仲間の死
私たちはまた長官に呼び出された。一昨日集まったばかりなのにどんな用件よと思っていると、
「みんな集まってくれてありがとう。実はイエローが単独でビーストと戦い亡くなった。」
その報告を聞いたとき、私たちは絶句した。
「……。長官、イエローは本当に死んだのですか?」
大さんの死が信じられない私たちを代表してブルーが訊く。
「そうだ。最近彼らが現れてなかったから油断してたのだろう。君たちも気をつけてほしい。」
「……。わかりました。」
すっかり忘れていたけれど、私たちは人間と違う恐ろしい生物、ビーストたちと戦っている。命懸けで人類を守っているのだ。今更になって死の恐怖が襲ってきた。なのに、
「ねぇ、長官さぁん。桃香、一生懸命ビーストと戦ってるのにぃ、顔がわからないから桃香の好感度にならないの嫌なんですけどぉ。しかもぉ、大さんみたいに誰にも正体を知ってもらえずに死ぬのなんて嫌ぁ。損だし辞めようかなぁ。」
コイツ仲間が死んだのに自分のことかよ。相変わらず嫌いな女。
「そうそう。みんなの正体を明かす件、受けようと思う。実はみんなに相談したときから受けるつもりだったが、イエローが反対していてね。彼がいなくなったから好都合だったかもしれない。」
長官も大さんの死なんてどうでもいいみたいに話してる。
「やったぁ!これで桃香の人気もさらに急上昇♡」
まあ、大さんの死を引きずってても仕方ないことだし、気持ちを切り替えよう。桃香じゃないけど、私だって正体を明かすことはメリットしかない。私の人気が出ればあの人だって私を選んでくれる。大さんの死の報告の場で不謹慎だとは思ったが私は笑みを抑えきれなかった。




