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44.まだまだ、俺たちの高校生活は始まったばかりだ

「いやー、疲れた」

「見ていたが、なかなかの高さだったな」

「ひどい目にあったよ」


 私はリオンとベンチに座って、買ってきたジュースをチマチマ飲んでいた。

 まだちょっと頭がぐるぐるしているから、一気飲みしたら吐きそう。

 こちとら、前世とはいえ聖女なので、あまり公衆の面前で醜態を晒すわけにはいかない。


「エミリ」

「うん?」


 リオンはウォータースライダーを眺めている。

 つられて見ていると、ルイと火渡くんが並んだコースで競争していた。

 下のプールではアイリが応援と審判をしているらしい。


「エミリ、夏休みというのは楽しいものだな」

「うん。楽しいね」

「別に前世が辛かったわけでも、嫌だったわけでもないんだ。魔王はあれはあれで楽しかったから」

「そうなんだ。じゃあ次があったら、私が魔王やろうかな」


 思いつきで言ったら、リオンは目を細めて微笑んだ。


「ああ、いいな。僕が補佐官をやろうか」

「じゃあ俺、魔王城で『ふむ、ヤツがやられたか……。しかしヤツは四天王最弱。この程度で調子に乗ってもらっては困るな!!』って言う役やるわ」


 いつの間にか戻ってきたルイが私の隣に座った。

 その役楽しいかなあ。

 誰が勇者なんだろう?


「ルイは夏休み楽しい?」

「楽しいよ。エミリがいて、みんなで遊びまわってさ。毎日寝床と食い物があって、洗った服がある」

「それ、楽しいっていうか……私もわかるけどさ」


 前世ではずっと旅をしてたから、ふかふかのベッドで眠れて、お腹を壊さない温かいごはんが三食あるありがたさはわかるけどね。

 服も綺麗で、お風呂も毎日入れる。

 日本って本当に豊かで平和なところだ。


「夏休みが明けたら文化祭だったな」


 リオンが「そういえば」と顔をこちらに向けた。


「そうだった。クラスで何するか考えないとだ」

「火渡とアイリのクラスは執事喫茶が優勢だってさ」

「メイドじゃなく?」

「うん。男子に執事の格好させて『お帰りなさいませ、お嬢様』ってやるらしいよ」

「火渡くんもやるんだ? ……行こうかな」


 つい意気込んだら、リオンとルイがギョッとした。


「エミリ、そんな趣味あった?」

「……僕で良ければ着るが?」

「リオン似合いそう。ぜひ着てください」

「俺も着るぜ!」


 まあ、うちのクラスはまだ決まってないけどね!

 クラスニャインが毎日盛り上がっているから、二学期が始まったらすぐに決まる……はず……。

 アイリと火渡くんがウォータースライダーから戻ってきたから、みんなでかき氷を食べて帰ることにする。


 夏休み、楽しいなあ。

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