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第6話 ケイジュはカードゲームで悪気を抱いちゃいました!?(2)

一つ一つの物語という名の線が、一つに交差する。交差した点が、終局を奏で始める。

これはその一つの線である。

ケイジュ編(2)


 颯爽と消えていったウヅキを呆然と見送り、手持ちのカードを確認する。

 あいつが持っていったのは『K』か。普通に考えれば当たる確率は極めて低い。それに、今更悔やんだところでどうにもならない。オレは改めてコウヤを見やる。

「さて、オレたちはオレたちで協力して行こうぜ。」

「う。。。うん、そうだね。ケイジュくんは何のカードを持ってるの?」

 コウヤのその言葉を聞いて、オレはコウヤを睨みつける。コウヤは、驚いたのか「ひっ。。。」と軽く悲鳴のようなうめき声を上げて、縮こまる。

 コイツ。。。オレより先にカードの情報を引きだすつもりだったとは。。。利用するのはこのオレなんだ。。。断じてお前などではない。

 オレは改めてコウヤに問いただす。

「すまねえな、睨んじまって。やはり、ここはオレが先にコウヤのカードを聞いておきたい。この先も色々と考える必要があるしな?」

 コウヤは、縮こまったまま、軽く頷きはするが、カード番号を言おうとはしなかった。

「ふむ。。。お前からもいう気は無いと。。。では、こうしよう。お前が持っているカードをオレが当ててみせよう。」

 その言葉にコウヤは、こちらをぎょっと向き、視界のバインダーにあるだろうカード番号を確認している。

「え。。。ケイジュくん、もしかしてこれ見えてる?」

「それは、もちろん見えてはいない。お前と一緒さ、オレは、オレ自身のカードしか見えていない。だから、当ててみせると言ったのだ。」

 コウヤは不思議がっていた。それはそうだろう。普通、相手のバインダーのカードなど見えるわけがない。()()()()()()()()()()()()()()

 だが、オレには分かる。聞こえるのだ。【()()()()()()()()()()()()()()()】。なるほど、コウヤの持ってる【カード】が聞こえてくる。

「お前が持っているカードは。。。『4、2、K、A、そして9』だな。」

「!!!」

 コウヤが驚いている。冷や汗までかいている様子。「何故わかったんだろう」と顔に書いてあるぜ。当然だろう。オレがコウヤだったら、同じように思うだろう。どうやら、このゲームに参加したヤツは何かしら【能力】をもらった様だ。つまり、おれの【能力】は【相手の心が読める】だ。フッハッハ!他のヤツはどうか知らないが(きっとシンジなんかショボい【能力】に決まってる!間違いない!)、最初から、おそらくこれは最強レベルではないだろうか。オレのカードについて聞いてきたということは、コウヤは同じ能力ではない。つまり、個人によって【能力】は分かれている!

「では、コウヤよ、当てたカードのうち、2枚、『Aと9』をいただこうか。」

「えっ!そういう約束はしてないんじゃ。。。」

「何を言うか。オレたち協力関係じゃないか。まずは、オレのカードを減らし、次にお前のカードを減らす。こうして、最後は一緒にクリアすれば、先程さっさとオレたちを置いていったウヅキを見返すことだって出来るぞ?」

 コウヤは少し考え込むように「そうだけど。。。」とぶつぶつ言っている。もちろん、オレのカードを1枚だってやるつもりはない。対象カードが無くなった時点でコウヤよ、お前はゲームオーバーだ。ゲームオーバーになったやつがどうなるのかを確認もしたいしな。

「どうする、コウヤ?オレにはある【能力】が備わっている。正直最強と言ってもいい。オレと行動を共にせるためにも、まずはオレにカードを渡したほうが賢明だと思うぞ、んん?」

 コウヤは少し悩んでいるようであったが、やがて、両手を差し出した。

「分かったよ。僕の持ち札が分かっているのなら、今後行動を別にしてもバラされる可能性があるしね。。。、今言われたカードは両腕にそれぞれセットしたよ。持っていってくれ。。。」

「お前の【能力】が分からない以上、オレのカードを話すことはできないが、分かったらその時はお互いに自分の【能力】について話そうじゃないか。」

 オレはそう言ってコウヤの両腕にタッチする。すると、たしかに先程言ったコウヤのカードがバインダーに入ったのを確認した。けれど、入ったのは1枚のみだった。そういえば、1枚引いて1枚引かれないと次のカードが引けないと、最初の画面のやつが言っていたな。

