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嵐の星のもとで  作者: 音頭
1章 ギルド参入編
27/35

生存とカウントダウン

ガチャ。

扉が開かれる。


「付いてこい。」


制帽の男が私の殺風景な部屋へと入ってくる。

男に言われた通り、私はその後に付いていく。

このまま、あの怖い牢屋の中に入れられるんだろうな。


「やあ。」


後に付いていくと、そこは昨日の尋問室で、そこにはフライさんがいた。私は少し驚いた。


私はフライさんに対峙するように椅子に座る。


「君の拘留はここまで。お疲れさん、帰っていいよ。」


(…へ?)

なんと驚いたことに、私は自由の身になった。

昨日にあんなにも詰められていたから、私は戸惑いを隠せなかった。


「昨日の担当は無理矢理の供述をさせたとして、証拠として扱うのは不十分とし、きみを恐喝したとして逮捕した。」


(そうだったんだ。

昨日のは理不尽だったから…良かった。)

少し緊張がほぐれ、安堵した。


「さて、じゃあそういうことで、行こうか。」


(行く?行くってどこに?)

安堵したはずが動揺が出てくる。


「牢屋じゃない。今最も行かなくてはいけないところだ。」


(行かなくてはいけない?)

私は終始?マークを浮かべて、言われたままに付いていった。




着いたところは綺麗に掃除され埃ひとつない床、床には車椅子を引いている人や自走している人がいる。

スライドで開閉する扉と扉のガラス張りのところからはかろうじて部屋のベッドに寝転んでいる人影が見える。

そして、白衣姿の男の人や女の人が何人も歩き回っていた。


「ここは病院?」


よくドラマで見るような病院に似ていた。


「そうだ。ここは執行機関附属病院だ。犯罪に巻き込まれた人たちがここで治療を受け、リハビリをする。

まだ消毒をしていないから、決して部屋の扉には触れないように。」


マスクを付けさせられた時には驚いたが、納得できた。

ただ、犯罪に巻き込まれた人?

…もしかしてここに将貴君がいるってこと?

自然と緊張していた顔が緩んでいく。


「その顔、ここに誰がいるか、分かったようだな。」

「あ、はい。なんで昨日の段階で知らせてくれなかったのですか?」


確かに生死は聞いていなかったから、もう亡くなってしまったものだと思っていた。

(正味…そんなこと聞ける状態でもなかったけど。)


「昨日の段階では、意識は不明で生死は分からなかった。

仮に意識があったとしても、彼を守る意味でも黙っておく必要があった。

ま、大人の事情ってやつさ。」


そうだったんだ。でも良かった。将貴君が生きてくれていて。


「…。」

「ん?どうかしました?」

「いや、なんでもない。」


なんでこっちの表情を見ていたんだろう?何か言いにくいことでもあったのかな?


「この階は回復期棟になるんで、違う階だ。」


私はフライさんに付いていった。


付いていった先には終末期棟と書いてあった。

終末期ってのはいやな感じがするが、多分気のせいだよね?


「さて、この部屋だ。しっかりとアルコール消毒とマスクをして入るぞ。」


指差した部屋には番号とその下にフラッド·レインと書かれていた。

フライさんは部屋の前に立て掛けているアルコールで手を消毒して扉に手をかける。

私もフライさんの真似をして付いていく。


その部屋はカーテンが開かれ、日光が差し込み明るく、テレビやラジオの音が聞こえる。


「フライさんに、オトハ…おはよう。」


そしてベッドには彼がいた。

その格好は横たわっていたが、元気そうだった。


「どうしたんだ?」

「え?」

「オトハ、お前だよ。お前。」


私はいつの間にか溢れてきた涙で前が見えなかった。

(そうか…私、将貴君のこと…)

私は今彼のことをどう思っているかわかった。正直、なんとなくはわかっていたけど、確かな自信はなかったけど、確実に確信に変わった。


「水を差すようで悪いが、それは帰ってからやってくれ。」


ハッとして、即座のフライさんの言葉で涙は引く。そして恥ずかしさで顔を赤らめる。


「…?」

「君はどこまで聞いた?現状やこれからのことを聞いたか?」

「説明は受けたよ。…。」


将貴君はどうともせず、フライさんと会話をする。

(あれ、起きているのに何なんだろう?)

よくよく考えると、私は彼の様子に違和感があった。

顔色は元気そのものである。だが、その声色や様子はいつもの時とは違う。彼の具合の悪い時みたいだった。


「君の事件は解決した。

しかし…、実行犯は特定済みで、指名手配をしているが、今だ行方不明。

だが、君たちには決して手を出させないと約束しよう。

それと…君は鷲か鷹を見たか?」


その様子をフライさんには言えなかった。言う前に話し出されてしまった。


「鷲や鷹?ああ、見たよ。あの日の朝に神々しい鷲を。」

「な、何?」


その言葉は意外だったようで、フライさんは珍しく驚きを見せた。


「驚くことか?窓の外にその鷲の爪が落ちていなかった?」

「それは確認した。…そうか。わかった。

…私はここで失礼する。少し席をはずす」


フライさんは部屋を出ていった。そして、今日は戻ってくることがなかった。

2人だけの空間で話をして、面会時間が過ぎるまで戻った幸せを噛み締めた。


この時はまだ私は知らなかった。彼にカウントダウンがせまっていることを…。





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