第4話
しかしそううまくいくだろうかと、龍は自らに問いかけた。
家族は、俺に協力するだろうか。みんな俺の事を不信心な罰当たりだと思っている。あんなことがあってからは、特に……
神のことを今更俺に話すとは考えにくいしーー
午後の授業が終わり、龍は急いで家に帰った。
「……」
「おかえり」
「兄貴、どうしてこんな時間に家にいるんだよ。大学の授業サボったのかよ。」
「なんだ、その口の利き方は。太一兄さんと呼びなさい。」
兄の変人ぶりはいつものことなので、龍は何もいわずに部屋に行こうとしたがーー
「おいおい、せめて自分の質問の答えぐらい聞いていけよ。なぜ家にいるかって? 今日は大学の創立記念日だ。」
「そうか……実は兄貴、聞きたいことがある。」
「なんだよ?」
重要さを強調するために、龍は一瞬間をおいた。それは、龍がただならぬことを切り出そうとする勇気を象徴していた。神について、それは龍にとっての禁忌。だから、あえてそっけない聞き方をした。
「神は、どこにいる?」
微笑とともに帰ってきた答えは、
「俺たちの心の中に。」
「つまりはどこにもーー」
「しかしそれが真実……いや、待てよ。もしかしたら……それは……」
ちょうど良いタイミングで、両親が帰宅。
後で、と言い残して兄は二階に消えた。
両親に聞かせたくないと言うことは期待してよし。そう思った彼は、久しぶりに、緊張を味わった。