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真相は闇の中

 「おい、メアリー!これはどういうことだ!」

 王宮の会議室に入るやいなやクシャさんが私に詰め寄る。

 「なんでグースが死んだんだ!裏切ったグースが悪いとはいえ死なせるなんて、これがお前のやり方なのか!」

 私は何も言い返せない。グースさんが内通者だとわかってから、王様と相談してしばらく家族と一緒に王都の外でゆっくり過ごしてもらうことになっていた。だが彼はその事を告げられると家族でどこかへ消えてしまった。そして人間界にいると気づいたときにはロボレンジャーによって倒されていた。

 「クシャ、落ち着け。私やメアリーも含め、ここにいる全員がお前と同じ気持ちだ。悪いのは人間であってメアリーではない。それを忘れるな。」

 王様の言葉でハッとなったクシャさんは「ごめん、メアリーのせいじゃないよな。」と謝ってくれた。

 「いえ、私ももう少し慎重に動くべきでした。グースさんの性格を考慮していたらもっと別のやり方があったかもしれないのに……。」

 みんなが沈黙する。パンパンとリズ姐さんが手を叩く。

 「落ち込むのは終了。私たちはまだやることがあるんだから前を向きましょう!」

 「そうだな。グースたちの死を無駄にしないために必ずロボレンジャーを倒そう。そういえば、グースは私が彼を辞めさせようとしていると勘違いしていた。私には全く心当たりがないのだが、彼はそれを信じているようだった。これもロボレンジャーの仕業なのだろうか。」

 「私にもわかりません。もしかしたら人間の文明でそういう術があるのかもしれません。盛山大たちに訊いてみましょうか。」

 「頼む。リズ、お前もメアリーと一緒に行ってくれ。」

 王様に言われてリズ姐さんと二人で彼の家に行く。ちょうど紫藤麗奈も来ていた。彼らに訊くと心当たりがあるようで、

 「それはディープフェイクだと思う。」

 「でぃーぷふぇいく?」

 「そう、映像を加工してあたかも本人が話しているかのように見せる技術だよ。おそらくグースって人はそれを見て騙されたんだ。」

 「それは本物と区別がつかないのですか?」

 「うん、加工が上手な人が作ると見分けるのは難しいね。ただグースさんが見たっていう映像がないから本当にディープフェイクかどうかはわからないけどね。」

 ビーストピアには電気はあるが通信機器はない。彼が映像を見たとしたら地上だろう。ビーストピアの人たちはたまに地上に行くことがある。

 私たちは真相を確認できずに終わった。

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