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 困ったちゃん竜がよく荒らすという畑や、広場などに罠を仕掛けてから数時間。村人たちにはまったくの被害を及ぼさないので、二人はのほほんと村人の仕事の手伝いをしていた。


「こっちの木材はあそこでいいのか?」


「いやあ、助かるよ兄さん。若い奴らのほとんどが怪我で寝込んでいてね」


「ま、運搬程度なら魔法で出来るからな」


 ゼロの周囲には魔法で浮かされた積み重なった木材がある。魔王となったゼロにとって、浮遊魔法は初歩中の初歩。


「魔法ってすごいんだねぇ」


「僕も魔法覚えたいっ」


「あたしもあたしも!」


 子供たちがゼロの足元に群がって、無邪気な顔で彼を見上げている。ゼロは嫌がることなく、子供たちの頭を撫でている。


「木材がたくさんあって危ねーから向こう行ってな」


『はーい』


 元気よく返事をした子供たちは、大人の邪魔にならないように離れた場所から見ていた。そんな様子に口元に笑みを浮かべつつ、ゼロは指定された場所に木材を下ろしたその瞬間、村のどこからか「来たぞー!!」という叫び声が聞こえて、村人たちは慌てて家屋へ避難する。子供たちも笑顔から一転、恐怖に彩られた顔で母親たちに抱きかかえられて家の中へ。


「ちっ! 子供たちになんて顔させやがる……」


「何気に子供好きだよな、ゼロは」


「子供はいい意味でも悪い意味でも素直だからな。時々腹立つこともあるが、あの無邪気な笑顔には救われる。だから、子供の笑顔を奪った奴の罪は重いんだよ」


 くるりと銃を回しながら肩に乗せ、もう片方の手にはサーベル。基本的なゼロの戦闘スタイルだ。


「んじゃ、困ったちゃん竜を見に行きますか」


「ああ」


 現れた竜が飛んで行った方には、ゼロが仕掛けた罠のある畑がある。上手くいけば、今頃その罠にかかっているはずだ。


「お?」


 竜の甲高い叫び声が聞こえてくる。


「……ゼロ。なんだかすごい悲鳴が聞こえてくるんだが、何を仕掛けたんだ?」


「あぁん? ダブって持ってたドラゴンスレイヤーと唐辛子と塩水と縄を合成して、竜体に反応するように作った捕獲網。逃げようとすればするほど絡みつく、スキル【捕縛】もつけたからな」


「ド、ドラゴンスレイヤーって……えげつない」


 ドラゴンスレイヤーはその名の通り、竜族にダメージを当てることのできる武器だ。それがメイン材料の網なら、触れているだけで竜はダメージを負う。


「基本的に、一定以上のレベルの竜は人里にはこない。来るのは成体前の奴か、レベルの低い阿呆だけだだろ? だからドラゴンスレイヤーは有効なんだよ」


「……唐辛子は?」


「傷を負った体に塩水と唐辛子は辛ぇだろうなぁ?」


「鬼畜……」


 喉を鳴らして笑う姿はどこかの悪役を彷彿とさせる。その笑みのまま畑に辿りつけば、大きすぎず小さすぎずな金色の竜が網の中でもがいていた。


「わめいている」


「竜族同士の念話か。どうだ?」


「頭が痛い」


 眉を顰めてこめかみを押さえているシキに、ゼロの眦もつり上がる。どうやら思った以上にやかましいことを悟ったゼロは、うめく竜の前に立って叫んだ。


「おいこらっ! これ以上痛い目見たくなかったらさっさと谷に帰るんだな!」


「……あいつ、聞いていないぞ。ずっと痛いと出せしか言っていない」


「……子供か?」


「いや、見えるステータスから換算すると、人間で言えば高校生くらいか」


「……面倒くさそうな奴」


「その面倒くさそうなのがまた来たようだ」


 視線を流せば、谷の方からカラフルな色合いが三体。慌てて金色の竜の元に降り立ち、人間の形態を取って網を切り裂いた。


「フィオリース!」


「しっかりしてください、フィオリース!」


「これ、ドラゴンスレイヤー。フィオリース、人間に」


「なんてことを!?」


「フィオリース、人型を取って。そうすれば痛くないから!」


 その声に答えるようにしてフィオリースと呼ばれた金色の竜が人型を取る。まさに金髪碧眼の美少年という言葉に相応しいくらいだが、ゼロにとってみれば相棒のシキや仲間のリュイのほうが美しいと思う。同じ金髪碧眼なら、エルフのフィンのほうがまだ好ましい。


