11.体育祭~本番後編
午前は私の出番はパン食い競争と五十メートル走、ルイとリオンは障害物競争をやっておしまい。
ルイは圧巻の一位、リオンはやっぱりビリだった。
教室でお昼を食べて、三年生の応援合戦を見たら、それぞれ玉入れと騎馬戦。
最後は学年対抗リレーだ。
「エミリ、俺、今んとこ約束守ってるよ」
「……そだね」
ルイは出場した全ての競技で一位を取って、毎回笑顔で帰ってくる。
「俺とどこに行きたいか、考えてくれた?」
「ルイは、私を連れて行きたいところ、ある?」
「いっぱいある! 次のリレーで一番にバトン渡せたら言うから」
「わかった」
ニカッと笑ってルイは男子の列に走って行った。
まあ、約束だし。
別に、ルイのことが嫌いなわけじゃないし。
私も列に向かう。
ピストルの音がして、ルイが勢いよく飛び出した。
最初は三年生と並んでたけど、中盤で抜いて、一位で私にバトンが渡される。
その時の嬉しそうな顔が、ドキッとするくらいかっこよかったことは、私だけの秘密だ。
「エミリ! ボウリング行こう!」
リレーが終わって席に戻る途中でルイが駆け寄ってきた。
ボウリングかあ。
聞いたことはあるけど、初めてだなあ。
「ゲーセンとか卓球とかもできるから、一日遊べるぜ」
「……わかった。えっと、体育祭の代休でいい?」
見上げると、ルイはパッと笑って頷いた。
「うん。後で待ち合わせ場所とか時間、連絡する」
席に着く直前、ルイが私の腕を掴んだ。
「ね、勝ったから、褒めて」
「ええ? んー……よく、がんばりました」
空いてる手を伸ばして、ルイの頭を撫でた。
ルイが嬉しそうに擦り寄るから、鼻を摘まんだら余計に嬉しそうにされて、大きい犬みたいだった。
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