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60.あなたと明日を楽しみにしたい

「あ、もしもし、リオン? 今いい?」

『エミリか。もちろんかまわない。何かあったか?』

「今ルイと電話してたから、リオンがどうしてるかと思ってかけた」

『ああ……馬鹿勇者はどうするんだ?』


 電話の向こうのリオンの声は、いつもどおり落ち着いているように聞こえた。

 だから私もゆっくり話す。


「決めたってさ。リオンは?」

『僕は……僕に拒否する権利はないだろう。そもそもが僕の過ちなのだから』

「そう? あのね、私は今が楽しいよ」

『そうなのか?』


 怪訝そうなリオンに、できるだけ笑顔で答えた。

 スマホ越しじゃ見えてないけど、それでも。


「うん。前世では高等学校なんて通えなかったし、ママと一緒に生活もできなかった。でも今リオンやルイと学校に通えて、ママが待ってる家に帰れるのがすごく幸せなの。魔族も野盗もいないし、毎日お風呂に入れる。恐ろしい魔王でしかなかったリオンと、ちゃんと向かい合って話すことができた」


 そのまま一気に言いたいことを言ってしまおう。


「ありがとう、リオン。あなたが私をここに連れてきてくれて、すごく嬉しい」


 返事はない。

 遠くで嗚咽のようなものが聞こえるけど、私はなにも言わないで待つ。


『……エミリ』

「うん」

『ごめん、ありがとう。……僕は、君を好きになってよかった』

「そう言ってもらえると私も嬉しい。真野さんも言ってたけどさ、高校に入ってからのことは忘れないんでしょう? だから、大丈夫。文化祭終わったし、もう少ししたらハロウィンだよ。そのあと遠足があるし、クリスマスもある。二年になったら修学旅行だって。リオン、楽しみだね」

『ああ、そうだな。……そのためにも、やらなくては』

「そうだね。私たちにしか、できないことだから」

『また二人に勇者と聖女の役目を負わせてしまって申し訳ない』

「他の人がよかった?」

『まさか』


 電話の向こうからリオンの笑い声が聞こえた。

 よかった、もう大丈夫だ。


「じゃあ、ルイと真野さんと、いつにするか決めよう。早い方がいいんでしょう?」

『ああ。総一郎に確認する』


 電話を切って、ベッドから降りた。

 ママに、おはようを言いに行こう。


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