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決断

 集落について急いでモー子のいる牛舎へ向かう。すると入り口に何故か所長と後輩がいた。

 「二人ともどうしてここに?」

 「……。盛山君、すまない。モー子はここにはいない。」

 「どういうことですか⁈」

 「君がいない間に上から連絡があってね。『君が処分される牛を密かに飼育しているから、それを処分してこい。』とね。」

 「先輩、すみません。『処分しない場合は連帯責任で二人とも辞めてもらう。』と脅されまして……。俺らも生活があるので許してほしいっス。」

 「そんな!モー子、モー子!!!!」

 僕は人目も憚らず声を上げて泣いた。


 その後のことはよく覚えていない。ただ気がつくとシモンさんのお店に来ていた。今日はシュアちゃんはいないようだ。

 「いらっし、おい、大!どうしたんだ⁈」

 シモンさんが僕の姿を見てギョッとした。が、すぐにお店の前に「閉店」の札をかけ、僕をカウンター席に座らせて温かいお茶を出してくれた。シモンさんはなにも言わなかったが、僕は自分のこと、モー子のこと、全てを彼に話していた。彼は黙って頷きながら聞いてくれた。彼は僕が落ち着くのを待って、

 「……。そうだったのか。大は一人でモー子を守ろうとしたんだな。大がしたことは決して悪いことじゃない。むしろ基準に合わないからという理不尽な理由で奪われそうだった命を救おうとしたんだ。よく頑張ったな。」

 「シモンさん。でも僕はモー子を守れなかった。モー子は僕が行くと嬉しそうに尻尾を振ってくれたんです。そんなかわいいあの子を、僕は、僕は!」

 シモンさんに優しい言葉をかけられ、また涙が溢れ出す。シモンさんは僕が泣き止むまで背中をさすってくれた。


 「もう大丈夫だろう。大、実は…

 シモンさんが何かを言いかけた直後、急に外が騒がしくなった。外を見るとロボレンジャーの小型ロボットがこちらに向かって来ていた。

 「もうやってきたか!大、おそらく奴等は君を狙ってきている。時間がないから詳しい説明はできないが、このままロボレンジャーのイエローでいるか、私たちと一緒に来るか選んでほしい。」

 いきなりの展開で頭が追いつかない。でも答えはすぐに決まった。

 「僕、シモンさんと一緒に行きます!」

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