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すらいむときどきまおうさま!  作者: 霧谷遥兎
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第六話:初めての同居生活!

「これからは僕と暮らそう、幸せにしてみせる!」

傍から見たら只のプロポーズでしかないが()()は違うつもりだ。

「ん、おねがいします!」

うん、可愛い!

純粋な紅色の瞳からは言葉で言い表せる事ができない程の感情が読み取れた。

ただ、一つだけ言うとしたら、

『もう、お姉ちゃん達と会えないんだね………』

だと思う。


「そういえば、君の名前を教えてくれないか?」

彼女を呼ぶときに、君とか、他人行儀なのはやめたいからな。

「わかった……リナ…リナ・ウィンディ…」

ん?あまり、歯切れが良くなかったな。

「良い名前だね!」

無理矢理に場を明るくしようとしたのが、運の尽きで逆に暗くしてしまった。

「あまり……この名前は…好きじゃない……」

気づけばリナは頬を濡らしていた。

「そ、そうなんだ……ご、ごめん…」

この話題にはあまり触れないようにしよう……


時は進み、街の門前にて―――

「やぁ、ギルく――――その子、もも、も、もしかして誘拐かい!?」

「いや、違いますよっ!」

勘違いして、物騒な事を口走ったのはカーロ・バルゾさんだ。因みに、門番歴40年の大ベテランだ。


「いいや、嘘はいけないよ!」

いや、本当だって……

「お嬢ちゃん、変な所触られてないかい?」

いや、さわ―――

ちょっと、リナさん誤解を招くような事言わないでね?お願いだから、ねっ?

「色々触られたの……うぅ…ぐすっ……」

あぁ、クソっ!やっぱり、言っちゃったよこの子!

さ、流石にカーロさんも信じないよね?


「あぁ、ギル君………失望したよ……」

そんなわけ無いだろっ!何で信じちゃうんだよ!

リナも変なこと言うなよ!

「テヘッ!」

テヘッ!っじゃねぇよ!

まぁ、可愛いから許すけどさ……


ククククッ、フハハハハハハハハ!

ここで俺に奥義を使わせるとは中々やるな、生娘め!

「リナ〜、ちょっと来て!」

トコトコと可愛らしい走りでやってきた。

「今度、何か欲しいもの一つだけ買ってあげるからさ、口裏合わせてくれないか?」

フフッ、そうだよ!物で釣るんだよ!

クズ、ゴミ、ロリコン?おい、最後の関係ねぇだろうが!

いいや、違うね…これは古から受け継いで来られた、我儘な子供を手懐ける方法だって本に書いてあったもん!


ぽくぽくぽくちぃーん。誰だっ!木魚叩いた奴は!

「う〜ん……ちょっと、自分それ少な過ぎとちゃいまっか?」

木魚はどうでもいいとして、何故に口調が変わったの!?

「えっ、だって――」

「何や?子供だからって一つで足りると思っとるんか?」

うん。怖い。だって、大阪のヤクザの(かしら)顔負けの貫禄だよ?

「わ、分かった。何でも買ってあげるから、それでいいか?」

ここは、大人の威厳として振る舞わなければ……

「ありがとっ!ギルお兄ちゃん!」

表情が一変して天使の様な柔らかい笑みになった。

はうっ!

おおっと、危うく逝っちまうところだったぜ!


「カーロさん、実はリナの冗談だったんだよ。ねっリナ?」

「うん、ごめんなさい、おじさん……」

目を潤わせながらの上目遣いで謝るリナには中々の破壊力がある。

「やっぱりね、信じていたよギル君!」

手のひら返しようがえげつないよ!

手首が千切れるぐらいのかえしようだった……

「じゃあ、今日はここらへんでお暇させていただきます。」

「じゃあね、おじさん!」

リナもカーロさんに慣れたようで、何よりだな。

「じゃあねお嬢ちゃん、ギル君!」

カーロさんと別れたあと、早足に服屋に向かった。

だって、見えちゃイケナイ所が見えてるんだもん。


「いらっしゃいませ。ご主人何をお求めですか?」

入って早々に、手をニギニギしながら白髪頭の店主が話しかけてきた。

「えっと、この子に合う動きやすい服を仕立ててくれ。」

白髪頭の店主は品定めでもするかのように、リナを頭の天辺から足の爪先まで見た。

「わかりました、少々お待ちください。」

店主はカウンターの奥に引っ込み、数分経った頃に胸にナニかを抱きかかえて出てきた。


「この様な物はどうでしょうか?」

店主が持ってきた物は、リナのサイズにぴったりだった。この店主、只者ではないようだな。

「わぁ〜、ぴったりだよ!すごいね、おじいちゃん!」

リナはとてもご満悦といった表情をしている。

「いやはや、お嬢さんに褒められ光栄です。」

「済まないが、これを頂けるか?」

「勿論でございます。お値段は金貨三枚と銀貨五枚です。」

おっ、思ってたよりも安いな。実を言うと、持ち合わせで足りるか焦っていたが空を切ったようだな。

「じゃあ、金貨四枚で。お釣りは貰ってくれ。」

「ありがとうございます。お嬢ちゃん、これはサービスのお菓子だよ、受け取ってくれるかな?」

店主が差し出したのは、今流行のチョコレートを使用したクッキーだ。

詳しく言うと、可愛らしい装飾と、深みのあるコクが女子に好評だったらしく予約殺到中の人気のお菓子だ。


「ありがと、おじいちゃん!」

なんかさ、店主が向ける眼差しが完璧に孫を見る目に変わっている様な気がする……

「済まない店主、世話になった。また今度利用させてもらうよ。」

「はい、それは勿論でございます。」

まぁ、店主は客が増えた喜びよりも、リナと会えるという喜びの方が勝っているのだろうな。

因みに店の名前は【天使の羽衣】である。


「ギルお兄ちゃん、お腹空いたぁ…」

服の袖を引っ張りながら人差し指を咥えていた。

「じゃあ、俺の行きつけのお店に行こうか?」

「うんっ!」

これから何をしたいかなど話に実が入った頃には店の近くに着いていた。

行きつけの【ユズレモン】に着き扉を開け、カランコロンと、聞き慣れた鈴の音を聞き流しながら店内へと足を進めた。



―――登場人物紹介―――

名前:リナ・ウィンディ

性別:女(???)

レベル:10/100

MP:850/9999

HP:1500/9999

職業:???

年齢:12歳

体重:30kg

スキル:暗視

火属性魔法補助

魔力増加



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