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プロローグ   

 言葉を失う、とはきっとこういうことを言うのでしょう。

 美しい──彼の姿はまさにその一言に尽きました。

 宵の闇にさえ紛れぬ白磁の肌膚は、

 今、月の光を浴びて、妖しくも儚げな青を帯びております。

 これまでに見た、ただヒトの輪郭を成しただけのそれとは違います。

 寄せ集められた頭や手足が常に足並み揃うことなく蠢いているような──

 そんな出来そこないの命とは、一線を画します。

 今、眼前に佇むこれは、紛れもない本物の命。

 ああ、歩いています。彼が歩いています。

 ゆっくりと静かに、しかし着実に一歩一歩歩んでゆきます。

 これまでの失敗作を、私の不甲斐なさから生じた数多の汚点を、

 跡形もなく清算していくかの如く、踏みにじってゆきます。

 その場に崩折れました。視界は、もはや明瞭ではありません。

「ああ、これで……やっと……」

 夜空に浮かぶ満月を仰ぎました。


 あの人の罪が──償われる!!

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