決心
今回も、特定の宗教を信じている方に失礼な表現があるので、ご注意下さい。
「現方 龍っっっっっっっっっうう!!学校のテスト、100点とったんだろうなぁぁぁぁ!!」
(親父、うるせーな。酔っぱらったからっていって、息子のことフルネームで呼ぶか??「あらかた たつ」って単語、いい加減聞き飽きたぜ。)
「100点だよ、全部。」
「そうかそうか。それでいい。はっはっはっはっは!!!ところで太郎……」
(そうだ、それでいい。99.99%のお仲間と一緒に、仲良くやってろよ。美人の妻に、二人の天才大学生。会社では昇進ラッシュ。これ以上望む物、あるか??ないだろ。だから俺のことは放っておいてくれ!!)
彼は味を感じられない夕食を一番に食べ終わり、自分の部屋に戻った。
部屋に戻るとすぐ、彼は机に向かった。
「向かった」というのは、彼の部屋は普通の家ならリビング位の広さだったから。さらに、彼の部屋は足の踏み場も無いほど、本が散乱している。
彼は、「ニーチェを理解する」と「初心者用哲学解説」につまずきながら、机に着いた。机の上は、床と対照的にほこり一つない。
(どうすれば……どうすれば神がいなくなるのだ……殺せるのか?)
彼は自問する。しかし答えはでない。腹立ち紛れに、壁の十字架を殴りつける。なぜそこに十字架があるのか。
それは、彼の家族は敬虔なクリスチャンだからである。その信仰ぶりは徹底していて、家を新築するとき、全ての部屋に、十字架を取り付けたのだ。
この事は、家族会議で四対一で可決された。もちろん、反対したのは当時まだ10歳の龍だった。龍は小学生なりに必死に主張した。
「うちに他の宗教を信じているお客さんが来た時、
嫌な気持ちになるかもしれないよ。」
しかし、彼の家族は耳を貸さなかった。
キリスト教に限らず、宗教を信じる者は時にして、真実に対して不誠実になるものだ。
(憎い・・・)
(真実に耳を貸さない家族、残酷なまでに繰り返す毎日。そして、この不完全な世界を創造した神が、憎い!!!)
彼はつぶやいた。
「決めた。」
「神を殺す。」
「罪には、罰を。」
「この不完全な世界を創造した神を殺して、数え切れない人々を苦しめた罰を与えてやる!!!」
そう、
「計画殺神」の始まりである。
もしよろしければ感想、評価などお願い致します。