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40.誰のためにかわいくいたいか

 真野さんにもらったプールチケットは五人まで同時に使えるらしい。

 ケントは相変わらずバイトだと言うから、アイリと火渡くんを誘った。


 ほら、ケントを誘うと間違いなく皐月いろはが着いてきて、私と馬鹿みたいに喧嘩になるし。

 あの、たゆんたゆんの胸を水着で見たくないし。ムカつくから。


「じゃあ、水着買いに行こうよ」

「行く行く!」


 というわけで、八月の頭、私はアイリと二人で水着を買いに来た。

 夏休みのショッピングモールは賑わっていて、水着の特設コーナーは女の子だらけだ。


「あんまり露出しないのがいいなあ」

「じゃあこの辺?」


 アイリが指差したのはタンクトップとショーパンの水着だ。

 ショーパンにはヒラヒラのチュールスカートがついててかわいい。


「こっちの胸元がヒラヒラなのもかわいいね」

「んー、かわいいけどアイリはもうちょっとシンプルな方が似合うんじゃないかなあ」


 何がとは言わないけど、アイリは胸回りが立派だから、そこにボリュームを持ってくるとむっちり見える。


「こっちのさ、タンキニとカーディガンのセットの方が似合うよ」

「あー確かに。二の腕が太いから隠したいな」


 そう言ってアイリは腕をさする。

 太ってるわけじゃないけど、柔道部で腕肩回りががっちりだからね。

 彼氏の火渡くんの方がガチムチだから、並んでると目立たないんだけど。


「エミリは細くていいなー」

「細いっていうか、ヒョロガリなだけだよ。だから私はあばら骨が目立たない水着がいいんだけど」

「そういう目線で服を探したことないな」


 あれこれ言いながら、結局午前中いっぱいかけて水着を選ぶ。


「似合うかなあ」


 ショッパーを抱えてソワソワするアイリに、私はニヤッと笑って答えた。


「似合ってたよ。私が前世から何年アイリの服を選んでたと思ってるのよ。ばっちり似合ってた。ていうか火渡くん、そんなにアイリの服装にとやかく言う気がしないけど」

「言われないけどさ。でもかわいいって思われたいでしょ」

「恋する乙女じゃん。かわいい」

「エミリは魔王と勇者とどっちにするの? 両方?」

「わ、わかんないよ。まあでも……どっちにもかわいいって思ってもらえたら嬉しいけどね」

「今のエミリもかわいいと思うけどねえ。このあとどうしよっか。お昼食べに行く?」

「そうしよう」


 アイリとの買い物は、よく考えたら前世以来だけど、やっぱり気楽だし、楽しい。

 昼ごはんの相談をしながら、ショッピングモール内をのんびり歩く。

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