第七話:仮嫁と仮夫と仮娘の修羅場(汗)
『呼ばれてないのにジャジャジャーンっ!』
っということで約三ヶ月ぶりに投稿させて頂きました!
誤字脱字等のアドバイスがありましたらおねしゃすっ!
又、もう一つの作品の【残念な僕と悪戯な君】の方も宜しくお願いします!
カラン、コロンと聞き慣れた鈴の音を聞き流し入ったのは、【ユズレモン】という大衆居酒屋である。
「あいよ、いらっs―――ギル兄!」
元気よく厨房の方から飛び出してきて迎えてくれたのは店主の息子だった。中性的な顔立ちで、さぞかし女の子におモテなのだろう。クソっ!
「やぁ、カイ坊!」
カイの頭をワシャワシャと撫でてやると、恥ずかしいのか俺の手を払い除けた。
「止めてくれよギル兄、俺はもうそうな歳じゃあないぜ?」
まぁ、ごもっともである。カイは今年で15歳だからな。
「お腹空いたぁ〜!」
幼児が親にオモチャを買ってもらえない時にする様に駄々を捏ね始めた。
極めつけにリナは、俺の服の裾を引っ張っていた。
「それよりその娘は誰でぇい?」
「まぁ、簡単に言うと捨て子だよ……」
俺の口調から察したのか、それ以上は聞いてこなかった。
「早く席に案内してもらっていいか?いつもの所でいいから。」
席に着くのと同時に同時にリナは、メニューを開き料理を物色していた。
「えっとぉ、これとこれとこれとこれとこれと、あとこれもっ!」
うん、もの凄い量を頼むね…
何処かで見た事が有るような無いような……
無性に既視感を感じるのは気のせいだろう……
「あいよ、ちょっと待っててくれぇい!」
料理を待っている間にリナと、今後について話すことにした。
「リナは、これからどうしたい?」
「ギルお兄ちゃんと一緒に暮らすっ!」
間髪入れずに答えたという所を見ると、前々から決めていたのかと思わせる。
全く嬉しい限りだ。
「じゃあ、それはそうとして。魔法とか学びたい?」
「う〜ん……」
リナは前から言っていたが、本を読んだり勉強が、大嫌いらしい。多分、それで悩んでいるんだろう。
「嫌だったらいいんだよ?」
「勉強みたいなのは嫌だけど……楽しいのだったらやりたい!」
おぉ、予想通りだな。
「じゃあ、明日から楽しい魔法の勉強を始めような!」
一瞬、『勉強』というワードを聞いてそっぽを向き口笛をし始めたのは気のせいだろう。
定番だなと思い苦笑すると、不思議そうに俺の顔を覗いてきた。
そんな事をしながら、料理を待っているとカイが、運んできてくれた。
「へぇ〜い、お待ちぃ!」
カイが持ってきてくれた料理をテーブルに並べると、年季の入ったテーブルの表面が見えないくらいになっていた。
「うわぁ、凄い量だねぇ!」
「確かにすごい量だな……ちと不安だな…」
不安というのは、食べ残すことなく食事を終えられるのかという事だ。
「いただきます!」「いっただきま〜す!」
料理を食べながら、様々な事を話していると一つ気になったことがあった。
「リナってさ、魔法使えるの?」
「うんっ!簡単なのは大体使えるよ?」
それを聞いて一安心をした俺は、明日からのトレーニングメニューを思案し始めた。
「はぁ〜、満腹、満腹〜!」
「美味しかったか?」
そんな他愛の無い会話をしながら歩くこと十数分で俺の家の前に着いた。
「んっ?」
「どうしたの、ギルお兄ちゃん?」
何故か知らないが、俺の家の部屋に灯りがついていた。
まぁ、部屋に灯りがつくのは当たり前の事なんだが、誰も家に居ない筈なのについてるというのが不思議なのだ。
「ちょっと此処でじっとして待ってて!」
「う、うん」
恐る恐る鍵を開け、部屋に忍び足で灯りのついている部屋を目指した。
『ガチャンッ!』と、何か硝子が落ちた音がして、俺がビクッと跳ねたのは気のせいである。
「うぅ〜、うぅ〜、ぎぃ〜るぅ〜さぁ〜ん!」
「ほえっ?」
驚いて間抜けな声が出てしまい動揺を隠せない自分が凄く恥ずかしい……
リビングの中を確認すると犯人は、両手に酒瓶を持ちながらソファに寝っ転がってた。ついでに言うと、足元には、数え切れない位の数多の酒瓶が山を造っていた。
「おぉ〜そぉ〜いぃ〜!」
「……………」←俺
「……………」←犯人
眼の前のショッキングな光景を受け入れられず、数秒硬直した。
そして、犯人は何を思ったかコチラに、目を向け犯人も硬直したらしい。
やっと現実を受け入れた俺は、犯人が誰かを認識できた。
うん、犯人はマッパで頬を上気させてるリータさんでした!
