50.ワガママを言う資格
昼ごはん持って教室に戻った。
食べ終えたところでリオンが休憩になったので、買ってきた焼きそばを渡していたら、 同じく休憩の子にスマホを向けられた。
「写真撮っていい?」
「いいけど……」
「三人で並んで、もうちょっと寄って」
「ちょ、狭い」
「リオン、向こう行けよ」
「お前が離れろ」
「私を挟んで喧嘩しないで、痛いから!」
三人でぎゅうぎゅうにくっついて写真を撮った。
送ってもらって見たら、私めっちゃ潰れてる……。
私は午後は教室の入り口で呼び込み。ルイとリオンは入り口近くでディーラー。
たぶん、呼び込みはいらなかったと思う。それくらいルイとリオンはモテていた。
「あの人かっこよくない?」
「隣もヤバ」
「あの人、アレでしょ、陸上部のさ」
「背の高い方、あんなイケメン一組にいたっけ?」
「よかったら中にどうぞー。ゲームのあとに声をかけてもらえれば一緒に写真撮りますよ」
そんな感じで、黄色い声を上げる女子を教室に誘導していく。
様子を見て、ルイとリオンと写真を撮りたがる子がいたらスマホを借りて撮る。
なかなか盛況で、嬉しいなあ。
そう思っていたら、知らない男子から声をかけられた。
「すんません、お姉さんと写真って撮れます?」
「大丈夫ですよ、わ」
突然、後ろから肩を引かれた。
「この子、おさわり禁止なんだ」
「悪いが他を当たってくれ」
「そ、そうですか……」
男子は引きつった顔で去って行った。
「別に写真くらい」
「だめ」
ルイがムスッとした顔で私を覗き込んだ。
リオンも同じような顔で見ている。
「……エミリは、僕らが他の女子と並んで写真を撮っていてどう思う?」
「モテるなあって思ってたよ」
「それだけかよ。そのときにニャインID渡されたり、休憩のときに一緒に周ろうとか言われてても?」
そんなこと言われてたんだ。
いやそれ、ナンパじゃん。文化祭中にナンパ……テンション上がっちゃったのかな。
「んー、何とも思わないわけじゃないけど。えっと、私が口を出していいことじゃないからさ」
「俺は、口を出してほしいんだけど」
「なんでエミリは口を出してはいけないと思うんだ?」
「だって彼女じゃないし……その、二人の、気持ちに答えられてないのに、そんなワガママ言うのは違うでしょ」
二人と目を合わせられない。
呆れられちゃうかもしれない。
「エミリ」
「……うん」
「好きだよエミリ。前世からずっと好きだ。だからワガママ言ってくれたら嬉しい」
「僕も同じだ。そうやってワガママを言いたいくらい僕に心を砕いてくれるのが嬉しい」
「乗っかってくんなよ、ズルい魔王だな」
「いいから戻るぞ、馬鹿勇者。トランプに列ができてる」
「ご、ごめん、私のせいで」
慌てて謝ると、二人はパッと振り向いた。
二人とも笑顔でなんだか泣きたい。
「俺が好きでやってんだよ」
「僕のワガママだから、気にするな」
ルイとリオンがトランプ机に戻ると、また女の子たちが集まっていった。
あの中の誰かの手を、ルイとリオンが取ると思ったら……嫌だなあ。
私は、そう思っていいんだろうか。
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