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嵐の星のもとで  作者: 音頭
序章
2/30

異世界へ

ゆっくりと瞼を開けようとする。遅れて瞼が開く。

目の先の光景は白い天井に蛍光灯、ここは病院なのだろうか。


手首を回し、指を動かすと、思ったよりも遅れてではあるが、すべすべとした感触が感じとれた。

おそらくはベッドの上に寝かされているのだろう。

あの瓦礫の山の中から助かった。体が鈍く動くのはおそらくはその後遺症なんだろう。優花やほかのみんなは大丈夫だったのだろうか。


「お、起きてんじゃん!どうだ新たな世界への受肉は。」


俺が考えているときに、誰かがここに近づいてくる。誰かを確認しようと、俺は首をその方向へと鈍く動かす。


「!?」


そいつはあの時グラウンドにいた不審者の男だった。俺は体が強張り、固まる。


「おーい。つんつん。生きてる~?」


そいつは一方的に喋り、触り、まじまじと見てくる。


「瞬きはしてるな、なら。生きてるっしょ!起きてたら連れて来いって話だったし、なんか他いろいろ言われてた気はすんけど、まあいいや。」


そいつは俺を簡単に担ぎ上げる。俺は嫌がって暴れようとするが、体の動きが鈍く役に立たず、されるがままどこかに連れていかれる。


「さあ、レッツゴー!!」


「邪魔すんで。」


勢いよく扉が開かれる。そして、その勢いのまま雑に投げられる。


「痛!」


何とか手を出すのが間に合い、最悪な目に会わずにすんだ。


「ん?白けてるな。何故に?」

「…。」


髭を生やした男が無言でニコニコとしている。シンプルに怖い。


「大丈夫だって、ほら、見てろよ。」


四つ這い姿勢で倒れている俺の脇下に手を入れ、猫を持ち上げるように持ち上げ、俺を立たせる。

高校生になってこれは恥ずかしい。体が鈍くなければ、顔を手で覆いたいところだ。


「立てるな。」

「え、は、はい。」


つい反射的に答えてしまった。


「よし!ほら、大丈夫って言ってるじゃないか。」


言わされた感がすごかったが、立たされて、初めてこの場所のことがわかった。

ここは開けた場所で、机やソファやら色々あり、かなり寛げそうな空間であった。そこに3人の男が寛いでいる。1人はソファに座りニコニコし、その姿は若そうにも老人のようにも見えた。

1人はタロットカードの本を顔に載せ、ソファに寝転んでいた。

最後の1人は黒髪の青年がいびきを立てながら爆睡していた。


「あり?テンペスターは?」

「仕事しに行ったよ。」

「あちゃー、すれ違ったか。」


髭を生やした男が口を開いて答えた。


「自己紹介と言いたいところだが、もう1人来るからもう少し待ってくれ?」

「もう1人?」


気になるワードが出てきたから、聞き返そうとして時だった。


「君あの世界でどうだったん?ほらね好きな子とか。どうなん?ちなみになんだけどもね、儂にはそういう経験がなくてな、けど興味はバリありましてね。別に他の話題でもいいぜ。儂はなんでもいけちゃうからなあ!ちなみに…。」


不審者が突如話しかけてきたかと思うと、変なことを聞いて来て、困惑していると…。


「スニッパー?」

「はっ!やだなあ、冗談じゃないですかあ。」


にこにこと笑った髭を生やした男の顔に、スニッパーと呼ばれた不審者の男は冷や汗をかき、焦り出した。


そんな時だった。


「失礼します。」


ノックが3回され、扉がゆっくりと開かれる。

そこに豚か猪のような顔をした男と見知った顔の少年が入って来る。


「将貴!?」

「正也!?」


お互いが驚きの声を上げ、2人ともその場で立ち尽くしてしまっていた。


「さあ、座って。」


髭を生やした男が、空いている席に座るように誘導する。

将貴と俺は誘導された通りに、空いてあるソファに隣同士に座る。その隣にあの不審者の男が座った。

これで、俺たちは机を中心として、ソファに座り、豚男はソファの近くで待機をするという形をとった。


「スターチス、君も座って構わんよ。」


豚男に対して声をかける。


「いえ、私はこの方が性に合っておりますので。お気遣いなく。」

「相変わらず、堅い奴だ。」

「…。」


豚男は無言で答える。


「まずは自己紹介からだな。私の名前はエスワード。そこで寝転がっているのががルーシー、爆睡してるのがスビアだ。そこにいるのがスニッパー、そしてスターチスだ。

さてと、ここはどこでしょうか?」


俺らは同じように首をかしげる。


「病院なのでは?」

「死後の世界ですか?」


「死後の世界、それは△だ。君は×だ。」


俺を指さして×のマークが作られる。

…腹が立つなあ。

俺は心の中で少しイラっとしていた。


「答えは()()()だ。」

「「異世界!?」」


その言葉はあまりにも衝撃的で、俺たち2人に驚きを与えるのは十分だった。


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