「お前ら、その困っちゃん竜の知り合いか?」


「……フィオリースをこのような目に合わせたのは貴方方ですね」


「自業自得だろ。畑を荒らし、村人たちに怪我を負わせたんだ」


「人間のことなど知ったことではありません。フィオリースの邪魔をするのが悪いのですよ」


「……同じ竜族とは思いたくないな」


「へえ? あんた竜族なんだ」


「同族の気配もわからないほど弱いのか? 確かに弱そうだが」


「っ!?」


 (……シキの奴、キレかかってやがる。ま、俺も同じだがな)


 銃を竜達に突き付け、ゼロは口角をあげる。


「さてガキども、もっと痛い目見たいんなら構わねぇぜ?」


「……ここは一度引きましょう」


「なんで!?」


「フィオリースの治療が先です」


「傷、不快」


「……わかった」


 竜達はフィオリースと呼ぶ竜の体を抱え上げ、翼だけ出して谷の方に去っていった。完全に姿が見えなくなるまで見届けると、一時的に罠を解除してシキが荒らされかけていた畑の土を元に戻す。


「見事なもんだな」


「大地の精霊に助けてもらっただけだ。リュイがいればもっと楽なんだろうけどな」


 小さく息を吐いてから、土の感触を確かめて頷く。どうやら満足の行く出来だったようだ。


「一度戻ろうぜ。報告もしねえと行けねえし」


「ああ」


 それぞれ武器を仕舞いこんで広場に戻ると、待ち構えていたように子供たちが笑顔で足元に群がる。全員がきゃっきゃっと嬉しそうな声で二人の名前を呼ぶ、


「ぜろー、抱っこー!」


「あたしもー!」


「仕方ねえな、おらっ」


 抱っこを迫る二人の子供をそれぞれ片手で抱き上げる。まったく違う視界に二人の子供は楽しそうに笑う。


「すごーい!」


「高い高い!」


「ゼロ、お前なんだか保父さんみたいだ。本当に子供好きなんだなぁ」


 そんな声が耳に届いて、ゼロは僅かに目を細めてシキを見る。そして不意にあることを思い出した。


「子供っていえば、あいつどうしてんだろうな」


「あいつ? ……ああ、アートルムか。覚えているのは散歩に行ったのが最後だな」


「ああ」


 アートルム。


 とあるイベントのミッション終了でゼロとシキがもらったアイテム、もとい闇竜のことであり、その流れでゼロがゲーム上で養子にした。


「……まさか、あのミッションラスボスの闇竜を仔竜に転生させたのが褒賞品だとは思わなかった」


「同感だな。まあ、仔竜になってもレベル1000超えだったのは運営側の配慮なのか、システム上のバグなのかは未だにわかんねえけど」


「システムの書き換えが面倒だったんじゃないか? 確か大型アップデート直後だっただろう」


「それもありえるな。まあ、そのあたりは俺らが知る余地もねえし、知る必要もねえだろ」


「しすてむ? ぜろとしきは何の話をしてるの?」


「「あ」」


 腕には未だ幼子を抱いたままの状態でリアル世界を交えた話をしていた二人は、子供たちの突っ込みに思わず焦ってしまう。


「あー、うん。気にすんな」


「えー」


「あたしわかった。おとなのじじょーって奴なんでしょ? パパとママがよく言ってた! だから聞かない」


 えらいでしょ? 褒めて褒めて、と言った顔をする少女の頭をシキは手を伸ばして撫でて、不貞腐れたような少年にも苦笑しつつ同じように撫でる。


「シキ、なんかかーちゃんみてぇ」


「……オレは男なんだが」






そろそろそれっぽい感じにしたいなーと思いつつ、相変わらずの距離な二人。

王道も出すならアンチ王道も出すべきだよねってことで、アンチ王道的キャラです。

そしてなんだかゼロのキャラクター性というのがなんだかカオスだったので、改めて一から考え直したら子供好きになったという……しかもなんだか某キャラっぽいんですが……

もう一度人物紹介を書きなおそう……



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