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嵐の星のもとで  作者: 音頭
序章
5/30

次の日の始まり

遠くから鳥のさえずりが聞こえてくる。

重い瞼をゆっくりと上げ、覚醒する。


前には机に突っ伏して、まだ寝ている優花がいた。

普段はしっかり者で、毎日俺を起こしに来る女の子。それは始めて見た彼女の無防備な姿であった。

(こいつ、こんなに可愛かったっけ?)

俺はかすかに胸の奥が熱くなっていた。


「ん、んん〜。」


起きると思って、ドキッとしたが、まだ眠っている。

(はああ、なんだよ。)

気持ちを切り替えようと、頬を手で叩く。その後に違うところを向いた時だった。


「じ~。」

「うわあ!」


いつの間にかフライさんが来ており、無言で何も言わずに俺のことを見ていた。

それに驚き、飛び上がる。

がたっと椅子を倒した音を上げて焦り、優花の方を見るが、彼女はまだ寝息を立てて寝ている。

起きていなかったことに胸をなでおろす。


「気にするな。恥ずかしがらなくていい。」

「来てたんだったら、起こしてくださいよ。」


昨日急にいなくなったと思ったら、急に現れる。

神出鬼没な人だ。


「悪い悪い面白かったもので、それにその子やっと熟睡できた様だったからね。」

「え?」

「私もこの子が小さい時から面倒を見ているが、ずっとそわそわしていて、不安そうだったんでな。熟睡することがほとんどなかった。どうやら彼女にとって君の存在はとても大きいようだ。」


そういえば、昨日聞いたぞ。

全然構ってくれなかったって。

地下からは変な音が流れてきたりして、気持ち悪いって。

そりゃあ、リラックスできないわって思った。


「この子転生者でしょ。しかも思春期でしょ。どういう風に関わったらいいのかなって。今の子難しいし、怖いもん。」


口調が変わり、ブルブルと体を震えさせる。

この人のキャラがよくわからない。とんでもなく胡散臭い。


ん?待てよ。何で優花が転生者ってこと知っているんだ?


「なんで「んん、んん~。」」


なぜ知ってるかを聞こうとしたタイミングで、優花が伸びをして目覚めた。

タイミングが悪い。

優花はまだ寝ぼけているのか、ぼうっとしている。


「優花、おは「昨夜はお楽しみでしたね。」」

「「な・・・。」」


その言葉に2人の顔は真っ赤になる。

この人絶対怖がっていない。面白がって遊んでいる。


「そ、そんな不埒なことしてないわよ!別にしてきても・・・。」

「そうだ。そんなことしてない。こいつにそんなこと思うわけないだろ!」


なんか優花小声でなんか言ってなかったか?


「またまた、顔真っ赤にして~。青春だねえ。」


フライは茶化してくる。そしてなぜか優花ににらまれてる。

何かしてしまったのだろうか?


「そもそも、フライさんはここに何のために来たんですか?」

「油を売りに。ここにサラダ油とこめ油と他には・・・。」


まさかの物理的に!?何もない虚空から油が出てきたぞ。


「本当は?」


いらだっている優花に話の腰を折られる。


「つれないなあ。さあ、入ってこい。」

「失礼します。」


そこに俺たちと同い年ぐらいの女の子が入ってきた。香水の匂いが鼻孔を満たす。

(ん~。匂ったことない匂いだな。いい匂いな気もするんだけど、なんか刺激臭?みたいなのも混ざった感じもする。)

きっと特殊な体臭がするんだろうと思い込むことにした。


「冴羽双葉って言います。よろしくお願いします!」


彼女は勢いよく頭を下げた。


「さあ、そこに座っ「ひい!」」


自己紹介も終わり、フライが座るように促すと、彼女はおびえた。


「またそれですか。別に触ろうとはしてないというのに、厄介ですね。」

「ごめんなさい。」


ん?なんかあったんかな?


「何かあったんですか?」


俺が気になっていたことを恐る恐る優花は聞くが。


「いーえ、気にする必要はありません。少々思春期をこじらせただけです。」


フライに一蹴され、はぐらかされる。


「フライさん、あのー、私大丈夫ですから。」

「え、面倒くさ。」


フライさんはしかめっ面をして、今から喋らなければならないことを心底だるそうにしていた。


「まあ、色々あったってことで…。」


フライは話の論点をずらそうとする。


「早く言ってください。」


いらだっている優花が冷たく言葉を放つ。


「おお、怖い怖い。睨むな。お兄さん委縮しちゃうだろ。まだまだそういうのが難しい年ごろかもしれないけど、そういうの怖いからやめてね。」


何も物怖じすることなく、茶化す。

だがそれに屈することなく、優花は冷たい視線を向け続ける。


「後悔しても知りませんよ。」


その声はさっきまでのふざけた様子はなく、とても冷たかった。

まるで心臓をぐっと鷲掴みにするようなものだった。

(声だけでもこんなんなるのか?)

動揺を隠すのに必死だった。


「この世界・国の神話、この場所にしか生存していない。生物融人(クリーチャーマン)という種族から説明しましょう。その方が理解がしやすいでしょうからそこから説明しましょう。」


フライの話が始まった。


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