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山神様(やまがみさま)と桃のはなし  作者: ぽすしち


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30/32

あの晩



 あれだけ、帰り道、速く乱暴に足を運んだのに、夜が明けておそるおそるみた皿は、一枚も割れていなかった。



 枕元に置いたままだった桃を、しばらく眺めてから気をとりなおし、けんとうをつけたところへ皿を売りにゆけば、こちらの値に、色をつけた値で買い取るという酔狂なあいてがすぐにみつかった。






 それから三日経ち、元締めのもとへ、いつものようにヒコイチがたずねてゆくと、茂った眉毛の奥におさまった目をぐるりとさせ、「来たのか」と驚いた声をだされた。




「なんでエ。仕事をもらいにきちゃ、わりいか」


 まったくいつもの様子であがりこみ、ひさしぶりに勝負するか、と勝手に将棋の盤をもちだすのに、元締めは髭を引いてわらう。


 将棋の勝負でヒコイチが買ったら、取り分があがる約束をしているのだが、いまのところヘボ将棋をさすヒコイチが勝てたことはない。





「 ―― ヒコさんが帰った日の、夜にな、《地蔵婆じぞうばばさま》は、息をひきとったそうだ。  さいごは、オフクちゃんがきたよ、って布団の中で、笑っていたってよ」


 ヒコイチがさすのを気長に待つ元締めが、盤をながめながら言う。


「へえ、そうかい」


 腕をくんで盤をながめたままかえす。




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