第五話:オークの血祭り!
「ふぅ、スッキリしたっ!」
今まで散々腐れ外道を蹴散らかして疲れているはずなのに何故か、笑みが溢れてしまう。
「さぁ〜てと、彼女達を開放してあげなきゃ…」
多分、いや、絶対と言ってもいい程に彼女たちは傷つき哀しんでいるだろう。もし、殺してくれと頼まれたら、躊躇わずに斬る覚悟はしているつもりだ。
「あっ――――――」
小屋の扉を開けると見るも無惨な彼女達の姿が眼の前に広がっていた。
「可哀想に……」
こんな言葉しか掛けてあげられないのが本当に悔しい限りだ。彼女達の中には腐れ外道の子供を孕んでいる娘達がいた。お腹が膨らんでいてモゾモゾとお腹が動いているようにも見える。
『あぁ………止めて!来ないでよっ!』
オークと勘違いして泣き叫んでいる娘もいた。
『ほぉ〜ら、はやく挿れてよぉ〜〜!』
嫌がるどころか、寧ろ喜んでいる娘ですらいた。
「オーク風情がこんな酷い事しやがって…おっ?」
様々な娘達がいる中で一人、幼いながらも正気を保っている女の娘がいた。
「だ、大丈夫かい?」
「ん、大丈夫………」
素っ気なかったが、安否を確認できてホッと息をついた。
「君以外は、その、なんていうか……」
自分が適切な言葉を探していると、その少女は自ら口を開いた。
「ん、皆オーク達に無理矢理犯されてた…」
「そ、そうか……君は何故その、やられなかったんだい?」
何となくこれだけは何故か聞かないと納得できないからだ。
「ん、えっと、皆が『貴方だけは絶対に守ってみせる!』って言ってたから………」
貴方だけってことはこの娘は何かあるってことか?
一人で悶々と苦悩していると、少女が脚をちょんちょんと突いてきた。
「お兄さんは何でここに来たの?」
「えっとね、依頼できたんだよ」
少女は首を傾げて眉を寄せて考えていた。それはいいのだが、服装がちょっとね?なんていうか、透けてるんだよね………
「その前に、取り敢えず此処を出よう」
そう言うと少女は顔を横にブンブンと振り否定した。
「どうしたんだい?」
「お姉ちゃん達も一緒に行くの!」
因みに、お姉ちゃん達とは此処にいる捕らわれている娘達だ。ここで初めて少女は自分の意見を主張した。
「お姉ちゃん達は…此処に残るって…言ってたよ…」
そう言うと、少女は彼女達の元に歩いていった。
「なんで出ていかないの?ねえ、なんで?」
『アイツ等にバレないように、しなきゃいけないからよ』
少女はその言葉を聞いても尚、彼女たちに懇願し続けている。
それを遮るかのように彼女は言った。
『早くこの娘を……連れて行って…くだ……さい……』
「あぁ、もういいのか?」
『は……い……』
よくよく見てみると彼女達は涙を流していた。
「わかった。じゃあな……」
その返事を聞き、少女を担いで裏の出口から小屋を後にして、集落の外に走った。
「じゃあ、あっちを向いて目を閉じて、耳を塞いで待っててくれ」
少女にそう告げると、素直にしてくれた。少女が目を閉じ、耳を塞いだのを確認し、自分は目的に移った。
目的とは、オークの集落を焼け野原にすることだ。
それが、彼女たちの望みだからだ。
「【汝の姿を顕現し、全てを恐怖で染め上げろ】」
「【我の目的は唯一。全てを無に戻す事】」
「【我の憤る怒りを汝の力で創造し、行使せよ】」
「【炎龍の憤怒!】」
魔法を唱えると黒色の禍々しい魔法陣が頭上に出現し、そこから赤黒い蛇のような龍が出てきて炎を吹き集落を焼き払った。
あまりの光量に耐えきれずに目を閉じた。時間にして、7、8秒だっただろう、あっと言う間に眼の前に家屋がいっぱいに広がっていたのに今では、さっきまで見る事のできなかった砂地が広がっていた。
「彼女達はこれで満足なのか……」
正直言って、皆を助けたかった。だが、それを実行する勇気が自分には無かった。オークの子を孕んでいる彼女達をこれから幸せにする勇気が無かった。
だが、これだけは彼女達に誓った。
「絶対にあの子だけはこれから一生幸せにします」
と、これだけを彼女達に誓った。
『はい……お願いします……』
彼女達も受諾してくれた。
これだけが自分が出来る、彼女達への償いだろう。
「これからは、僕と暮らそう……絶対に幸せにすると誓う。」
周りから見たらプロポーズみたいだが、今回は違うからな?
「ん、宜しくお願いします!」
少女は、素直に受け入れニコッと笑った。正直言って、自分にはロリコンという趣味は無いが、可笑しくも萌えてしまった。
「じゃあ、僕の家に行こうか?」
「ん、わかった」
本当に素直な娘で助かるばかりである。そう言えば、この娘の名前知らないな………聞いてみるか?
「名前はなんて言うんだい?」




