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61.また、私のこと好きになって

 秋の夜。

 私は、自宅マンションの屋上にいた。

 前にはルイとリオンが並んで立っている。

 少し離れたところには、リオンママと真野さんも立っていた。

 ……私たちが覚悟を決めてから、一週間が経っていた。


 この一週間で、私達以外の転生してきた人たちには話をした。

 アイリは、


「前世なんてないのが普通だしね。大丈夫! そんなのなくたって、私は何度でも円を好きになるから」


 火渡くんも隣で頷いた。


「魔王様が決断されたことなら、俺は尊重する。……それにアイリの言うとおり、俺はきっと何度でも彼女を好きになるから」


 ケントと皐月先生にもリオンから話をして、同じような返事をもらったと言っていた。



 私は目の前の二人に手を差し出した。


「二人はさ、前世のこと忘れたらもう私のこと好きじゃなくなる?」


 ルイとリオンは目を見合わせた。

 すぐに笑って私の手を取った。


「そりゃ、わかんねえな」

「ああ、断言はできない」

「でも……うん。好きでいたいなエミリのこと」

「そうだな。もし好きだという気持ちがなくなったら、また好きになりたい」

「ありがとう、ルイもリオンも。聖女じゃない、ただの私のことを好きになって。私も二人のこと今と同じように……ううん、もっと好きになりたいな」


 つないだ手に集中する。

 そっと手を離すと、糸が現れた。

 キラキラ光る糸は私たちをつなぐように輪になっていた。

 リリアママと真野さんが、それぞれ鋏を差し出した。

 鋏自体は普通の鋏だけど、真野さんが有名な縁切り神社で清めてきてもらったらしい。


「こっちの世界では、基本的に魔法は使われないし、魔力も少ないけれど、まったく存在しないわけではない。ごく一部に、力を持つ者、力のある場が存在する。その中で、”縁を切る”ことに特化した力を借りてきた」


 と言っていた。

 私はママから鋏を受け取って、糸に手を添えた。

 ルイとリオンも同じように鋏を構えている。


「やろう」


 縁を、切った。

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