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05






 Dランクの依頼をこなすこと半月。ポイントも大幅にたまり、あと少しでCランクにあがれるかと言う所で、シキはリュイがやけにご機嫌なことに気付いた。


 宿の一室で話を聞くべく、彼女の好きな紅茶とお菓子を用意する。ゼロは現在依頼を受けていて傍にいない。


「リュイ、どうした?」


「ふふっ。実はとっても素敵な子をギルドで見つけましたの!」


「素敵な子?」


「はいっ。エルフ族の冒険者だったのですが、周囲を固めるのが狼族と鳥族のたぶん剣士か戦士系ですわね。それと人間の魔道士っ。それぞれにアプローチをかけられているのにまったく気付いていなかったんですの! 彼こそまさに天然総受けっ子です!」


「……リュイがそこまで気にするということは、そのエルフの冒険者は」


「男の子ですわよ、勿論」


 目をきらきらさせているリュイにシキは小さくため息をついた。


 お嬢様風の口調に見合うだけの可憐かつ美麗な容姿をしているリュイの趣味は人間観察。特に、男同士がいちゃこらしているのを見るのがとても好きなのだ。


 現実でもよくその手のイベントに行ったり、二次元のキャラクターを使って小説や漫画を描いているとシキは聞いていた。


「好きだな、リュイはそういうのが。前にも男同士のカップル見て騒いでいた」


 アルカディア・オンラインは世界各国にプレイヤーがいたためか、わりと恋愛は自由な部分が多く、中には実際にゲーム内で結婚したり恋愛関係になる同性同士のカップルも少なくはなかった。


「シキも嵌ってくれたらよろしかったのに。ああ、でも今のシキは男性だから、わたくしの妄想対象に入りますわよ?」


「中身は女だが」


「外はBL、中身はNLである意味健全ですわね」


「ああ、なるほど……って納得するなオレ」


「シキは恋愛するならどちらですか?」


「何だ、いきなり」


 細くて白い指を口元に当てて考える様子を見せるリュイを、シキは素直に可愛いと思う。自分の本来の性別が女性であることを唯一知っているプレイヤーでもあったので、ゼロとは違った意味で大切にしていた。


「さっきも言いましたが、シキの肉体は男性ですから恋愛をするなら女性でしょう? でもシキの中身は女性。精神で考えるなら恋愛対象は男性」


「そういうことか。恋愛……今のところそういうのにも興味ないし、考えられないっていうのが正しい。それ以前に、自分の体を見るのも微妙な気分なんだ」


 シキの今の状態はかなりアンバランスだ。


 男の体に女の心。


 肉体変化を受け入れたとはいえ、最初は戸惑った。特にお風呂とトイレで。


 ゲーム内では排泄など必要のない行為だったが、今シキがいるのはゲームの世界じゃない。異世界と言う名の現実だ。


「……シキは恋愛しないつもりですの?」


「いや、恋愛はしたい」


 恋愛はしたい。


 それは間違いない。


「でしたらその時のために考えておかないと。対象を男か、女か」


「そうは言っても……」


「簡単ですわよ。抱きたいか抱かれたいかで考えればいいんです」


「……考えておく」


 眉を顰めるシキに、リュイはくすりと笑ってから手元にお菓子を齧った。












 ポイント既定のラインに達し、昇格試験を受けようと三人はギルドに足を運んだ。しかしカウンター前は人でごった返しており、自分たちの番が回ってくるまで時間がかかりそうだった。


「どうする?」


「番号札取ってその辺でだべってりゃ時間くるだろ」


「それもそう……ああっ、あれはフィン君ですわっ!」


「「ふぃんくん?」」


 ゼロとシキの声がはもる。


「シキにはこの前お話したでしょう? 天然総受けっ子のフィン君ですわ」


「ああ、あの」


「リュイ、てめえまだあの趣味治ってなかったのか……」


「一生治らないと思います」


 きっぱり宣言する彼女に、シキとゼロはちらりとお互い視線を交わし合い、頷いてそのまま放置しておくことを決めた。


「やっぱり可愛いですわ、フィン君……ああ、しかも新しい人も加わって……」


 リュイの視線の先には一人の少年を囲むようにして立っている四人の男がいた。


「そんなに気になるんなら話しかけてくりゃいいじゃねえか。同族に会えてうれしいとか言ってよ」


「ナイスですわ、ゼロ」


 さっそくとばかりに向かうリュイの後ろ姿を眺めて、シキはゼロを伴って近くのテーブルに座る。


 二人の間にその時ばかりは会話もなかった。


 しかしそれでも空気は和やかなままで。


 テーブルに突っ伏したシキの髪をゼロが撫でて、シキはその手を自分の手にとって、互いの手の大きさを比べて違いにへこんでいた。


「なんでお前こんなにでかいんだ? 身長も10センチくらい違う」


「文句は運営に言ってくれ。外見はともかく、身長はカスタマイズしてねえ」


「身長のカスタマイズなんてないだろうが。あったらオレも高くしている」


 そこで話は一端終わった。満面の笑みでリュイが二人を呼んだからである。手招きしている彼女に従い、二人は立ち上がりそちらへ足を向ける。


「フィン君、わたくしの仲間のシキとゼロですわ」


「初めまして、フィンです。種族はエルフです」


「シキだ。種族は竜族、よろしくな」


「ゼロ。種族は魔族」


 ゼロが種族名を言うと、フィンの周囲にいた者たちが剣呑な目つきで彼を見る。


「……そんな目で見られる謂れはねえんだけど?」


「ちょっ、みんな何してんのさっ。ゼロさんは悪い人じゃないでしょっ」


「けどこいつ魔族じゃん。フィン、昔魔族の奴に何されたか忘れたわけじゃないだろ?」


「確かにそうだけどっ。でも、ゼロさんはあの魔族じゃないし、そんなこと言ったらクロスの憧れてる『夜の調べ』のアレクセイさんだって魔族じゃないか」


「ア、アレクセイさんは別だっ」


 フィンの隣にいたクロスと呼ばれた狼族の青年が慌てたように弁解し始める。


「クロス、フィンの言うとおりだ。冒険者の中にも魔族の者はたくさんいる。魔族だからとひとくくりにするのはいいことではない」


「ラス……」


「私はラス。種族は人間だ。ゼロ殿、先ほどは失礼した」


「いや……」


 深々と頭を下げるラスと名乗る男。彼に続くようにテーブルを囲んでいた残り二人の男たちがそれぞれ自己紹介をする。


「セイン。種族は鳥族、よろしくね~」


「ゾックス。人間で格闘家をしている」


 へらへらとした笑みを浮かべるチャラ男系の青年と、筋肉質のマッチョな男。


 全体を見ればかなりアンバランスなのだが、シキは自分達三人も見た目だけならアンバランスなので人の事は言えないなと思う。


「……クロス。狼族の魔法剣士」


 最初に突っかかって来た狼族の青年が投げやりに名乗って来るが、


「クロスっ、ちゃんと挨拶しないと口きいてあげないからねっ」


「ぐっ、それは嫌だ」


「じゃあ、ちゃんと挨拶する。まったく、こんな子に育てた覚えはないのに……」


 フィンに窘められ、きちんと挨拶といった形に直して自己紹介をした。





これでメイン、サブメイン共に勢ぞろいです。

フィンがいわゆる王道系ポジションの総受け子です。


そして、感想ご指摘いろいろとありがとうございます。

それらを踏まえたうえでがんばって更新していきたいと思います。



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