次の審査
後日結果が発表された。蜂谷くんのグループは最下位で脱落となったが、視聴者投票で彼がダントツ1位となり敗者復活できた。見た目の可愛さと歌声に魅了された人が多かったのと、グループ内ではぶかれていたことがプラスに働いたらしい。ネット上で、「グループ内の人に妬まれてはぶかれていた蜂谷くん可哀想」や「蜂谷くんに救いの手を差し伸べる紫藤麗奈やるじゃん」、「紫藤麗奈嫌いだったけど今回ので好きになった」など彼の復活に一役買ったことで私の株も上がった。
4次審査は勝ち上がった16人で合宿を行いながら実施されることとなった。この合宿で歌やダンスのレッスンを行い、それぞれの適性をみていく。審査方法はポイント制で行われる。審査員が各自5ポイント、視聴者は3ポイント持ちそれを振り分け、上位8人が最終審査にすすめる。ここでは技術だけでなく人間性もチェックされる。
まず自己紹介が行われた。各自自分のキャラを作ってきたようで、天然やお笑い、クール系など様々だった。蜂谷くんはやはりかわいい系を狙ったらしくキラッキラの笑顔を振り撒いていた。
その後は部屋割りなどを話し合っているところを撮ってその日の撮影は終了した。16人はこのまま寝泊まりをするが、私は帰宅する。帰るときに蜂谷くんに話しかけられた。
「紫藤さん!3次審査の時はありがとうございました!」
「あら、私は別に何もしてないわ。将来仲間になるかもしれない人を蔑ろにする奴は相応しくないから言っただけよ。」
「紫藤さんは優しいですね。僕頑張るので観ててくださいね!」
失礼します。と言って去っていった彼はキラキラと輝いていた。その様子を影から覗いている人がいた。
次の日、早速レッスンが行われた。今回は歌である。みんなが同じ曲を一人ずつ歌っていく。歌う順番はクジで決めた。蜂谷くんは15番目、それまでの人たちは自分の思うように歌っていく。もちろん蜂谷くんもそうだ。曲を甘く歌い上げていく。ところが、最後に歌ったルイが蜂谷くんと全く同じ歌い方をした。ルイは3次審査で1位となったグループにいた人でアマチュアのバンドでボーカルをしているらしい。歌唱力はルイの方が高いので、蜂谷くんの歌の印象が消されていく。レッスンの講師もルイを絶賛していた。その後もルイは蜂谷くんのやろうとしていることを真似、蜂谷くんの歌を印象に残らないようにしていた。ダンスが苦手な彼は歌で他の人に差をつけなければいけないのに、このままじゃ蜂谷くんが脱落してしまうかも。そう思っていると。




