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嵐の星のもとで  作者: 音頭
序章
1/30

崩壊

よろしくお願いします。

「はああ…。憂鬱だ。」


雲一つない晴天、心地よい涼しい風…多くの人にとってはそれはいい通学日和になるだろう。

しかしこの櫻本正也にとっては、その通りにはならない。

何故なら学校は嫌いなところだからだ。


ゲームしたり、外で遊んだり…そんなのが一番楽しいからだ。

席に座って、話を聞いたり板書をうつす。しないといけないとはわかっているが、正直面白くはない。

ただ、こんなことを思っている人は少なくはないはずだ。


実はそれ以上に嫌なことがある。それは俺のクラスは下にみられてるってことだ。

他のクラスの生徒間のことではない。先生からの目は明らかに下にみられている。

この視線がとてもしんどい。

元々の担任の井出先生がいた際はここまでひどい状況ではなかった。


だが、井出先生は失踪した。

井出先生だけではない。大沼神威、雛月栞奈、近藤正嗣、大宮佳織、金城沙羅先生が失踪した。

最近になって、金城沙羅先生ことさらちゃんは見つかったが、他の4人は未だ行方不明のままだ。

その後は、井出先生の後釜に大山先生がついたが、この先生はとんでもなく井出先生に対して対抗意識があって、プライドが高い。

俺たちに当たることだって少なくなかった。そのせいで、18人しかいないクラスが2人やめて、16人に。今では12人クラスだ。


ある時、井出先生の弟の譲治さんが来たことがあった際、その現場を見られてしまった。それを見た譲二さんは激怒!

怒りのままに訴訟の準備が行われているって感じらしい。

それを重く見た学校側は大山先生を停職、停職させられた大山先生は失踪した。その後の足取りは何もわからないらしい。


ただ俺たちにとってはこれが追い風になった。それは渦中の原因がクラスのことなので、他の先生たちもうかつには手を出せなくなったからだ。

だからといって、油断していいものじゃない。いつまたあんな環境が戻ってくるかたまったもんじゃないからだ。

これが俺の冒頭のため息に繋がる。


「頑張るしかないでしょ。」


それは隣を歩く彼女。桜本優花も同じことだった。


優花は同じ桜本と言う名前だが、俺は優花と兄妹ではない。確かに同じところに住んではいるが、幼馴染というところだ。これには俺のほうに少々複雑な事情があるが、今は秘密だ。

通学中の2人は肩を落として、歩いていた。


「ん?」


その時、俺の視界の隅に一瞬変なのが映った。


「どうしたの?」

「今、あそこになんかいなかったか?」


俺はその場所に指を指す。


「なんもいないじゃない。猫でもいたんじゃないの?」


指をさした場所には今は何もいない。しかし、俺の疑問は払拭しない。

(猫ぽかったんだけど、なんか足5本なかったか?)

路地裏を横切っていただけだったので、確かに一瞬しか見えなかった。でもその光景はあまりにも印象に残った。

しかし、その疑問を解決するほどの度胸もないし、やる気もないので、先を急ぐことにした。



キーンコーンカーンコーン

予鈴のチャイムが鳴った時に到着した。

いつもよりゆっくり歩きすぎたようで、時間がぎりぎりだった。


「おはよう。」


扉を開けて入るが、教室内はしーんとはしておらず、がやがやとしていた。


キーンコーンカーンコーン

席に着いたら、いつの間にか本チャイムが鳴り、朝のホームルームが始まる合図が鳴る。周りでがやがやとしていた子たちはは蜘蛛の子を散らすように、去っていき、みんな各々の席へと戻る。


ガラァ

チャイムが鳴り終わったと同時に、さらちゃんが入ってくる。


「みんな、席についてる?ホームルーム始めます。真黒さん号令お願いします。」


委員長の真黒ちゃんの号令で、起立・礼・着席をし、さらちゃんから点呼される。


「今日から…」


点呼を終えると、さらちゃんは話を始めたが、朝見たあれが忘れられず集中できない。

だが、さらちゃんはかなり体育会系なタイプで、眠っていたのが見つかれば、チョークが飛んでくる。

しかし集中は出来ない。どうやってこの場面を切り抜けばよいのか。そんなことを考えながら、頬杖をつきながら窓をぼうっと眺めていると、窓の先のグラウンドに答えがあった。


見た通りそれは猫に似た5本足の何かだった。そして、それはゆっくりと校舎へと向かってきている。

だが、あの時と違うのは大きさが倍になっているところだ。

しかし、驚く点はそこだけではない。グラウンドの中心に不審者の男が立っていた。

俺はその姿を見た瞬間、血の気が引いてぞっとした。


何故なら、その不審者は両手で自分の身長と同じ高さはあるであろう巨大な裁ち鋏を持っていたからだ。

鋏は陽の光を反射し、光り輝き、その金属光沢が本物であることを証明していた。

次の瞬間、俺はその不審者と目が合ったような気がした。

そして、男は口角を上げた。


ドクンーー

俺は一瞬だけでも心臓が止まるかと思った。

全身からは汗が吹き出し、急いで首を回して、教卓の方へと首を向ける。耳を澄まさなくても心臓の鼓動が大きく聞こえる。


「正也君?私の話聞いていましたか?」

「え?もちろんですよ。一言一句間違いない自信がありますよ。」

「なら、言ってみてください。」


なるほど、そうきましたか。

う~む、今日ってとこしか知らないが、何とかなるだろう。そのあとに続く言葉を考えればいいのだろう。特に今日は快晴だからなあ…こんなのはどうだろうか?


「今日はいい天気ですねえ。熱中症の危険もあるので、しっかりと水分と塩分の補給を忘れないようにしましょう。」


どうだ?見切り発車ではあるが、意外といい線ではないのだろうか?


「違いますね。ホームルームが終わったら、職員室に来なさい。」


あれえ?マジかよ。

俺はこの瞬間どや顔から人生に絶望した顔に変わった。周りからは笑う声が聞こえる。顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。こんなことなら、正直に答えておくべきだった


ホームルームも終わり、さらちゃんに連れられて出て行こうとした時だった。

ちらりの視線に窓の外の光景が映る。

その光景は例えなしで言うのなら、空に夜空が重く沈み込んでくる。

夜の帳が降りてくるとの表現が正しいのかもしれない。


同時に上から揺れるような音と上から何かのかけらが落ちてきた。


「なんだこれ?」


それは瓦礫のようなものだった。上を見上げると、上の階の床、天井が割れていた。

(天井が落ちてくる!!)

俺はその瞬間、この後どうなるかを察してしまった。

急いで机の下に隠れようとするが、先に天井が倒壊し始め、瓦礫と何らかの液体がなだれ込み、下敷きになって、俺は意識を失ってしまった。






クラス内にいたメンバー

桜本正也、桜本優花、大島真白、大島真黒、城野知世、大石竜馬、神沼将貴、白野幸喜、石田康生、佐山彰、要明日香、岡本朱莉

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