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 「ヤバい、遅刻だぁぁぁぁ!!!!」

 王宮までの道を全速力で駆ける。

 「メアリー、転ばないようにね。」

 「メアリーさん、またご本読んでね!」

 私はメアリー、王立図書館に勤務する司書。今日の正午に城まで来るようにって手紙がきたのだけれど、読書に夢中になってしまい気づいたら11時45分だった。急いで城に向かう。

 「メアリー様ですね、お待ちしておりました。ご案内致します。」

 「ゼェゼェ、よ、よろしく、お願い、しましゅ。」

 なんとか間に合った。陛下の側近だというグースさんの案内で部屋までたどり着く。

 「皆様、メアリー様が到着されました!」

 部屋に入ると四天王と陛下がいた。四天王の皆さんはよく王宮図書館を利用してくださっているので顔馴染みだが、陛下は遠目からしか見たことがない。だけどなにか違和感がある。

 「グースよ、お疲れ様。メアリー、よく来た。余がライオネルじゃ。」

 やっぱりおかしい。

 「はじめまして、メアリーと申します。失礼を承知で伺います、貴方様は本当にライオネル陛下でしょうか?」

 「メアリー、何を言ってるんだい?このお方は間違いなく陛下だろう?」

 四天王のお一人、クシャさんが頬を掻きながら私に訊く。

 「いいえ、この方は陛下ではありません。クシャさんのおかげで確信がもてました。最初の違和感はグースさんへの声掛けです。『お疲れ様』は自分と対等か自分よりも上の立場の方に使う言葉です。陛下の場合、『ご苦労様』を使うはずではと思いました。次に陛下の一人称です。先程陛下は『余』を使っていましたが、テレビのニュースでは『私』を使っていたはずです。それに雑誌の連載コラムで『私は王という立場だが常に皆と対等な関係でいたいと思っている。そのために言葉遣いには気をつけていて、特に一人称は『私』を使うと決めている。』と書いていました。そしてクシャさん、以前奥様がクシャさんが頬を掻くときは大体嘘をついていると言っていました。以上のことから私は貴方を偽者だと判断しました。」

 皆さんが沈黙する。すると偽陛下の後ろから笑い声が聞こえてきた。

 「ははは、クシャ!君は嘘が下手なようだね(笑」

 偽陛下の後ろの壁が開いて、偽陛下そっくりの人が入ってきた。

 「陛下、そんなに笑わないでください!恥ずかしいです!」

 どうやらこちらが本物の陛下のようだ。

 「メアリー、私が本物のライオネルだ。そして偽者の私を演じてくれたのが、レオンだ。」

 陛下に紹介されるとレオンさんは変身を解いた。レオンさんは陛下とは全然違う、細身ロン毛の男性だった。

 「メアリー、君は素晴らしいね!僕はビーストピア1の変装の名人だと自負しているのだけれど、ニセモノだと気づかれたのは初めてだ!」

 「レオンは普段は変装対象に完璧になりきることができるのだが、今回はワザと言葉遣いを変えてもらったんだ。それでも彼の変装は完璧だった。それを見破ったメアリー、君は合格だ!やはりみんなが満場一致で君を推薦しただけある!」

 なんのことが全然話が読めない。

 「メアリー、頼む!私たちの力になってくれないか?」


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