10話 アリス
10話 アリス
その日朝から母さんはキツそうだった、予感があったんだろう。母さんは私を抱きしめて…
「アリス、母さんはもうダメかも?ゴメンねダメな母親で、貴方は前世で酷い目にあっていたから貴方だけには幸せになって欲しかった」
「か、母さん知っていたの?母さん、私は母さんが愛してくれたそれだけでも十分に幸せだよ!でもなんでバレたの?」
「アリスはよく寝言を言うからね?貴方の前世の事はある程度は知っているわ、私がキリヤ人だからこんな目にあってしまった、本当にゴメンね?」
(そうか、母さんが私に性的な拷問を引き受けてくれたのは、私が幼いもあるけど前世の事を母さんが知っていたから。母さんはこんなにも私を愛してくれている、なのに私は母さんに何も出来ない!悔しい…)
「ごめんなさい!母さん、私は母さんを幸せにしたかった、だからあんな最低な父さんに気に入られようといろいろしたけど、結局はこんな事に!ごめんなさい!」
私は泣きながら言う、母さんは私の頭を撫でながら…
「ふふ、アリスがあの人を好きじゃないのは知っていたわ?でも、私には救世主だったの!昔から美人とか可愛いとか言われてキリヤ人だから男の玩具にされて終わりだと思っていたのが、貴族並みの生活をさせて貰って、貴方を授かった、私にとってカリムは救世主であり私に道を指し示した人だったの、あの人を恨まないであげて?」
母さんが私に優しく話しかける
「母さん…無理だよ!母さんと私がこんな目にあっているのはあの男のせいなんだよ!私は許せない!必ずクラエス家の人間は殺してやる!」
私は心に誓う…
(クラエス家の奴らは皆…苦しめて、苦しめてやる!殺してくださいと言うまでやってやる!)
「そう、貴方がそう決めたなら、私は止めない、止める権利は無いと思うから、でもアリス、私はアリスに幸せになって欲しい!復讐とか考えなくてもいいからね」
母さんが復讐を考えなくてもいいと言う、でも私はそんな事は考えていると、監禁されている部屋の扉が開くエマが来た
「さあ、エリスさん遊びましょう?今日はどんな事しようか?さあ行くわよ!」
エマは母さんの鎖を引っ張って連れていく、母さんは私の方を見て泣いていた!私もこれが最後なんだと予感がしていたので涙が止まらなくて、母さんを捕まえようと手を差し出す、だが母さんはそのままエマに連れて行かれた
「か、母さん、ご、ごめんなさい!何も出来なくて」
私は謝りながら泣いた…
しばらくして、エマがやって来た
「アリスちゃん貴方の部屋を新しく作ったの移動するわよ?」
私の首輪に付いた鎖を引っ張って無理矢理連れていく、私は母さんが気になり恐る恐るエマに聞いてみる
「エマ様、母さんは…」
「あぁ、あの女なら新しい部屋で貴方を待っているわ!直ぐに会えるから安心しなさい」
エマは悪意のある顔で微笑む
扉が鉄格子になった部屋につく、せまい部屋だ人が2人程横になれば自由に動く事が出来ない部屋だった!そこに母さんが寝かされていた
エマは私をその部屋に入れて鍵をかける、私は母さんに駆け寄る
母さんは冷たくなっていた!エマが殺す前に顔だけは回復魔法で綺麗したんだろう、ここに監禁される前の顔になっていた
「あ、ああー!なんで!母さん…母さん!ウワァーン!」
私が泣き出すのをエマが見て笑いだす
「アハハハハ!もう最高!アリスちゃん貴方最高よ!やっぱりキリヤ人をいたぶって殺すのは最高ね!アリスちゃん次は貴方の番よ?毎日、毎日可愛がってあ・げ・る!でも、私も親を亡くした子にいきなり酷いことは出来ないわ、心が痛むもの!だから!お母さんと別れを済ませるために1日あげる、その間ご飯もあげるし拷問も無しよ!私って優しいなー、ねぇ、アリスちゃんもそう思うでしょう?ふふっ、楽しんでね?」
私は母さんの死体に抱きつき泣く
(許せない!アレフ人はクラエス家の人間は絶対にどんな事をしても殺す!母さんが何をした!何にもしてない筈だ!キリヤ人を奴隷や玩具にして楽しんで殺す奴等なんて人間のやる事じゃない!アレフ人は人間の皮を被ったケダモノだ!私は絶対に何をしてでも生き延びて殺してやる!)
そう決心して、私はその日ひたすら母さんに抱きつき泣いて過ごした
次の日エマがやって来て目の前で母さんの死体を魔法で焼く、骨になった母さんを私が素手で火傷をしながら壺に入れていく、母さんが焼かれていく様子を私に見せて、エマはご飯を焼いた肉ばかりにした
私は母さんの焼かれる様子や匂いを思い出してご飯に手がつかなかった。エマがその様子を見て笑いながら、私に暴力をふるって焼けた肉を無理矢理口に突っ込んでくる
「せっかくの久々のお肉を食べさせてあげたのに、残すなんて!なんて悪い子なんでしょう?」
[クシャ!ガッ!]
「ほら!食べるのよ!ほら!感謝して欲しいわ!カフ王国の奴らみたいに、エリスの肉を食べさせても良かったんだけど、親の肉を食べるなんて残酷だからね?ふふっ、ハハハハハハ!」
「うぐぅ、痛!辞めて!む、無理です!やめ、…」
私は吐き気を抑えながら無理矢理食べた、涙が出て止まらないこれから毎日、毎日こんな生活をしなければいけないのか、そう思うと絶望感が押し寄せてきた…
(演技をしてでも私は生き延びてやる、復讐を果たすんだ…)