃダメだって言ってるのにっ。どうして言うことを聞かないんですかっ?」

「聞けるか!!」

「ダメですっ! 今回ばかりは王子のわがままは許しませんっ!」

「わがままじゃないだろ!!」

 ジークハイドは手足をバタつかせてササルから逃げようとする。ササルはササルで、そんな彼を逃がしてたまるか、と必死で取り押さえる。オーリンは足下の枯れ草に興味を示しつつも、「……ブルルンッ」と、唇を鳴らしてササルに頭を寄せ、体を軽く押した。まるで「やめろよ」と言ってるようだ。

 カーチスは砂煙を上げる二人を見て深く息を吐いた。

「……行けばどうなるか、わかっているでしょう?」

「わからない!」

「どうして? ササルさんからちゃんと話は聞いたはずよ?」

「グレンの話なんか知るか!!」

 ササルに羽交い締めされながら、ジークハイドは身を乗り出してカーチスをにらんだ。

「オレはオレだ!! オレはっ……!」

 言いかけて言葉を詰まらせると、すぐにうつむいて顔を背ける。――一気に鼻の奥が熱くなって、胸が苦しくなった。

 カーチスは、「……ったく」と目を据わらせ、ため息混じりに壁から背を離して近寄った。

「……泣き虫ね」

 そう言って、ジークハイドを背後からしっかりと押さえるササルに目を向けた。

「ササルさん」

「は、はいっ。大丈夫ですっ。ちゃんと捕まえておきますからっ!」

 自信に満ちた笑顔で告げるが、

「離してくださいな」

 と言われて「……、えっ?」と笑顔を強ばらせて目を見開いた。

「け、けどっ……」

「離してあげてください。好きにさせてあげていいですから」

 微笑むカーチスに、ササルは戸惑った。

「そ、それは無理ですっ。エンジェルさんとも約束したんですよっ。絶対に王子を漆黒の森には近付けさせないってっ。約束破ったら、エンジェルさんに噛み殺されますっ!」

 半泣きで白状するササルにカーチスは少し呆れて肩の力を抜いたが、苦笑すると、ジークハイドを締め上げる彼の腕を撫でてにっこり笑いかけた。

「エンジェルさんに負けるほど、ササルさんは弱くないでしょ?」

「……。も、もちろんです!」

 顔を真っ赤にしながらも胸を張って大きく答えたその途端、力が緩んだその隙を狙って、ジークハイドはササルの腕をすり抜け逃げた。

「あぁっ!!」

 ササルが慌てて腕を伸ばし捕まえようとするが、カーチスがその間に入り込んで立ちはだかった。

「カ、カーチス先生っ!?」

 愕然と目を見開くが、カーチスは何も答えず、オーリンにまたがったジークハイドを振り返った。ジークハイドも、手綱を握って彼女に目を向け、こくりとうなずいた。

「……行ってくる」

「王子!!」

 ササルが慌てて後を追おうとしたが、その頃にはもう、ジークハイドに足でお尻を蹴られたオーリンはあっという間に闇の中に消えていた。

「ムチャですよ!! こんな真っ暗な闇の中で無事なワケ……!!」

 ササルがすぐにランプを持って別の馬を引っ張り出そうとしたが、それをカーチスに止められた。

「大丈夫ですよ」

「でも……!」

「……待ちましょう。……帰ってくるのを」

 焦りの色を浮かべるササルの腕を掴んだまま宥めるようにそう言って、カーチスはジークハイドが消えた暗闇を見つめた――。

 ……オーリンのヒヅメの音、そしてどこからか聞こえる獣の声。風が体を撫で、時折、何かが体に当たる。

 ――何も見えない。手元も、足元も。暗闇に目が慣れることはない。

 あまりの暗さに恐怖を感じた。どこに向かってオーリンが走っているのかもわからない。……ひょっとしたら崖に落ちてしまうかも。背後から獣が迫ってきているかも知れない。

 不安材料はたくさんある。たくさんありすぎて、先のことも考えられない。

「ヒヒィ……ン……」

