09.体育祭〜予行練習編
今日は体育祭の予行練習!
私の出番はパン食い競争と五十メートル走、玉入れ、最後に学年対抗リレー。
ルイは障害物競争、百メートル走、騎馬戦、学年対抗リレー。
リオンは飴食い競争、障害物競争、騎馬戦。
「エミリー! 俺の勇姿、しっかり見といてよ!!」
「僕に魔王の力が残ってたら、体育祭なんて滅ぼしてやるのに」
ルイとリオンは真逆のことを言いながら、私の左右に座っている。
前にはユウキとアコが座ってて、適当に応援したり相づちを打ったり。
「あ、リオーン! 体育祭、滅ぼしてくんねー?」
物騒なことを言いながら手を振っているのはケントだ。
いつの間にか二人はすっかり仲がいい。
なんだかんだやっている内に最後の競技になった。
『続きまして、学年対抗リレーです。選手の生徒は入場ゲートに移動してください』
「エミリ! 行こう!」
「う、うん」
ルイが手を差し出した。
大きい手だ。
前世と違って、タコもマメもないし、怪我もしていないけど、それでも節くれだってて、間違いなく男の子の手。
「どした?」
「なんでもない。行こう」
私が手を取らなくても、ルイは気にせず並んで歩いていた。
(いつもなら口を挟むリオンは、疲れ果てて座ったままうとうとしていた)
「ね、ルイって身長いくつ?」
「百七十六センチ」
「大っきいね」
「ほれた?」
「ううん。ズルいなって思った」
「なんそれ。エミリは華奢で女の子らしくてかわいいと思うよ」
「そ、そういうのいいから」
「前世からずっとそう思ってるんだけどなー」
入場ゲートでルイと別れる。
手を振って踵を返そうとしたら、その手を握られた。
「なあ、本番で、俺が一番にバトン渡したらデートしようぜ」
「……ルイが全競技で一番だったらね」
無茶振りのつもりだったのに、ルイはニヤッと笑った。
「行きたいところ、考えといて」
ルイはギュッと私の手を握って、走って行った。
……かっこよくて、ムカつく。
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