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無知のアレリア  作者: せきち
第一章「メリアリード編」
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第十六話「冒険の始まり」

戦士リエルア。

今はカレアの「治癒」である程度の負傷は治ったが、完全回復するために教会の病室ベットで安静にしている。

アレリアも、ほぼ同じ理由だ。


灰色の、長い髪を持ったリエルアは、アレリアと同じくベットに埋もれながら話を続ける。


「えーと、アレリアだっけ君」

「あぁ」

「アレリアはさ、ずっとあの二人と冒険してたの?」

「いや、違う。俺が入ったのは一ヶ月前だ。元々、二人だけのパーティだったんだ」

「あー、へぇ。そうなんだ」


リエルアは底なしに明るかった。

メーデルを相手にしてる気分だ。


俺も、もう少し明るく振る舞うべきなのだろうか。

アレリアは逆に聞き返す。


「そっちは?」

「私?私はパーティができたときからのメンバーだよ。2年は経ってる」

「おぉー、すげぇ」

「だろ」


ベッドの上でパチパチ拍手をするアレリアに対し、リエルアは鼻を高くする。


「…ま、今は二人だけだけどね」

「…盾役とリエルアだけか」

「盾役はカルトっていう名前だよ。カルトも、創立以来のメンバー」

「なるほど」


お互いのパーティについて、色々語り合った二人。

側から見たら女二人が談笑しているように見えるが、アレリアは男だ。


「…………あ」


不意に、話題を変えるリエルア。

思い出したように口を大きく開ける。


「あ、そうだ、聞きたいことがあるんだった」

「ん?なんだ」


少し、神妙な顔をするリエルア。

思わずアレリアはベッドの上で身構える。


「魔族との戦いの時さ、竜巻でみんな巻き上げられたのあったでしょ?」

「…あぁ、あったな」


なんとなく、リエルアが質問したい事がわかってきた気がする。

これはまずいパターンだ。


「アレリアが魔術を唱えたら炎と竜巻が消えたのって、あれ何?」

「…あー、あれはね。そうだな」


額に冷や汗がたらり。


必死に、頭の中で言い訳を探すアレリア。

どうしよう。


素直に「見えない魔術」を使いました、って言って納得してくれるはずがない。

ていうか、俺が一番納得していないのに俺以外に話して円満に会話が終わるとは到底思えない。


なら、なんと言うべきだ?


「……俺の、出自が特殊でさ。ちょっと事情があるんだよ」

「ふーん、あんま深く聞いちゃダメな感じ?」


あれ、意外とすんなり受け入れてくれた。

よかった。


いや、よくない。

これは一時的な回避にしかなってない。


…まぁ、最初に話すのはメーデルとカレアって決めている。

その時までに、自分が何なのかをもっと良く知らないと。


リエルアに目を向けたアレリアはこくりと頷く。


「ダメな感じ、だ」


そんなこんなで3日が過ぎて、アレリア、リエルアは退院。いや、退教会?をすることとなった。


「いやーよかったです。英雄のお二人ともすぐに回復して」

「ほんと、ありがとうございました」

「ました」


教会の中の病室から出てきた神父とリエルア、アレリア。

リエルアの感謝の言葉にアレリアが被せる。


この三日間でアレリアとリエルアはすっかり仲良くなった。

心を打ち開けられるといった点ではカレア、メーデルと同じレベルにまで仲良くなった。


「………」


辺りをきょろきょろと見回していたアレリア。

すると、奥の大きな像に目が止まった。



巨大な女が、小鳥を両手で眺めている石像だ。


裸だ、この女。

はれんちだ。


何か、心を引き寄せる力が、この像にはある。

決して裸だからではない。


アレリアが神父に尋ねる。


「神父様、この像ってなんだ?」

「あぁ、こちらは我らが教会のシンボル。女神様の像です」


女神様。

この世界は宗教があった。

それは女神を敬うといったものだった。


この宗教に他の競合宗派はないため、名称はない。ただただ「宗教」と言われている。


「美しいでしょう」

「あぁ、何故か惹かれる」


ちゃっかり、神父に好印象を残して、アレリアとリエルアは教会をあとにした。


メーデル、カレア、カルトは王城前の広場で待っているそうなので今からそこに向かうのだ。


道中、アレリアがリエルアに話しかける。


「…あの石像、裸だったな」

「…え?」

「え?」


途中、変な空気になりかけながら、二人は大通りを歩いていく。


ーーー


あんなに破壊し尽くされていた王都の北方面は大通りだけだが、すでにレンガの舗装は終わっていた。

さすが王都と言うべきか。


建物の復旧は流石にまだだが、もうすぐしたら建築に取り掛かるだろう。


そんな中、アレリアたち英雄は再び広場に集まる。


「………」

「其方らの偉業を讃え、再び魔族に打ち勝つため………(中略)…とする」


長ったらしい国王の演説を聞いて、「メリアリード」一行とリエルア、カルトのパーティ「アークメイド」は北へ旅立つことになった。


早くもレンガで舗装された床を歩き、北門へ向かう5人。

すでに魔族を滅ぼすという覚悟を決めていた。


ちなみに、もう一人の生き残った冒険者は、北へ行くのを諦めて、王都で冒険者として過ごしていくそうだ。


ローブを新調したメーデルが大通りの道の傍を指差す。

アレリアはそちらを向く。


「見て、アレリア。すげぇ」

「だな」


今回はアレリアたちを見送る群衆の数は前の4倍はいる。

魔族を倒した話題は広まるのが早い。


「人気者だね」

「悪い気はしないな」


リエルアの笑い声にカルトが頷く。


道を歩きながら、アレリアがリエルアに尋ねる。


「リエルアたちってこれからどうする?二手に分かれるか?」

「いや、一緒にいた方が安全だし。同行って形でついてくよ」

「なるほど」


これからは合同パーティとして冒険者する事になったアレリアたち。


リエルアが前方に指を刺す。

そこには王都の出口、北門があった。


「お、そろそろ抜けるよ」

「本当は3日前にここ、通ってたはずなのにね」

「だな」


カレアの苦笑いにアレリアが相槌をうつ。


アレリアたち一行は遂に魔族領へ足を進め始めた。


「はーぁ、いくかぁ」


物語は、ここから始まる。


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