幸せの種
見つけていただきありがとうございます
もしよかったらゆっくり読んでみてください
ある小さな村に、春という老人が住んでいた。
彼はどんなときでも微笑みを絶やさず、村人たちから「春の陽だまりのような人」と呼ばれていた。
一方、隣に住む誠は、何事にも不満ばかり口にし、ため息をつくのが癖になっていた。
ある日、村を激しい雨が襲った。
川は氾濫し、畑は泥だらけになった。
誠は肩を落として嘆いた。
「なんてひどい運命だ……せっかく育てた作物が全部ダメになった。」
しかし、春は雨を見上げて微笑んだ。
「これは恵みの雨だよ。この水が地に染み込めば、きっと豊かな実りをもたらしてくれる。」
誠はそんな春を見て、苛立ち混じりに言った。
「そんな綺麗ごとを言っても、現実は変わらないだろう?」
春はゆっくりと答えた。
「そうかもしれん。でもな、目の前の出来事は一つしかなくても、それをどう受け取るかは自分次第さ。」
それから数ヶ月後、村の畑は信じられないほどの豊作となった。
誠も作物を収穫しながら、「まさかあの雨がこんな恵みになるとはな」と驚いた。
春吉は静かに笑い、こう言った。
「幸せも不幸も、まるで種のようなものさ。同じ雨が降っても、枯れる種もあれば、大きく育つ種もある。違いは、種をどう育てるかにあるんだよ。」
誠はその言葉をじっと噛みしめ、それからは少しずつ、不満よりも感謝を口にするようになった。
幸せとは観る感じる視点で変わってしまう物さ
読んでいただきありがとうございました
もしよかったら他の作品も読んでみてください
ありがとうございました