 オーリンが小さく声を上げて、走る足の速度を緩めた。そして、ポク、ポク……と、のんびりした足でウロついている。

 ジークハイドは真っ暗な世界、何かを探すように辺りを見回した。……もちろん、何も見えない。

「……オーリン?」

「ヒ……ン」

「……、漆黒の森、か?」

「ブルルン」

 ジークハイドは手綱を持ったまま、手探りでオーリンの頭を撫でた。

「……ありがとう、……オーリン」

 そう礼を告げると、彼はゆっくり、足下に気を付けながら、爪先で地面を確かめつつオーリンから降りた。そして、再び手探りでオーリンの体を撫でる。

「……よしよし。……一人で帰れるか? ……帰れるよな……?」

「ヒヒン……」

 オーリンの顔がジークハイドの肩に乗る。恋しがるように、顔を擦り寄せてくる――。

「……大丈夫だよ。心配することはないから」

 オーリンの顔を撫で、そして服のポケットに手を入れて小袋を取り出した。この中には光草の種が入っている。撒いていけば、またここに帰ってこれる。たとえ道に迷っても。

 けど……

 ……何も見えないんだ。手探りで歩くしかない。いつ死神にさらわれるか、いつ獣に襲われるかわからない。……これを蒔いて歩いても、戻って来れなかったら? ……戻って来る気があるのか? ……リィナに会ったら……ここに戻ろうって、思えるのか?

 ……オレはなんのために彼女に会いに行く? ……なんのために……――

 ジークハイドはじっと考え込んでいたが、顔を上げると、手探りでオーリンを優しく撫でた。

「……じゃあな、オーリン……。……ありがとう……」

 そう小さく言って彼は目を閉じ、本能のまま、手探りで森の中へと足を踏み入れた――。

 ……どこからか獣の声がする。虫の声、枯れ葉や枝を踏む音……。時々つまずきそうになり、体に何かが当たり、その度に驚き、立ち止まる。最初にこの森に入ったとき以上に緊張して、怖い。

 ……けど……。

 手探りをする手が木を探した。何かに触れないと落ち着かない。木に触れ、草に触れ、そして爪先に集中する。たまに閉じている目を開けるが、やはり真っ暗なまま。真っ暗なら目を閉じて置いた方が、気分的にいいだろう。

 時折、フワ……としたものが彼の横を通り過ぎた。「鳥が横切ったんだ」と思うように心掛けた。“他のこと”は想像しないようにした。だが、段々と集中力もなくなってくる。気を張り巡らしすぎて疲れも溜まってくる。……ひょっとしたら、もう迷ってしまったのかも知れない、そう思った。今回は黒猫の後を追いかけて来たわけじゃないし……。

「……」

 けど、オレとリィナの出会いが運命なら、きっと、また出会えるはずだ。……信じている。……そう信じている。たとえ闇の中でも――

「……?」

 目を閉じていた瞼の向こう、薄い皮から何か透けて見え、ジークハイドは閉じていた目を開けて足を止めた。

 ……城だ――。

 城の前に馬車が止まり、それらを浮かび上がらせるように湖の水草が光っている。いや、その周りをボンヤリと光る何か小さな生き物が飛び交っているからそう見えるのだろう。

 幻想的な風景に、しばらくの間ボー然と見とれていた。辿り着いた安堵感よりも、その光景があまりにも綺麗で……。

 足を踏み出しゆっくりと近寄ると、一本橋の手前で立ち止まり、城を見上げた。光る虫がいっぱい飛んでいる。彼の周りにも。

 ただ、城を見つめていた。そこから足を踏み出すことはなく。……何かを待つように。

 ――手から小袋が落ちた。中から光草の種が落ち、転がった先で瞬く間にたくさんの葉を広げる。まるでスポットライトを浴びているかように、彼の足下で輝きを放った。

「……」

 言葉もなく、ただ城の方を見つめていると――城のドアが開き、夜光虫にまとわりつかれながらリィナが現れた。遠く、彼の姿を見て少し悲しげに目を伏せたが、顔を上げると、取り繕うような笑みで近寄ってきた。

