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「あのタンクローリーは?」


「ああ、あれですか。あれはうちの会社のものですよ。私は会社を経営してるって、言いましたよね。運送会社です。ガソリンスタンドの会社と契約して、ガソリンを運ぶ仕事もしています。あのタンクローリーが、私の武器です」


「あれが……武器ですか?」


「ええ、あれが武器です。タンクローリーとしては最大ともいえる巨体。それにくわえて22KLのガソリンつきですよ。あれならたとえ相手がT―レックスだとしても、負けやしませんよ。余裕で勝てます。あいつを見つけたらとにかく突っこんでやろうと思って、山道を毎日一晩中走り回っていたかいがありました」


気付けば木藤は胸を押さえていた。


おそらく怪物に激突した際に、胸を強打したのだろう。


しかし胸を痛めているにもかかわらずその声には、充分すぎるほどの張りがあった。


木藤は岩崎を見た。


「ところで、北山さんは?」


岩崎は首を横に振った。 


「そうですか。……とても残忍です。本当に。あの人を巻き込んだのはこの私です。全ての責任はこの私にあります。北山さんの残されたご家族には、出来るだけのことをしてあげたいと思います。そんなことで死んだ人が生き返るわけではないのですが、せめてもの罪滅ぼしですよ」


「……」


しばらくの間、無言の時が流れたが、やがて木藤が言った。


「とりあえず、今日のところは帰りましょうか。化け物もやっつけたことですし。とは言ってもこれは、あくまでも偶発的な事故ですけ……」


不意に木藤の声が止まった。


見てみると、木藤の身体が不自然なほどにえびぞっている。


「ぐぐぼっ!」


木藤の口から聞いたことのないような声が発せられた後、同じ口から血が吹き出してきた。


――!


木藤の腹から何かが生えていることに、岩崎は気付いた。


灰色の長く大きな針。


岩崎にはそう見えた。


そんな物騒なものが、木藤の腹から何本も突き出しているのだ。


――えっ?


針は最初、一箇所に集まっていたが、突然上下と左右に急速に広がった。


木藤の上半身が紙人形のように宙を舞った。


残された下半身はしばらくそのまま立っていたが、やがてゆっくりと地に伏した。


岩崎が針を追って振り返ると、そこにいた。


巨大な黒い芋虫に負けず劣らず奇怪で醜悪なものが。


――蜘蛛?


列車一両分くらいありそうな楕円形で灰色の胴体。


そして五メートルほどの高さにある胴体から、やはり灰色で金属製にも見える長い蟹の足のようなものが無数に生えている。

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