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憂鬱な気分

 僕の名前は盛山大(もりやまだい)。ロボレンジャーのイエローを担当している。今日はロボレンジャーの長官に呼ばれて基地に来ている。お昼ご飯に大好きなカレーを食べていると、

 「レッドいるぅ?……。なーんだ大さんだけなんですねぇ、桃香がっかりぃ。」

 ピンク担当の芹澤桃香(せりざわももか)ちゃんが入ってきた。パープルの紫藤麗奈(しとうれいな)ちゃんもいる。

 「やあ、二人が一緒なの珍しいね。一緒に来たのかい?」

 「誰がこんなぶりっ子と一緒に来るものですか!偶然来るタイミングが被っただけです。」

 「桃香だって、こんなおばさんと一緒に来ませんよぉ。」

 「誰が『おばさん』ですって⁈私はまだ『おねえさん』よ!」

 「33歳なんて、桃香からしたら立派なおばさんですぅ、それよりぃ、大さんまたカレー食べてるんですねぇ。」

 「あ、うん。カレー好きだしね。」

 「そんなカレー食べてるから加齢臭がしちゃうんですよぉ。」

 「あははは(笑。あんた、たまには面白いこと言うわね。」

 この二人は仲が悪い。どうやら二人ともレッドのことが好きなようで、会えばお互いディスりあっている。けれど、僕をイジるときだけは息が合っている。

 「でも大さんが臭うのって、お仕事も関係してそうよね?」

 「たしかにぃ!農業関連でしたっけ?土とかの臭いが染みついてそう!」

 僕が何も言わないのをいいことに二人で好き勝手に盛り上がっている。

 「やっほー!桃香も麗奈さんも早いね!」

 「もぉ、やっときた!遅いよレッド♡」

 レッドが来たから二人は僕の存在を忘れて彼に夢中になってくれた。そのうちブルーも来て、いつものようにスクリーンに長官が映し出された。僕たちを呼び出したのは、最近現れなくなったビーストピアの怪人についてだったけれど、よく覚えていない。


 基地からの帰り道。僕はため息を吐いた。最近のあの二人は僕に会うたびにイジってくる。だけどそれは弄りの域を超えている。僕が何が好きでどんな仕事をしているかは僕の自由だ。まして農業関連というだけで、「土の臭いが染みつく」というなんて酷い。「はー。」僕はもう一度ため息を吐いた。下を向いてトボトボ歩いていたせいか、気づくと知らない道に出ていた。なんだかいい匂いがする。僕はその匂いに引き寄せられ、あるお店に入っていた。

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