「コウヤ、次はお前の番だ。オレの右腕からカードを引け。残念ながら、お前が持っているカードは持ち合わせが無いがな。」

「2枚あるなら1枚ずつ消去って提案も出来ると思うけど。。。。 」

「それは出来ない相談だな。オレがまず優位に立たねば他をフォローしにくくなるからな。」

 まあ、フォローするつもりなどサラサラ無いがな。

 コウヤには『7』を引かせて、オレは残りの一枚を引く。オレは思わずニヤリとしなかがら、一言呟く。

「消去だ。」

 そうすると、オレのバインダーからはウヅキが持っていった1枚と、今2枚のカードが消滅し、『10、7』で残り2枚となった。リーチではあるが、増え続けるのも困りもの。。。。いや、オレは相手のカードが心の声で分かる。問題はないか。


 「これでお前のカードの残りは、『4、2、K、7』の4枚で、まだ何も消せてない状態となったな。」

 コウヤが驚きながら、周囲を見渡す。

「もう分かったから!あんまり口に出さないで!周りに人がいたら僕のカードがバレちゃうよっ!」

「大丈夫だよ。オレの【能力】がありゃ、たぶん誰にも負けないさ。なんかあれば、オレがなんとかしてやるさ。クックック。」

 コウヤにはそう言っておくが、流石にもし仮面野郎に出くわせばヤバいかもしれない。その時は、こいつを差し出しているうちにオレは逃げればいいだけだ。


「ケイジュくん、なんか笑い方が不気味だよ。。。あと何だか、少し怖くなったね。。。」

「人は、超人的な能力が備わると、人格が変わったりするものだろう?おそらく、オレもそれに多少は当てられたかもしれんな。」

 怯えたコウヤを横目に、オレは考える。たしかに、多少気は大きくなったかもしれない。だが、それは別に今になってのことではない。あいつが。。。シンジがアイナといるときはいつも、オレの心は歪む。アイナはオレの横に来ることが相応しいのに。そこで、オレは閃いた。

「そうだ。。。!!」

 突然発したオレの言葉に、またコウヤが動揺しているが、無視する。今、オレには【能力】があるじゃないか。アイナもきっと、心の中ではオレを好きに決まっている。それを確かめなくては。

 【能力】の範囲を広げることは出来るだろうか。人の声を聞けばもしかしたら、アイナのいる位置が分かるかもしれない(仮面野郎の言っていたなCPUに心があるかどうかにもよるが)。

 オレは神経を研ぎ澄ます。思わず顔がニヤけるのが自分でも分かる。

「いるぞ。。。街の方向。。。これは。。。シンジの家の方角だ。。。」

「何、突然どうしたの?、何か見つけたの?」

 おずおずとコウヤが聞いてくる。

「あぁ。次の仲間だ。行くぞ。」

「あ、おいて行かないで。。。」

 オレとコウヤは森を下りてアイナの下へ向かう。


 オレとコウヤは森を下っていく。先程から感じる、アイナの気配を教えてくれる意思に従って。

 森を歩いて10分も立たないくらいだった。森を抜けて街に出た。

 街の中には、オレたちに全く興味が無いように歩く連中がいた。ハッキリ言って気色が悪い。と、そこでオレはあることに気付く。

「。。。ニヤリ。いや、違うな。」

「何が違うの?」

 後ろから付いてくるコウヤが流れるように聞いてきたので、オレはコウヤにまたニヤリと返す。

「今から証明してやる。」

 ちょうど、バイク置き場にキーが挿さったままのバイクを一台見つけた。あれに乗ろう。

「コウヤ、バイクがある。あれに乗っていくぞ。」

 オレは先程見つけたバイクを親指で指し、首をクイッと向ける。

「。。。僕が運転するの?」

 二人乗りでバイクを走らせるが、やはり、人混みたちはオレたちに興味がない。しかし、オレの。。。、いやオレ様の【能力】は依然として、アイナの位置を感じる。つまり、そう考えているCPUがいるはずなのだ。この群集の中に。それを確かめる必要がある。CPUもカードは持っていると仮面野郎は言っていたからな。。。

「おい、コウヤ。そこの歩道に突っ込め。」

「ええ!イヤだよ、そもそもバイクの免許すら持ってないのに。。。」

「人をハネるのに免許など要らん。行け。」



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