いやいや、その前になんでマッパ!?
せめて服着ようよ!てか、人の家で酒飲むなよ!
「ふえっ?ぎるしゃん?」
「あっ、はい。」
おっと、動揺している余り敬語になっちまったぜ。
「ねえねえ、遅いよぉ〜!ギルおn―――」
激戦区(笑)にリナも参戦し、俺と同じく硬直しちゃったようだ。
数秒後には硬直から開放され、目を白黒させていた。
「ほえっ?だ、だれでしゅか?」
と、リータさんがリナに問うと、リナは顔を紅潮させそっぽを向いた。
「あ、あのリータさん……そ、その…ふ、服を着てください!」
「ふえっ?」
と、呆けた顔をした後自分の体を見て、茹でたタコの如く顔を紅く、紅くさせていった。
「――――――ッ!!!」
顔を紅くさせるのと同時に声にならない叫びが部屋中に響いた。
直ぐに服を着て、何時ものリータさんに戻った模様。しかし、顔はまだほんのりと紅く染まっていた。だけど、酒気、羞恥或いは興奮のせいで頬を紅く染めているのかは定かではなかった。
そこへ追い打ちをかけるようにリナが爆弾を投下した。
「ぎ、ギルお兄ちゃんな、なんでこの女の人は、裸なの?も、もしかしてヘ、へンタイなの?」
あっ、はいっ。そうッスね。
ご覧のとおりッス!
余程、幼女の口から出た『ヘンタイ』というワードが、胸に刺さったのか苦悶していた。
数分の沈黙がリータさんの言葉によって終わりを告げた。
「ぎ、ぎるしゃんが、わるいんでしゅよ!」
たがしかし、雰囲気を元に戻せても滑舌は戻せないらしい。
今更かと言っては何だが、リータさんは酒が入ると可笑しいぐらいに滑舌が悪くなるらしい。
「そ、その理由を聞いてもいいかな?」
恐る恐る尋ねてみると中々の爆弾をリータさんも投下したっぽい……うん…
「だ、だって……未来の嫁である私をほったらかしにするんでしゅもん………」
よ、嫁?リータさんがお、俺の嫁?
記憶を逆再生させていくと、そんな約束をした様な気がする………
まぁ、リータさんが、俺の嫁になってくれるってのは願ってもない事だけど……ねぇ、あのロマンチックの欠片もないシチュエーションはねぇ……アレじゃん?
そんな気まずい空気をぶっ壊したのは未だ頬を紅潮させてる、リナさんでした。まじ、パネっすわ!
「ギルお兄ちゃんの、お嫁さんって事は私のお母さん?」
「ふえっ?そ、そういうことになるんでしゅか?」
俺に『はい、そうですね!』と、言わせようとしているのかは分からないが、その蕩けた目&上目遣いのコンボは止めません?
俺の理性が保ちませんので、至急止めて頂けると助かります。てか、止めてください!
「あっ、うん。そうだと思う?」
自分でも混乱してきて、何が何だか分からなくなってしまった。
「そ、そうでしゅかぁ〜!」
「あっ、うん。」
「あのぉ〜ぎるしゃん……」
「んっ?」
突然立ち上がったリータさんは幽鬼の様にフラフラと揺れながら、俺とリータさんの鼻と鼻が触れるてしまいそうなぐらいに近づいてきた。
そして、顔に笑み(勿論、目は笑っていない)を浮かばせ、こう呟いた。
勿論、口調はいつも通りになっていた。
「その女の子どうしたんですか?もしかして……誘拐ですか?」
その時、俺はこう思った。
デエエェェェジァァアアヴゥゥゥウウ!
とね!




