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嵐の星のもとで  作者: 音頭
1章 ギルド参入編
21/33

ギルド 残酷な宣告

「まずはこいつらに説明頼むわ。それとお前はこっちだ。」

「うん?」


フライは受付嬢に後のことを引き継いで、フライはラックを連れてどこかに消えていった。

2人が出ていくことで、先ほどのお通夜モードから一変して、徐々に活気を取り戻していった。


「初めまして、私はここで受付をしているリサと言うものです。以後お見知りおきください。

まずはここがどういうとこというところかですね。まずは…。」


リサさんにギルドとはどういうものかを教えてもらった。

ギルドはエリアⅠ~Ⅲからの魔物をコントロールするのが目的として建てられた。

エリアⅠ~Ⅲっていうのは生活圏よりも外の開拓の進んでいない場所で魔素濃度が、それぞれ異なる。そのため、魔素濃度の濃さによって分けられいる。薄い領域から濃い領域の順にⅠ~Ⅲと分けられている。

ギルドの仕組みはクエストってのがあり、受注しその証拠となるものを受付に渡せばクエスト完了となり、報酬が入ってくる。


そのクエストの種類は大きく分けて5つある。

『討伐』『監視』『教育』『採取』『探索』の5つ。

討伐は指定された魔物を倒し、魔石を回収する。報酬は対象となるものによって異なる。

監視は指定された時間、ギルドの周りを見張る。時間に応じた報酬が支払われる。

教育は下位ランクの人に対して、クエストを共に行い、教育をする。報酬は基本的には最も高い。ただ、ギルドからのテストに合格した人のみができる。

採取はランクⅠには存在しない。エリアⅡ以上にある鉱物や植物などを採取となる。保存状態によって報酬は変動する。

探索はエリアに異常がないかを探索する。報酬は変動がなく多くはないが、リスクは最も少ない。緊急クエストのきっかけになることが多い。

緊急クエストはイレギュラーが発生した際に発注される。強制的にギルドの全員が召集されクエストを受注される。この際は一切の通常クエストを受注できない。報酬金はある場合もあるし、ない場合もある。過去見てもほとんど起こったことも問題になったことはない。

初めての人は必ず探索クエストになり、そして上位ランクの人が必ず付く。厳しいテストに合格した人が付くので必ず安心だと念を押された。


ランクはⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴの5段階

Ⅰは担当がエリアⅠのみで危険度は全くない。

Ⅱは担当がエリアⅠ~Ⅱ、危険度は高くはなるが、クエスト自体の難易度の上昇は少ない。

Ⅲは担当がエリアⅠ~Ⅲ浅域、危険度はエリアⅢの深域の魔物と遭遇する可能性があり、クエストによってはかなり高い。

Ⅳは担当がエリアⅠ~Ⅲ深域、危険度は非常に高い。常に死と隣り合わせの状態。スタンピードを発生させないように抑制させる必要がある。

Ⅴは担当が全て。最高ランクで5人しか存在せず、危険時において前線に出る。各支部のギルドマスターを勤めている。

ランクの昇格にはⅠからⅡは実技試験だけだが、Ⅱ以上は実技試験と実力試験がある。

ただの腕っぷしで突破できるようになるわけではなく、知識も重要になるってことらしい。

それはサバイバルするには知識と経験が重要になることが関連している。


「以上で説明は終わりとなります。お分かりにならない点はなかったでしょうか?」


リサさんの説明は終わった。ただ分からないところと言われても、分からないところしかないから何も質問ができない。


「大丈夫です!」


そう言うしかなかった。


「他の人も大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です。」

「大丈夫。」

「問題ないです。」


他の3人も同じだった。


「これから、クエストの手続きと言いたいところなのですが…。」


リサさんは歯切れが悪く、フラッドのほうをチラチラと見る。


「いいよ、言っても…。」


フラッドは何となく言いたいことを察しているらしい。


「お気遣い感謝いたします。気を悪くしないでください。適性試験がありますから。それに合格さえすれば、クエストを受けることができますから。安心してください。それでは案内します。そこでお待ちください。」


とりあえずフラッドも参加できそうなので、良かった。

すぐに職員らしき人にフラッドは車椅子を押され、どこかへと消えていった。


「3人は探索クエストとなります。しばらくお待ちください。」


リサさんが受付の隣のボードに紙を貼り付ける。

その貼り付けた瞬間だった。


ドドドドー


ギルド全体が震える。酒瓶がカタカタと震える。

我先にと言うように、群衆の山がボードに押し寄せる。俺らを取り合う。

(おお!)

その光景に圧倒される。それはまるで大安売りのバーゲンセールを見てるかのようなものだった。


「受注確認しました。」

「しゃああああ!!!!」


勝ち取ったのは男2人、女1人のグループだった。リーダー格である男は雄たけびを上げ、仲間とハイタッチしていた。

(まるで祭りみたいだな。)

終始圧倒されていたが、とりあえずはクエストに行けそうで安心した。

俺たち3人はクエストとして、エリアⅠへと旅立った。



~~~~

俺たちがクエストに出ていった時、フラッドの適正試験の結果がでた。


「リサすまない。」


担当官が突然私に謝った。

渡された資料には彼の結果が書いてあった。その結果は無慈悲なものだった。

結果は不合格。

点数は0点だった。


「いえ、大丈夫です。でも、本当なのですか?その結果は?」

「私も疑ったさ。だから何度もやり直した。初めてだよこんな結果は。」


私は目を疑った。今の今まで不合格の人間を見たことがない。生きとし生けるもの何らかの加護を受けている。だから誰であったとしても、何らかの魔法の適性がある。

適正さえあれば、魔道具でサポートができる。魔物も倒すことができる。

適性検査は名前だけそれっぽいだけで、1点さえあれば合格。実質名前を書いたら合格ってレベルの試験だった。


しかし今回はイレギュラーだった。

何も適性がない。それはありえない結果だった。頬をつねっても、その結果は何も変わらない。


「彼の様子はどうだったのですか?」

「終始冷静。相当頭のいい子なんだろう。メンタル面に言えばかなりすごい。全くというほど、動揺をしない。非常に強い子だ。合格していれば心強かっただろうな。」

「なんというか…それは…。」

「ああ、非常にもったいない。だが、結果が結果だ。悔しいが…どうしようもない。」


その話し方はとても重い。彼と直接接したからこそ私以上に悔しいだろうし辛いはずだ。


「はい。…わかりました。伝えてきます。」


それはとても心が痛いことだった。だが、それは戦力外通告される彼が最もしんどいはずだ。

そして、彼を待っているあの子たちにも伝えるのは酷のことだと思った。


「ああ、もしもの場合は任せておけ。」


このもしもとは彼らの裏にいる執行機関と言う存在である。執行機関の幹部であるフライが彼らの後押しをしている。この存在がかなり厄介である。何をしでかすかは読めない。

でも言ってくれることでかなり気が楽になる。


「ありがとう!頑張らなくちゃ。」


腹をくくって、私は彼の下に赴きに行った。







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