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山神様(やまがみさま)と桃のはなし  作者: ぽすしち


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31/32

本物の地蔵様に


「 そんでな、 ―― つぎの朝には、枕元に《桃》があったっていうんだが、 ヒコさん、帰りにあの婆さまと、会わなかったか?」


「 はあ?あんな時刻に帰ったおれが、こっそりあがりこんで、大奥様の枕元に、《桃》を置いてったかってことかい?」


「・・・そういや、そうか。  さすがにそれは、ねえなア」


「 そうよ。 ―― その《桃》はきっと、 『オフクちゃん』が、くれたんだろよ」



 ぱちり、と置いた駒に、いつものように《元締め》がにんまりとし、やっぱり将棋はヒコイチが負けた。







  あの蔵のとろこにあった《石》は、しばらくして、本物の地蔵さまに置き換えられた。


  《元締め》のところにゆくとき、ヒコイチはその地蔵さんに、かならず声をかけて通る。




 今日も、日が暮れてから元締めの家をあとにし、蔵のところで足をとめる。


 白い蔵の壁には、ちいさなこどもの手は『生えて』おらず、 ―― 強い風が吹き抜けたが、提灯にも袖にも、《こどもの手》は、ついていない。




 首のうしろをかいたヒコイチは、提灯をもちなおし、ほこりっぽい道をたどる。





 帰れば、あのときの《桃》が、まだみずみずしいまま残っている。



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