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岩崎の目の前に。


真っ白い幼い少女の顔が。


「うわっ」


思わず情けない声を発してしまった岩崎とは対照的に、北山はすぐさま無言で猟銃を構えて、発砲した。


弾が女の子に当たったのかどうかは、わからなかった。


はっきりしていることは、それまで岩崎を見ていた女の子が、北山を見たということだ。


ずずずずず


何か大きくて重いものが移動しているような音が聞こえた。


すると女の子の首が、後方にすっと消えた。


岩崎は遅ればせながらとりあえず、棍棒をしっかりと両手で握り、上段に構えた。


北山は猟銃を下に置くと、右手にダイナマイト、左手にはライターも持ち、その姿勢で待機した。


ずずずずず


再び何かを引きずるような重い音がした。


しかもそれが確実に近づいてくる。


音のする方向を見ていると、突然女の子の首が再び岩崎の前に現れた。


そしてすぐ目の前にあったそれは、上方に急上昇したのだ。


――えっ?


次の瞬間、岩崎は身体に強い衝撃を向けた。


岩崎は吹っ飛ばされて、山の傾斜を転がり落ちた。


しばらく転がり続けたが、やがて止まった。


止まったところは、山を縫うように縦断している県道の上だった。


少し遅れて、北山が転げ落ちて来た。


岩崎と同様にアスファルトの上で止まり、少し呻きながら起き上がり、言った。


「ダイナマイトが!」


北山の手にダイナマイトはなかった。


下に置いていた猟銃も、もちろんない。


岩崎が持っていた棍棒も、衝撃を受けた際に手放していた。


つまり武器はない。何一つないのだ。


ずずずずずずず


また音がした。それはこちらに向かって来ていた。


「逃げましょう」


岩崎はそう言うと、山の傾斜に向かって走った。

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