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66.私のことを、もう少し困らせてほしい

 そういうわけで、今日はリオンとクリスマスデートだ。

 朝一でルイとリオンが家に来て、ルイはママと掃除をしてくれている。


「デートできないのは残念だけど、久しぶりにシスターにしごかれながら掃除するのも、まあ悪くねえよ」


 ルイはそう笑って、ママと一緒に見送ってくれた。

 リオンと私は一緒に近くのショッピングモールにやってきた。


「すごい、クリスマスだ」

「こちらの神への信仰はすごいな」

「向こうはもっと静かだったもんね。生誕祭とかなかったし」

「日本にはたくさんの神がいるらしいが、そのうち会えるのだろうか」

「どうかなあ。八百万だっけ。それだけいたら、一柱くらいお会いできるかもねえ」


 エントランスにクリスマスツリーがあったので並んで写真を撮った。

 うーん、カップルみたいな写真だ。


「うん、よく撮れている」

「近いなあ」

「デートなのに離れている方がおかしいだろ」

「まあ」

「ほら、行こう」


 リオンの手が私の手を取った。……デートだし、ね。

 それからシャンメリーを試飲したり、雑貨屋さんを見て回ったり。お昼もモールの最上階にあったいい感じのレストランでクリスマス限定メニューを食べて、クリスマスを満喫した。


「クリスマスプレゼントを買おう」

「勇者にか? そこの麩菓子はどうだ」

「リオンにも買うよ。何か欲しいものある?」

「ピアスがいい」


 予想外の返事がきた。ピアス?


「あ、そういえば前はしてたね」

「あれは翻訳魔法がかかっていたんだ。魔族は種族によって言語が違うから。今は不要だが、しかし、ずっとつけていたからな。ないと落ち着かない」

「うんうん、じゃあピアスを買いに行こう。せっかくだし私も開けようかな。前世では司祭様に聖女のイメージが壊れるって言われて禁止されてたから」

「じゃあお揃いにしよう」

「……うん」


 私が頷くと、リオンは一瞬目を丸くしてから、微笑んだ。

 恥ずかしいから、そんなに嬉しそうにしないでほしい。

 手をつないで雑貨屋さんに行った。

 男女兼用で、そんなに派手じゃないもの。あとリオンには言わないけど、前世のリオンがつけていた赤い石のついたもの。


「これ、どうかな」

「いいんじゃないか?」

 リオンがピアスを手に取って私の耳に当てた。

「似合う?」

「とても」


 肩に、リオンの手が乗った。

 顔が近寄って、少しだけ触れて離れていった。


「……すまない、つい」

「い、いいよ。謝らなくて」

「もう一回しても?」

「あの、お店では恥ずかしいので、場所を考えてもらえれば!!」

「このピアスを買ってくる」

「クリスマスプレゼントなんだから私が買うよ」

「いや、僕に買わせてほしい」

「じゃあ、お願いします」


 リオンがレジに向かっている間にルイへのクリスマスプレゼントを選んだ。リオンとはお揃いのピアス、なら、ルイはこれにしよう。


「それは?」

「ルイへのクリスマスプレゼント」


 黙り込んでしまったリオンを引っ張って、お会計を済ませた。

 そのまま地下にケーキを買いに行く。


「リオンはどれがいい?」

「……どれでもいい」

「じゃあ三人で同じのにしようか。あ、ママにも」


 小さいブッシュドノエルを四つ買った。

 リオンの手を引いて、家に向かった。


「ねえリオン。私、あなたのこと好きだよ」

「そうなのか」


 やっとリオンがこっちを見た。


「でもねえ、ルイも好きだな。申し訳ないんだけど選べない」

「……前世の死に際と比べたら前進してるし、まあ、いいか」

「ごめんね、優柔不断で。二人ともかっこよすぎて、困る」

「これからも、ずっと僕のことで困ってくれ」

「ふふ、うん。私のこと、困らせて」


 自宅マンションのエントランスを過ぎて、オートロックをくぐった先。

 非常階段の踊り場でリオンの腕の中に収まった。

 温かくて力強くて、安心できる場所だった。 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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