 ジークハイドは立ち尽くしたまま、彼女が歩いてくるのをじっと見つめているだけ。

 リィナはジークハイドの前で立ち止まると、彼の足下から頭のてっぺんまでを見渡し、苦笑した。

「……いっぱい、何か付いてる」

 ……確かに。闇の中を手探りだけで歩いてきた。綺麗な格好をしているわけがない。葉っぱや泥や、蜘蛛の巣だって絡んでいる。

 リィナは手を伸ばして髪の毛に引っかかっている葉っぱを取り、蜘蛛の巣を軽く指ですくい取っていく。ジークハイドはそんな彼女を見つめていたが、やっと、口を開いた。

「また……会えたね」

 その言葉に、リィナの表情が消え、動きが止まった。

 夜光虫たちが、ゆっくりと二人の周りを飛び交っている――。

「……うん」

 リィナは少し微笑んでうなずいたが、目を逸らして静かに切り出した。

「エンジェルを呼んでくるから……、お城に戻ってください。それと……もう、ここには来ないでくださいね……」

 悲しげな笑みを浮かべながらうつむくリィナに、ジークハイドは無表情なまま続けた。

「……無事にここまで辿り着けたよ」

「……」

「オレは死ななかったし、死神にもさらわれなかった。きっと、みんなは光の神の御加護だって言う。……そうかも知れない。光の神もわかっているんだ、オレを死なせたらいけないんだってこと。……光の継承者を失っちゃいけないんだってこと」

「……うん……」

「……けど、オレは運命に導かれたんだって信じてる」

 ジークハイドは、うつむいたままのリィナから、周りを飛ぶ夜光虫に目を向けて微かな笑みを浮かべつつ辺りを見回した。

「……キミはまた……ブラックゾーンが過ぎたら眠っちゃうの?」

「……うん……」

「そっか……」

「……うん……」

「また一年後に……目を覚ますんだね……」

「……、うん……」

「ずっと……それを繰り返して……」

 ジークハイドは表情を段々と消して言葉を切らすと、うつむいたまま目を閉じたリィナへ、そっと目を戻した。

「……グレンは、死ぬことで闇の生き物になり、キミの傍にいられると思ってたんだろ? ……けど、キミの役目は死者を導くことだ。……グレンは結局、傍にはいられなかったんだね……」

 リィナの顔が少し悲しみに歪んだ。それにつられるように、ジークハイドは唇を震わせた。

 ――息が震えて喉に詰まって、言葉を出すことができない。胸が痛くて、暑くて、爆発しそうだ。

 けど……このままじゃいられない。言わなくちゃいけない……。

「オレ……、グレンと同じには……なれないよ」

「……」

「……オレ、……オレ……光の、継承者……だからっ……」

「……」

「……運命でキミに出会えた。けど……これも、運命……なんだろ?」

「……」

「オレ……もう、キミとは会わないよ……」

「……」

「……光は、闇になれないんだ……。……闇も……光にはなれないっ」

 必死な思いで告げた。言葉の一つ一つが震えて、いつ途切れるかわからなかったが、それでも最後まで言えた。――しかし、もう耐えられない。

 ジークハイドは息を詰まらせて顔を歪めた。こぼれた涙が足下の光草の上で弾け、地面に消えていく――。

「……さよなら……リィナ……。……、さよなら……」

 体中を踏ん張らせてやっとの思いで告げると、ジークハイドはグイッと袖で目を拭い、俯いたままのリィナを見ることなく彼女に背を向けた。――彼の目の前には、撒いてきた光草が永遠に続いている。

 暗い森の中に続く光草の道。その先をじっと見つめていると、気持ちが高ぶって、また涙が溢れた。一瞬、「このまま時間が止まって欲しい」と願った。

 しかし、その願いが届かないことはわかっている――。

 流れた涙を拭うことなく、足を進めた。夜光虫が一匹、また一匹と彼の側から離れていく……。

「……私、何百年も生きてきました」

 彼女の声で足を止めた。だが、振り返ることなく、視線を落として地面を見つめた。

「……運命で出会った人も……グレンさんの他にいました……」

「……」

「……けど……」

 リィナは紅潮して歪んだ顔を上げ、ジークハイドの背中を見つめた。その目に大粒の涙が溢れ、ポロポロとこぼれ落ちていく。

「……別れが……こんなに辛いのは初めてです……」

 ジークハイドは目を見開いて顔を上げた。

挿絵(By みてみん)

 ――振り返ろうとした。一瞬、気持ちが大きく揺らいだ。

 ……しかし……

「……ありがとう……運命の人。……あなたの“優しさ”は……わすれません」

「……」

「あなたは……生きている人達の光になってください……」

「……」

「……、ありがとう……」

 震える声を耳に、ジークハイドの細めた目からポツ……と涙が落ちた。そして、彼は光草の道を、“光の継承者”としての道を辿った――。

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